第二王子は『冷酷令嬢』を愛でています

アーエル

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第一章

第14話

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─── 昨年だけで、三貴族が領地没収され爵位を剥奪。公開処刑で絞首刑になり、それに手を貸し口を挟み私欲を肥やした者たちは連座で私財没収。奴隷として身を落とし、鉱山労働や農地改革。治水対策の土木作業に生涯を従事させることとなった。
それは女性でも同じだ。奴隷として身を落とし、鉱山労働や農地改革。治水対策の土木作業に従事する者たちの宿舎で『性欲処理』の道具として使われている。
奴隷には『生殖機能が永久停止』する薬を飲まされ、子を孕むことも孕ませることも出来なくなっている。
それは、過去に起きた『騒動』が原因だった。

ある王族が奴隷に身を堕としたものの、そこで『相手が誰か分からない』子を孕んでしまった。それこそ、子が生まれれば『王族の血を引く子』となる。国は大騒ぎとなった。
─── 奴隷に落とされたのは、傾国からゼリアの王太子に『国を建て直すために返済不可能な金額の対価』として差し出された王女だった。
よくある話だが、王女は『我が身の悲劇』を嘆き、王太子以外の王子に恋をした。そして、あろうことか王女は「王太子を殺せば、好きな相手が王太子になれて自分は王太子妃になれる」という妄言を信じ、王太子の紅茶に毒をもった。王太子は一命を取り留めたが、王太子の座は退しりぞくこととなった。王女に偽りの愛を囁き、殺害を唆したのは『側妃が産んだ王子』だった。

この国では、正妃に子がいる場合は側妃の子に王位継承権はない。王太子が亡くなれば、王太子の弟や妹たちが。その後は王弟殿下に王位継承権が移る。そして、この国では『長子が王太子』なのだ。
当時の王太子も『第一王女』だった。王太子として忙しい王女の『侍女兼話し相手』として差し出されたのだ。それを傾国から来た王女は自国のことわりならい、『王太子=王子』と思っていて『王太子妃に選ばれた』と思い込んでいたのだ。さらに側妃の子は『見た目だけ王子』と呼ばれるくらい見た目は良い男だった。しかし学業では下位の常連だった。そして、それをカバーできるほど『口達者』だった。他国に一人送られた傾国の王女に偽りの愛を囁き、毒薬を差し出して彼女を唆した。

側妃の子は『王子』ではない。成人するまで『母親と共に住む』ことが許されているが、成人後は王宮に入ることは叶わない。今までの側妃の子たちは騎士の道を選んだり、文官の道を志したりと、貴族の次男以下の子息たちと同じように独立していった。
側妃の子は誕生日を迎えて成人した。しかし『その日』を迎える準備を怠った。そのため、側妃の実家へ引き取られることが決まった。そこは王都より馬車で二日離れた領地。そのため、今後も王宮で贅沢に過ごしたいという欲から王女を唆したのだ。

『平民による王太子毒殺未遂事件』として、側妃の子は公開処刑で火刑となった。側妃の実家は『引き取り前』のため、責任は問われなかった。
しかし、側妃は身一つで実家へ戻された。本来なら王宮から『功労金』が与えられるのだが、息子が犯した罪による追放のため、それはなかった。

当時の記録では、王都より徒歩10分の距離にある北の海岸に、不気味にそびえる黒ずんだ鉄の柱。そこに処刑台が設置され、周囲に屋台が並んだとされる。公開処刑は、今も昔も『庶民の娯楽』なのだ。そして火刑がこの場所で執行されるのには理由がある。海から吹く風で、煙が顔まで上がらない。つまり『窒息死』出来ずに長く苦しませて『焼き殺す』ことが出来るのだ。
王女は『巻き込まれた』として、減刑されて奴隷となり鉱山労働者の宿舎で『性処理の道具』として使われてきた。そんな元王女だった奴隷女が孕んだのだ。慌てたのは奴隷女の国だろう。相手が誰であれ、子どもは『王族』になるのだから。
そして、ある依頼が『決行』された。
廃鉱山に何故か入り込んでいた鉱山労働者たちと女奴隷が、崩落に巻き込まれて全員が死んだ。女奴隷の子どもを『旗印』にして、女奴隷の『母国』に向かう計画を立てていたと証言する者が何人も現れた。同胞を集めるために、声を駆け回ったのだろう。そして、武器として『鶴嘴つるはしやシャベル』が用意されていた。

そんな事件があったため、どの国でも奴隷に身を堕とすものは『生殖機能が永久停止』する薬を飲まされることとなった。

そんな罪人をおびき出す『エサ』として自ら前に出ているトルスタインは、ごく少数にしか心を開こうとしなくなった。今では、他の者へと向ける笑顔も『王子』として作られた表情だ。
それが、リリアーシュ嬢を前に見せた笑顔は自然なものだった。
『親バカ』だと笑われてもいい。だが、トルスタインの『願い』を叶えてやりたいと思った。
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