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『誰だ、コイツ』
しおりを挟むそれから半月後。
学園から呼び戻された私は制服のまま謁見室にいた。
「父上。一体どうなされたのです」
「お前は……何故勝手に隣国の、それもコートレイル公爵家に自身の縁談を申し込んだのだ」
「はあ? 国王ともあろうお方がこんな簡単なこともお分かりになりませんか? 私に婚約者がいないのは、私が国民に好かれていない、いえ、嫌われているからですよ」
私の言葉に父が眉間にシワを寄せているのは、その事実を見て見ぬ振りをしているからだろう。
「それだったら『民に愛されている令嬢』とやらを手に入れれば、国民はその令嬢を無条件で愛するでしょう。私にもそのおこぼれがもらえるじゃないですか。それに友好国の公爵令嬢なら、この私の婚約者にもなれる」
「お前は……なんて大それたことを……」
「なに言っているんですか。聞けば、その公爵令嬢は婚約破棄されたのか分かりませんが一部の貴族からは『傷物令嬢』と見下されて嘲笑われているそうです。幼い頃から民に股を開いてきた淫乱令嬢ですよ。肩書きの公爵令嬢を有効に使ってやるんです。父親の公爵も喜んで差し出すでしょう? だいたいですねえ、そんな死を待つだけの女がこの私と婚約すれば王太子妃になれるのです。友好国の貴族なんですから、今後の国交関係のためにも喜んでその身を捧げて私の慰みものになれって。その程度のこともわからずに縁談を断りやがって」
私の説明に感激して震えているのかと思っていた父だったが、話し終わると立ち上がって声を荒らげた。
「貴様こそ何様だ! 衛兵! このバカを取り押さえろ‼︎」
「ま、待て……やめろ! 離せ、離さぬか!」
謁見の間へはいるにあたり、武器となる可能性があるものはすべて外してきた。
それも国王の前、そして……
『誰だ、コイツ』
父の隣に立つ男は、父より王らしい荘厳さを醸し出している。
しかし、彼の目は凍てついており、けっして王としての懐の深さはみられない。
「お久しぶりですなあ。相変わらずの不出来な脳みそを抱えたまま育ったようですね。この国は躾のなっていないクソガキに王太子なぞという権力を与えて放し飼いにされていたようで」
「……大変申し訳ない」
「謝って済む問題ですか? 偉そうに玉座に踏ん反り返りやがって。死んで詫び入れろやこのクズ!」
父が無礼な男に暴言を吐かれても青ざめて俯いたままだ。
「さあ、バカが反省していない証明はできたな。サッサと書類にサインしてもらおうか」
「誰がバカだ!!!」
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「その生産者も責任をとれ」
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