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後篇

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 あれ以来彼の自宅に泊まりには行ってないが、代わりに私のマンションへ来るようになった。合鍵を渡したら彼がビックリしていた。

「フユキ、俺の事信用しすぎ。」
 といいながらも彼は受け取ってくれて、翌日遅い講義の時には泊まってくれた。
 家事は私の方が得意なようだった。整理整頓は苦手らしい。

 まだ友達以上恋人未満なのだが、私の家にいる時、テツヤは私の腕の中にいる。後ろから囲うように抱きしめてソファーに座っている。その姿勢でテレビを見たりする。
 どちらともなくキスをして抱き合ってじゃれあう。

 これで恋人ではないのだろうか?
 テツヤが恋人になっていいと言わないから恋人ではないのだろうが。
 まだ本格的なセックスはしていない。が、きわどいところまでなら許してもらっている。
 テツヤのガードは緩い。キスは好きみたいでよくしているし、それで火がついてお互い出し合うこともある。一緒に風呂に入ろうと誘ったら、いいよと言われて驚いた。

「……男同士で風呂入って何が変なんだ?」
 彼の誤解は解かないままに風呂に連れ込んだいけない大人は私だ。
 洗いっこをして一緒に抱きあって湯船に入って彼の体を触っていたら、急に真っ赤になって先に出てしまった。
 それ以来、3回に2回は断るが、1回は入ってくれて恥ずかしそうにしながらお風呂でのじゃれあいを受け止めてくれる。

「あ。フユキ……」
「これは嫌じゃない?」

 こくこくと頷くテツヤは、一糸まとわぬ裸体を私に晒して、私に身を委ねている。
 じゃれあいはもうかなりエスカレートしていて、最後までしないセックスのようだ。一つ一つ、テツヤの嫌じゃないことを探していく。
 胸の突起を弄られるのは好きなようだ。そこを愛撫する度、彼は敏感になっていく。赤く熟れたようにぷっくりとした乳首は淫靡で、私を興奮させる。

「あ、気持ち、いい。俺、女じゃないのに、気持ちイイ……気持ちイイ……」
 弄りすぎると感じすぎるのか、すすり泣きのように嬌声をあげる。
 その声がますます私を煽って先に進ませる。リップ音をわざと立ててその尖りを吸い上げる。
 胸を逸らせるテツヤの股間はすっかりと勃ち上がっている。

 私はそこに自分の昂りを擦りつける。先走りが、潤滑剤のようだ。
 擦りあう度に彼の腰が震える。

 私はローションを股間から垂らして、それで十分に濡らした指で彼の奥まったそこを暴いていく。襞を丁寧になぞり、緊張をほぐしてからツプリと挿入する。
 中は熱くて私の指を咥えこむ。入口の裏側をなぞるように指腹で擦り、広げるよう動かして中の緊張をほぐす。最初な一本入れるのも狭くて大変だったが、最近は力を抜くことを覚えてくれたのか、一本はたやすく入り込む。

「ん、フユキ……俺の弄って……」
 焦らす様に幹同士をゆっくりと擦り合わせていると焦れたように強請られた。
 
 指は抜き差しを始めて二本に増やす。指を広げて中を広げるように慣らしていく。たっぷりと入れたローションが水音を立てる。

 つい最近見つけた前立腺を刺激すると指を締め付けてくる。大きく震えてますます彼の雄は堅くなる。
「あ……あっ……フユキ……イきたいっ……もう……」
 涙声で強請るテツヤは物凄く可愛い。

 私のモノと一緒に扱き、後孔に挿入した指もそれに合わせて抽挿した。
 強く握りこんで扱くと彼はあっけなく果てて、少し遅れて私も達して、指を抜いた。
 覆いかぶさって抱きこむと彼の手が背中に回って、まだ快感の余韻にか震えてる身体をすり寄せてくる。

「気持ちよかった…」
 素直に感想を言うテツヤは可愛くてエロい。早く恋人になりたい。
「私も気持ちよかった。テツヤが可愛すぎて困る。」
 可愛いというとテツヤの口が尖るのがまた可愛い。

「そうだ、テツヤ。ホワイトデーはお泊りデートをしないかい?」
 抱きしめて髪を撫でながらデートのお誘いをする。彼は嬉しそうに二つ返事をしてくれた。
 不思議とテツヤは私の話に付き合わなかったり、性格が残念とも言ったことはない。たまに呆れたような目で見てくるが何も言わない。

 無理をして私と一緒にいるわけではないのはわかるので、本当に嬉しい。
 なので、溜まりきった有休と代休を平日にとった。ホワイトデーだ。
 せっかくバレンタインにチョコをもらったのだからお返しをしなければ。
 一番人気のある遊園地に併設してあるホテルが運よく取れた。

 早めに遊園地に来て、チェックインをした。遊園地のキャラクターが随所にあるホテルは男同士で来ると浮いてそうだが、中年男のグループ等もいたり、大学生の団体もいたので、目立つわけでもなかった。
 テツヤはこの遊園地が好きなようで、キャラクターのデザインされたアメニティに感動していた。
 ホワイトデーのお返しにと、クッキーは添えもので、彼に似合いそうな指輪をプレゼントを用意している。少し太い男用の指輪だ。身につける物がいいと思ったが、高いものは敬遠されそうで、大学生のこずかいで買える程度の値段の物を探したのだ。

