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第5部 ギウリーク動乱篇~ミトラへの道
第202話 黒竜ラウレスとお決まりの「アレ」
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「あなたが来られたということは、かなりの大物からの依頼があった、とそのように解釈してよろしいのでしょうな?」
前ロデニウム公の声は大きい。
周りのもの達にも聞かせたいのだ。
ラウレスはちょっと考えてから、同じように大きな、よく通る声で答えた。
「そうですね、定命の人を超えた存在、至高、といってもよい方の命令です。」
ラウレスが言ったのはギムリウスのことだったが、ご老公もまわりのもの達も、そう解釈しなかった。
至高、つまりは皇帝か教皇、いや人を超え、古竜に「命令」できる存在ならばあるいは、「竜の都」の長老たちが動いたのか!
まさか!
ラウレスは悠然と笑っている。
それは高いところから無事に着地できた安堵感によるものだが、周りはそう解釈しない。
人の世を超越した古竜が浮かべる余裕の笑いに見えた。
「な、ならば、」
治安長官は恐る恐る声をかけた。
「先程のお話にありました通り、クローディア陛下は無罪である、と。」
何を言ってるの?
とラウレスはにっこりと微笑んだ。
「何か勘違いがあったのかもしれないけど、わたしは陛下とアウデリアさまを迎えに来ただけだよ。もし何かの間違いで不当に拘束されているのなら、すぐに解放しないとどうなっても知らないよ?」
外見は少年の域からいくつもでない。可愛らしい感さえある巻き毛の青年であるが、こうなると謎めいた雰囲気もあってどこか高貴な印象があるのが、不思議だった。
ラウレスは、もちろん、ギムリウスたちのことを言ったのだが、聞いたものはそうは解釈しなかった。
「貴様が古竜だと言うのか?」
シホウが、一歩歩み出た。
「わたしの拳法が古竜に通じないとでも思ったか?」
「いや、そんなことはないよ。」
ラウレスはごくごく自然体である。
「古竜にだって、ピンからキリまであるからね。」
「ほう」とシホウは笑った。「お主はどっちだ。」
「キリの方だね。」
と、なんの気負いもなくラウレスはそう言った。その飾らない強さがまた、集まったものたちを魅了する。ラウレスにしてみれば単純に感想を述べただけだ。彼の知己を得た古竜には、「神竜」と呼ばれるリアモンドがいる。若く天才だと言うならラスティやゾールが上だろう。
彼は何しろ、人間に対しては四連敗中なのだ。
古竜ラスティに勝つには勝ったが、それはお料理対決だったのだが。
「し、失礼ながら、改めてお聞き申し上げます。」
治安長官は、平伏せんばかりに尋ねた。
「あなたさまは、お噂通り、前ロデニウム公爵閣下でありましょうか。」
だめだよ!そっちから名前を言ったら。影共のマロクとシチカが顔を顰めた。いつものが出来ないじゃないか。
「そうかのう。」
ご老公は、品のある笑いを浮かべた。
「今は、旅から旅の流浪の身じゃからなあ。」
「そ、そして・・・・こちらのラウレスさまと言うのは、まさか!!」
もう、ここしかないな。
マロクとシチカは目配せしあった。
ずずいと前に出る。
「ええい!ひかえいひかえい!
ここにおわすお方をどなたと心得る!
恐れ多くも先の聖竜師団最高顧問ラウレス閣下にあらせられるぞっ」
「頭が高い! ひかえおろう!」
ええっ!
そっちなの?
