神のみぞ知る《完結》

アーエル

文字の大きさ
3 / 6

私のせいだと?

しおりを挟む

男に命じられるまま、差し出された書類にサインを書き玉璽を押す父。
その書類を男に差し出すと、父はツカツカと歩み寄る。

「以上をもってパスリム国の消滅をここに宣言する」

男の宣言とともに顔を赤黒くさせていかりをあらわにした父に顔を蹴られ、踏みつけられるという暴行を受けた。
反撃したくても……逃げ出したくても、衛兵たちに押さえつけられて抵抗すらできない。

「止めてください! 父上……」
「黙れ! こんなことになるなら貴様なんか10年前に殺しておくべきだった!」
「幽閉して別の奴を王太子にしなかった貴様も同罪だ、廃国の王。親子揃って大人しく地下牢に入ってろ。ただし家族に殺されないよう、別々の部屋でな」

『貴様は何者だ!』

そう言いたかったが、口の中が切れたのか動かそうとしただけで痛みが走る。
そんな私に気付いたのか、男は私に近付いてくる。

「ほう、貴様は私が分からぬようだな」
「お、お許しを……」
「黙れ、ゲスが‼︎」

父が男の足に文字どおり縋りついたが、男は父が縋った足とは逆の足で父を蹴り飛ばす。

「愚かな自分の責任だとなぜわからん!」
「お許しを! 何卒お許しを」
「父上! 何故そこまでこの男を……」
「ほう。貴様はまだ自分の罪を理解せず、この国が滅びた責任を負う意味もわからぬとは」
「お許しください、コートレイル公爵!」

必死に土下座をする父。
父は今なんと言った……?
コートレイル公爵?
私の婚約を無碍にした女の父親か!

「傷物女の父親か! 嫁に貰ってやるというこの私の慈悲を無にしやがった」
「黙れ!」

傷物女の父親が私の顔を蹴りつけた。
鼻が、歯が……血の匂いがする。

「貴様が我が娘を侮辱することは許さん」
「我が国でも傷物女で有名だ!」
「そりゃあ有名だろう。娘の足を傷つけたのは貴様だからな」

ガンッと私の顔を踏みつけた男はガンガンッと繰り返し踏み付けてくる。

「お前が我が娘を階段から突き落とし、娘は足を傷つけられて歩けなくなった。誰のせいだ? 全部……貴様のせいだ!」

今度は私の腹を蹴り続ける。

「それをなんだ? 『傷物になったお前を嫁にしてやる。性奴隷くらいには使えるだろう? 私を悦ばせろよ』だと? よくも恥も外聞もなくあんな手紙を送り付けやがったな。娘の手に渡る前に私が受け取った。そして両国王に延期にしていたこの国の消滅を認めさせた。お前が心を入れ替えれば属国のままでいられたものを」

私のせいだと?
パスリム国が滅びる理由が……
いや、パスリム国は属国?
そして……私のせいで…………滅ぶ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

愛を騙るな

篠月珪霞
恋愛
「王妃よ、そなた一体何が不満だというのだ」 「………」 「贅を尽くした食事、ドレス、宝石、アクセサリー、部屋の調度も最高品質のもの。王妃という地位も用意した。およそ世の女性が望むものすべてを手に入れているというのに、何が不満だというのだ!」 王妃は表情を変えない。何を言っても宥めてもすかしても脅しても変わらない王妃に、苛立った王は声を荒げる。 「何とか言わぬか! 不敬だぞ!」 「……でしたら、牢に入れるなり、処罰するなりお好きに」 「い、いや、それはできぬ」 「何故? 陛下の望むままなさればよろしい」 「余は、そなたを愛しているのだ。愛するものにそのような仕打ち、到底考えられぬ」 途端、王妃の嘲る笑い声が響く。 「畜生にも劣る陛下が、愛を騙るなどおこがましいですわね」

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

婿入り条件はちゃんと確認してください。

もふっとしたクリームパン
恋愛
<あらすじ>ある高位貴族の婚約関係に問題が起きた。両家の話し合いの場で、貴族令嬢は選択を迫ることになり、貴族令息は愛と未来を天秤に懸けられ悩む。答えは出ないまま、時間だけが過ぎていく……そんな話です。*令嬢視点で始まります。*すっきりざまぁではないです。ざまぁになるかは相手の選択次第なのでそこまで話はいきません。その手前で終わります。*突発的に思いついたのを書いたので設定はふんわりです。*カクヨム様にも投稿しています。*本編二話+登場人物紹介+おまけ、で完結。

最後の誕生日会

まるまる⭐️
恋愛
「お父様のことを……お願いね……」  母は亡くなる間際、まだ小さかった私の手を握り締めてそう言った。  それから8年……。  母の残したこの言葉は、まるで呪文のようにずっと私の心を縛り付けてきた。  でも、それももう限界だ。  ねぇ、お母様。  私……お父様を捨てて良いですか……?  ****** 宮廷貴族ゾールマン伯爵家の娘アイリスは、愛する母を病気で亡くして以来、父ヨーゼフと2人肩を寄せ合い暮らしてきた。 そんな日々が続いたある日、父ヨーゼフはいきなり宰相から筆頭補佐官への就任を命じられる。それは次の宰相への試金石とも言える重要な役職。日頃からの父の働きぶりが認められたことにアイリスは大きな喜びを感じるが、筆頭補佐官の仕事は激務。それ以来、アイリスが父と過ごす時間は激減してしまう。 そんなある日、父ヨーゼフは彼の秘書官だったメラニアを後妻に迎えると屋敷に突然連れて帰って来た。 「彼女にはお前と一つ違いの娘がいるんだ。喜べアイリス。お前に母と妹が一度に出来るんだ! これでもう寂しくはないだろう?」 父は満面の笑みを浮かべながらアイリスにそう告げるが……。

婚約破棄を伝えられて居るのは帝国の皇女様ですが…国は大丈夫でしょうか【完結】

恋愛
卒業式の最中、王子が隣国皇帝陛下の娘で有る皇女に婚約破棄を突き付けると言う、前代未聞の所業が行われ阿鼻叫喚の事態に陥り、卒業式どころでは無くなる事から物語は始まる。 果たして王子の国は無事に国を維持できるのか?

処理中です...