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06 今だけを切り取って
ねぐら漁り
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こんな方法しか無いのか、と、己の無力と浅ましさを呪いながら、俺は勝手知ったるバレルの部屋へと足を踏み入れていた。家主が廃棄処理されて日が浅いからか、奇跡的に荷物は処分されていない。各方面へ顔の効いた奴の事だ、ビンゴとは行かずともダブルリーチくらいはかけさせてくれると期待している。
「とは言えどこから調べたものか」
予想出来てはいたことだが、腹立たしいことに、部屋がもの凄く汚い。情報の精査は出来ても荷物の整理は出来なかったらしい。半分食って放置したら腐ったカップ麺や、ハンガーにぶら下がってかぴかぴになった下着なんかが乱雑に部屋を飾る。きれい好きの俺からすればこの世の地獄と称してもまだ足りない。
しかし今やるべきは掃除ではない。ガサ入れだ。
コンピューターは部屋の真ん中にあったのだが、当然パスワードがかかっていたので中身には手が届かなかった。となると手帳や棚の資料か。気合を入れて、汚物と呼んでも差し支えのなさそうな、積み上げられた紙束に手を突っ込む。
C、B、Aとランクごとに分類された要注意廃棄物リスト。各地区にある廃棄物御用達の隠れ家や、公式非公式問わず確認されている麻薬取引の記録、未解決事件に関係していると考えられる廃棄物の名簿などなど。こうやって廃棄物の情報を集めている間は、自分自身が廃棄物として処理されてしまうなんて夢にも思わなかっただろう。
紙束の真ん中あたりに『ヘルゼル・ハニースピークの特異体質について』と題されたファイルを発見した。このガサ入れの目的は、ヘルゼルの義体のメンテを任せられる医者を探すことであり、もうなくなってしまった再生能力を回顧する事ではない。
だが俺は自然とファイルをめくっていた。
A4のしっかりしたファイルに目一杯、医者や科学者、異能研究者からのヒアリングと思われる文字の羅列が詰め込まれている。あいつは、俺を心配性と茶化していながら、仕事はきっちりやってくれていたのだ。それを思うと、いくら最後に奴が俺達をヨミに売ったとは言え物悲しくなる。俺とあいつは仮にも友達だったのだ。
ファイルのポケットにスケジュールメモが挟まっているのを見つけた。そういえば毎月の予定に従えば来週の今日あたり、バレルと会う事になっていたのではなかったか。それまでにバレルは、どんな識者から情報を仕入れてくるつもりだったのだろう。
メモを抜き取る。
『10月19日 西地区シカ通りシカ医院』
勿論これは俺のために書かれたメモではない。誰と会うのか、何時に待ち合わせなのか、何も分からない。
だがこれは最後の望みになるかもしれないメモなのだ。
自分の端末(掃除屋専用に地区を越えた情報のやり取りが可能になっている)でシカ医院を検索すると、サイバネのメンテを含む治療を行う総合病院だ、とある。しかし、評判は悪いようで、特に院長のマシワという男が無免許の疑いがあるという。
そんな医者がよく廃棄物認定されずにこれまで仕事をできたものだと驚くばかりだが、現実は小説より奇なものだ。俺は近いうちにこの男と会う事を決める。
その後も一時間ほどガサ入れを続けたが、めぼしいものは見つからなかった。1つでも情報が入った事を喜ぶ事とし、俺はメンテを終えたヘルゼルが待つ家へ帰るのだった。
「とは言えどこから調べたものか」
予想出来てはいたことだが、腹立たしいことに、部屋がもの凄く汚い。情報の精査は出来ても荷物の整理は出来なかったらしい。半分食って放置したら腐ったカップ麺や、ハンガーにぶら下がってかぴかぴになった下着なんかが乱雑に部屋を飾る。きれい好きの俺からすればこの世の地獄と称してもまだ足りない。
しかし今やるべきは掃除ではない。ガサ入れだ。
コンピューターは部屋の真ん中にあったのだが、当然パスワードがかかっていたので中身には手が届かなかった。となると手帳や棚の資料か。気合を入れて、汚物と呼んでも差し支えのなさそうな、積み上げられた紙束に手を突っ込む。
C、B、Aとランクごとに分類された要注意廃棄物リスト。各地区にある廃棄物御用達の隠れ家や、公式非公式問わず確認されている麻薬取引の記録、未解決事件に関係していると考えられる廃棄物の名簿などなど。こうやって廃棄物の情報を集めている間は、自分自身が廃棄物として処理されてしまうなんて夢にも思わなかっただろう。
紙束の真ん中あたりに『ヘルゼル・ハニースピークの特異体質について』と題されたファイルを発見した。このガサ入れの目的は、ヘルゼルの義体のメンテを任せられる医者を探すことであり、もうなくなってしまった再生能力を回顧する事ではない。
だが俺は自然とファイルをめくっていた。
A4のしっかりしたファイルに目一杯、医者や科学者、異能研究者からのヒアリングと思われる文字の羅列が詰め込まれている。あいつは、俺を心配性と茶化していながら、仕事はきっちりやってくれていたのだ。それを思うと、いくら最後に奴が俺達をヨミに売ったとは言え物悲しくなる。俺とあいつは仮にも友達だったのだ。
ファイルのポケットにスケジュールメモが挟まっているのを見つけた。そういえば毎月の予定に従えば来週の今日あたり、バレルと会う事になっていたのではなかったか。それまでにバレルは、どんな識者から情報を仕入れてくるつもりだったのだろう。
メモを抜き取る。
『10月19日 西地区シカ通りシカ医院』
勿論これは俺のために書かれたメモではない。誰と会うのか、何時に待ち合わせなのか、何も分からない。
だがこれは最後の望みになるかもしれないメモなのだ。
自分の端末(掃除屋専用に地区を越えた情報のやり取りが可能になっている)でシカ医院を検索すると、サイバネのメンテを含む治療を行う総合病院だ、とある。しかし、評判は悪いようで、特に院長のマシワという男が無免許の疑いがあるという。
そんな医者がよく廃棄物認定されずにこれまで仕事をできたものだと驚くばかりだが、現実は小説より奇なものだ。俺は近いうちにこの男と会う事を決める。
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