ご老公は一瞬唖然とした顔をしたが、なんとか取り繕った。
ラウレスを中心に、一歩引いた位置に立つ。
一同は・・・冒険者たちも鉄道治安局のものたちも、そして、「絶士」シホウも平伏した。
なんとなくお約束のような気もしたし、目の前の青年がもし先ほど、空中からオーベルの破壊を宣言した古竜ならば、そうするしかなかった。
「保安局の隊長さんはどなたかな?」
ご老公は、目の奥に厳しい光を浮かべて隊長を立たせた。
「今回の鉄道公社の責任者はどなたかな?」
「は・・・・」
隊長の目が泳いだ。
「・・・ゼナス・ブォストル局長ですが。」
「そのものの元に我々を案内してもらおうか。」
「は・・・・し、しかし・・・」
「此度の一件は色々と裏がありそうじゃな。お主らも訳もわからぬまま処罰されたくはあるまい?」
前ロデニウム公の声は大きい。
周りのもの達にも聞かせたいのだ。
ラウレスはちょっと考えてから、同じように大きな、よく通る声で答えた。
「そうですね、定命の人を超えた存在、至高、といってもよい方の命令です。」
ラウレスが言ったのはギムリウスのことだったが、ご老公もまわりのもの達も、そう解釈しなかった。
至高、つまりは皇帝か教皇、いや人を超え、古竜に「命令」できる存在ならばあるいは、「竜の都」の長老たちが動いたのか!
まさか!
ラウレスは悠然と笑っている。
それは高いところから無事に着地できた安堵感によるものだが、周りはそう解釈しない。
人の世を超越した古竜が浮かべる余裕の笑いに見えた。
「な、ならば、」
治安長官は恐る恐る声をかけた。
「先程のお話にありました通り、クローディア陛下は無罪である、と。」
何を言ってるの?
とラウレスはにっこりと微笑んだ。
「何か勘違いがあったのかもしれないけど、わたしは陛下とアウデリアさまを迎えに来ただけだよ。もし何かの間違いで不当に拘束されているのなら、すぐに解放しないとどうなっても知らないよ?」
外見は少年の域からいくつもでない。可愛らしい感さえある巻き毛の青年であるが、こうなると謎めいた雰囲気もあってどこか高貴な印象があるのが、不思議だった。
ラウレスは、もちろん、ギムリウスたちのことを言ったのだが、聞いたものはそうは解釈しなかった。
「貴様が古竜だと言うのか?」
シホウが、一歩歩み出た。
「わたしの拳法が古竜に通じないとでも思ったか?」
「いや、そんなことはないよ。」
ラウレスはごくごく自然体である。
「古竜にだって、ピンからキリまであるからね。」
「ほう」とシホウは笑った。「お主はどっちだ。」
「キリの方だね。」
と、なんの気負いもなくラウレスはそう言った。その飾らない強さがまた、集まったものたちを魅了する。ラウレスにしてみれば単純に感想を述べただけだ。彼の知己を得た古竜には、「神竜」と呼ばれるリアモンドがいる。若く天才だと言うならラスティやゾールが上だろう。
彼は何しろ、人間に対しては四連敗中なのだ。
古竜ラスティに勝つには勝ったが、それはお料理対決だったのだが。
「し、失礼ながら、改めてお聞き申し上げます。」
治安長官は、平伏せんばかりに尋ねた。
「あなたさまは、お噂通り、前ロデニウム公爵閣下でありましょうか。」
だめだよ!そっちから名前を言ったら。影共のマロクとシチカが顔を顰めた。いつものが出来ないじゃないか。
「そうかのう。」
ご老公は、品のある笑いを浮かべた。
「今は、旅から旅の流浪の身じゃからなあ。」
「そ、そして・・・・こちらのラウレスさまと言うのは、まさか!!」
もう、ここしかないな。
マロクとシチカは目配せしあった。
ずずいと前に出る。
「ええい!ひかえいひかえい!
ここにおわすお方をどなたと心得る!
恐れ多くも先の聖竜師団最高顧問ラウレス閣下にあらせられるぞっ」
「頭が高い! ひかえおろう!」
ええっ!
そっちなの?
ご老公は一瞬唖然とした顔をしたが、なんとか取り繕った。
ラウレスを中心に、一歩引いた位置に立つ。
一同は・・・冒険者たちも鉄道治安局のものたちも、そして、「絶士」シホウも平伏した。
なんとなくお約束のような気もしたし、目の前の青年がもし先ほど、空中からオーベルの破壊を宣言した古竜ならば、そうするしかなかった。
「保安局の隊長さんはどなたかな?」
ご老公は、目の奥に厳しい光を浮かべて隊長を立たせた。
「今回の鉄道公社の責任者はどなたかな?」
「は・・・・」
隊長の目が泳いだ。
「・・・ゼナス・ブォストル局長ですが。」
「そのものの元に我々を案内してもらおうか。」
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