 めいっぱいアトラクションを楽しんでホテルに戻った。
 
 シャワーを浴びてホテルの寝巻を身に付けた。窓際の椅子に二人で並んで座って夜景を見る。
 まだ出会って一カ月だとは短いような、長かったような、不思議な気持ちになった。
 用意したプレゼントをあげると、早速開けて、指輪を取りだすと真っ赤な顔をして喜んでくれた。

「ええっと、お返しありがとう。その、俺、恋人になってもいいよ?」
 指輪を左手薬指に入れながらそうテツヤは言った。
 本当に? 思わず抱きしめてしまった。
「く、苦しい……逃げないから……」
 嬉しすぎて声が出ない。苦しいと訴えるその唇を塞いだ。
 
 少し落ち着いて腕の力を緩めると、テツヤも腕を回してくれて抱き合った。
 貪るような長いキスのあとにお互いに見つめあった。

「テツヤ、愛してる」
 真っ赤になって照れたテツヤは視線を泳がした。
「俺も、好き…」

 抱きあげてベッドに運んだ。
「わ、フユキ……俺、重いって……」
 気が急いてもどかしさに手を震わせて、お互いの寝巻を脱がせて、裸でベッドにもつれ込んだ。

「もう、フユキ、焦りすぎだって……逃げないから。」
 ちゅ、と額にキスをされて、ますます胸が高鳴った。幸せすぎて言葉が出ない。だからキスをした。彼のすべてに。
「ん……あ……」
 彼の隠れた性感帯を何個か見つけた。あがる嬌声は甘くて股間を熱くした。普段はつけないキスマークも付けないようにとか、考えられなかった。全てが愛おしくてたまらなかった。

「最後までしよ? 一つになりたい。」
 テツヤがそう言ってくれた時、心臓が激しく動きすぎて死ぬかと思った。
 ローションをたっぷりと後孔へ入れて、指で慣らす。中は蕩けるように柔らかくなっていき、うねって指を喰い締める。

「ん…あっ…」
 頃合いかと、テツヤにキスをする。
「挿れるよ。」
 こくっと頷くのを見て、もうはち切れそうな己をゆっくりと挿入していく。
 本当は背後からの方が楽だと思うのだが、顔を見ていたいから、正常位だ。
 
 彼の顔から、綺麗な肌も、赤い尖りも、勃って揺れている、彼自身も全て見える。愛しくてたまらない。
「あ…フユキ…入って、来る…熱い…」
 初めての挿入は血流が股間に全て集まっているかと思うほど強烈だった。
 
 思わず動きそうになる腰をなだめて、慎重に腰を進ませた。揺すって浅いところで前後に動かして慣らす。
 きつくて狭い、それでいて温かく熱く、柔らかいそこを、開きながら根元まで収めた。
 まだそこは狭くて痛いくらいだったが、きちんと根元まで入った、もう少し奥へ入らないかと腰を押しつけて揺さぶった。

「全部入ったよ。」
「……ん。熱くて太くて、おっきいのが……入ってる……少し苦しいけど、嬉しい。」
 テツヤが手を伸ばして俺の背に手を回す。たまらなくなって腰を揺らした。

「あ…フユキ…」
 びくびくと身体を震わせて喉を仰け反らした。その顎先にキスをした。
 それからはもう、理性が飛んで、腰を揺さぶって貪ってしまった。
 ひっきりなしに上がる嬌声に頭の芯が蕩けて腰が自然に動いてしまった。
 若い童貞のようにがっついてしまったのだった。

「……テツヤ……中気持ちイイよ……」
 突き上げて、また引いて揺さぶる。テツヤの中は絡みつくように締め付けてきて、そんなに長く持ちそうにない。
「……あっ……あ……フユキ……フユキ……あっ……」
 時折、前立腺を掠めるとその度に締め付けられた。爆発しそうだ。
 激しくなる律動にお互い弾けた。

 テツヤの上に倒れこみ、その反動で抜けた。お互いの胸が荒い呼吸で大きく動く。
 あ。ゴムつけてなかった。大人としてはどうなんだ。
「すまない、ゴム……」
 思わず謝るとテツヤはくすくす笑った。
「もう、初めてのあとなのに、出た第一声がゴムって……そういう、フユキが好きだよ。生でいいよ。俺達恋人同士でしょ?」

 ぎゅっと抱きしめられた。なんだろう。ディスられた気がした。
「いいのかい? 私は嬉しいけれど……」
 引き寄せられてキスをくれた。
「お、俺だって、その、直に感じたいんだよ。馬鹿。」
 耳元で囁くように言われたそれにまた大きくなってしまった私は二回戦を挑んだ。
 赤い顔で応じてくれたテツヤは天使だった。

 結局テツヤが気絶するまでしてしまって翌日は少し遅いチェックアウトになってしまった。
 申し訳なくておろおろしていたら、大丈夫だとフォローされた。

 恋人になったからだろうか。私を見るテツヤのまなざしが優しくてあったかい。
 だからか胸の奥がじんわりとしてくる。一人身の寂しさはもうない。本格的に暖かくなってくる春のように、心の中も、まさしく春だった。
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