76 / 249
第六章
第76話
しおりを挟むこの事件以降、外交官と言えども出入国時には『鑑定石』で鑑定を受けることになった。
外交官や特使から反対の声が出るかと思われていたが、それは杞憂に終わった。
自ら疚しい所がないと証明するには『鑑定を受けるのが一番』と、誰もが挙って賛成したのだ。
問題はコーティリーン国だ。
他族を・・・特に『人族』を見下しているのは『天罰騒動』以前から周知の事実だった。
だから『さくら様襲撃事件』でエルハイゼン国の王城を攻撃した事に驚いた。
しかし、何となく「ああ。とうとう『やらかした』か」と納得もしていた。
そして今回発覚した『人身売買事件』。
それにまた『さくら様が狙われた』事が知れ渡った。
国をあげて一斉に『家探し』して回ったのだ。
流石に上位貴族たちの中からは反感が出た。
突然兵士が30人と役人10人の『1チーム』が押し寄せて来て「今から屋敷内を『家探し』させて頂きます。これは国王命令です」と言われても「はいどうぞ」と招き入れられる訳がない。
その時にまだ秘匿だった『さくら様誘拐未遂事件』の話が持ち出されて、「これは『さくら様』の御身を守るためです」と言われると誰もが納得したのだ。
さすが『さくらの親衛隊ネットワーク』だ。
・・・しかし『秘匿情報』にもかかわらず、『さくら様』がかかわっていると『秘匿』にならないことも判明した。
そして呆気なく『人身売買』がバレて捕縛された貴族も多かった。
貴族たちは『さくら様の敵か否か』と問われてすんなりと『誰から買ったか』を自白。
そして『奴隷を買い替えて不要になったら『回収』する』という施設が複数あると判明した。
その施設をすべて調べたところ、後ろに『コーティリーン国』がいたのだ。
ちなみに『回収された子供』はいなかった。
神殿に神々が罰を下すのか問い合わせようとした国もあった。
しかしその前にエルハイゼン国から『神々は主犯8人に罰を下された』と連絡がきた。
それは『他の者たちは自分たちの手で裁いて良い』ということだ。
貴族たちは『子供を買う金があることが問題』として財産没収。
平民に格下げされた。
『没落貴族』という不名誉な肩書きがつくのだ。
市井という『見えない檻』の中で、民衆という『監視者』に見張られて生きていくことになる。
『檻の中の囚人』よりツラい立場だろう。
領主たちは領民から『恥さらし』のレッテルを貼られた。
そして領民たちは国王に『領主の交代』を願い出て認められた。
後継者がいる者は領内の塔に幽閉された。
その後継者も関与してた者や、後継者がおらず『領主の交代』で領地を明け渡す者は、王都に送られて『懸案塔』に幽閉させられた。
どの国にも『懸案塔』はある。
それは『神の罰』という解決がまだつかない貴族以上の者たちが、罰を受けるまで入れられる塔だ。
『罰』を受ければ、その程度にあわせて神殿の地下などに移動させられる。
塔から終生出されないのは、王族と王政にかかわった者だけだ。
そして国際会議が繰り返された結果。
『コーティリーン国』の完全消滅が決定した。
『過去の事件』で『国としての機能』は既にない。
今は『研究施設』が『コーティリーン』の名を継いでいるだけだ。
その研究施設も今回の誘拐事件にかかわっていた。
研究施設はエルハイゼン国とセリスロウ国の国境に移築されて、元の施設は徹底的に破壊された。
以前からさくらに『エルフ族は瘴気に弱いかも知れない』と指摘されていた。
そのため『エルハイゼン国から一番遠い』場所から『すぐ隣』に移築することで『瘴気の影響』を抑えることにしたのだ。
それと同時に各国の『監視の目』が集まる場所となった。
研究施設が残されたのは、飛空船や鉄道など今までの研究成果は評価されるものだからだ。
ただエルフ族は『天罰』で、寿命を30歳にまで減らされた。
そうなって、やっと『後悔』し『反省』し『謝罪』した。
しかしすでに『手遅れ』だった。
天罰は『エルフ族全体』にかけられたのだ。
そのこともあり、研究員は全種族から集められることになった。
そしてここの警備は『さくらの親衛隊』が受け持つこととなった。
彼らは『さくらのため』なら、『権力』だけでなく『瘴気の影響』ですら跳ね返す強い精神を持っているのだ。
これからは『コーティリーン』の名は、もとの地に残る『地下迷宮牢獄』をさすだけになった。
『聖なる乙女』が召喚されてからエルハイゼン国は確かに瘴気が薄まった。
そして正気に戻った国王と宰相はさくらに対する自分たちの言動を恥じていた。
聖なる乙女たちの『お披露目』が決まってすぐ、鉄格子越しでジタンと面会した2人。
自身たちが治療院へ運ばれてから起きた『天罰騒動』や『暗殺未遂事件』、『エルフ族襲撃事件』などさくらの周りで起きたことを聞かされた。
そこでようやく自身たちが『瘴気にあてられて正気ではなかった』ことを認めた。
女神からの神託に国王として正しく応対し、さくらに礼を尽くして招いていれば、少なくとも『暗殺未遂事件』は避けられていたのだ。
ジタンは父王たちにも『呪い』のことは伏せた。
アグラマニュイ国との関係を崩すこともなく『円満解決』出来たのだ。
それは『さくら自身』の望みだった。
『当事者以外に罰を与えないで』
だからこそ国王たちに罪は問われなかったのだ。
そして『終わったこと』を今さら蒸し返す気はなかった。
ジタンは以前から計画していたことがある。
それは自身が『国王』になったら真っ先に実行しようと考えていた。
王城敷地内はとても広い。
純和風の『聖なる乙女の館』は敷地南部にある。
王城の隣にある『迎賓館』は二階建てで『横長』になっている。
王城が三階建てのため、王城内を探検していた時に屋上庭園から見たさくらの感想は「小学校の校舎みたい!」だった。
今、その隣に新たな迎賓館を建設計画中だ。
まだ『国王代理』のため勝手に着手出来ないのだ。
その『計画』を父王に伝えると賛成してくれた上、一筆認めてくれた。
そして最後に「さくら様に『申し訳なかった』と代わりに詫びてほしい」と頭を下げたのだった。
『計画』は『聖なる乙女のお披露目』が終わった翌日・・・『ボルゴたちの制裁』後に着手された。
11
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる