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第6部 聖帝国ギウリークの終わりの始まり
第282話 この度はロウ=リンドが脱がされる番
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ギムリウスは、考えた。
たとえそれが敵でも、やたらに殺してしまうことは良くない。
後日なにかの使い道が見いだせるかもしれないからだ。(殺人に禁忌などまるでないギムリウスはそのように解釈していた)
ならば「無力化」で十分だろうが。これは意外と難しい。気を失わせるにしても麻痺させるにしてもどうも目の前の奴らは、いままで見た事のない身体の構造をしているのだ。
ギムリウスは、呪剣グリムを取り出すと、彼が絡めとった者たちを、致命傷にはならぬよう、注意深く一刺しすつしていった。
声もだせぬほどの激痛に、虫たちが痙攣しはじめるのを見て満足した。
これで、コイツらはなんの行動も出来ない。
自分がやった事に満足したギムリウスは、
満足して立ち去ろうとした。その背後から。
大きなバッタが襲ってきた。
両手はカマキリににた鎌状の武器になっている。
落下しかけたギムリウスは、糸を射出。いったんを天井に貼り付けて、振り子のように反対側の壁に飛んだ。
観衆はやんやの喝采を送った。
これも彼らには楽しい演出に見えたのだ。
楽団青ざめた妖精たち、が刺客どもと、ギムリウスの戦いにも巧みにメロディを提供したため、ダンスホールの天井付近(滑空しながら切り結ぶギムリウスたちを、観客は、一種の空中ブランコや綱渡りといった曲芸の一種と解釈したようだった。
ダンスホールではさらに、異様なことご起こっていた。
広間の周りには、絵画がずらりと。
歴代のガルフィード伯爵の肖像画や戦史における名場面を描いた絵がずらりと並べられていたのだか、その中の人物たちが、にやりと笑ったかと思うと、一斉に、筒を口にくわえた。
ロウは、アキルの体を抱え込むようにして、くるくると、回った。
四方八方からの吹き矢は、すべてロウの背中が受け止めた。
吹き矢には、肉を溶かす猛毒が塗られていた。
ようだ。
ようだ、というのは、人間相手を想定した毒など真祖吸血鬼であるロウの再生力を上回るはずもない。
ロウの背中ばシュウシュウと煙を上げた。
「ロウさんっ!」
アキルは悲鳴をあげかけたが、ロウがその唇をそっと塞いだ。
だが、ロウは渋い顔をしている。
「大丈夫だけど・・・・大丈夫じゃない。もっとこう、くっついてくれないかな、アキル。」
何を言ってるのだ、この吸血鬼は、とキスの余韻もないまま、アキルは目の前の真祖の顔を見つめた。
「腐食性の毒で。」とロウは、説明を試みる。
「体を溶かす。服も溶かす。
でもって体は、この程度の傷、あっという間に再生するのだが、服の方はそうはいかない。つまり。」
ヒュン。
飛来した矢を今度は手で遮った。
手首あたりに当たった矢が白煙を上げる。
服の手首から二の腕にかけてが、消失していく。体の方は・・・・損傷を受けたとわかる間も無く再生していく。
「わたしの服は、今、ほとんど前半分しか残ってない。背中からお尻がほとんど溶けてしまっていてスースーする。これでアキルが離れてしまうと、ただの布切れと化したわたしの服は、脱げ落ちて、ただのストリップと化すわけだ。」
実際、そのような状況になっていた。
ロウの背中から臀部にかけては、毒に溶かされた衣服の残骸がかろうじて部分的に、引っ掛かっているだけで、下着まで穴が空いていた。
観客は程よく酔っ払っていたので、これも結構下品ではあるが、演出の一環と判断し、嬌声をあげた。均整の取れた彫像を思わせるような肢体というのは、背中からとはいえ、十分見応えがあったし、前が見えないというのも想像力を掻き立てるものがあって、これはこれで悪くない。
「反撃、しないの?」
「奴らは絵の中から攻撃してくる。」
軽やかなステップで、ロウはアキルをリードして、床を滑るように移動する。
最初の攻撃は、奇襲となったので、咄嗟にアキルを庇いながら、背中で矢を受け止めることになったのだが、それがわかって仕舞えば、もうかわすことに困難はない。
「絵を破壊してもいいものかどうか。」
「アキルさま!」
天井から呼びかけたのは、12使徒のミランだった。
彼女だけは、頑固に着替えもせずに、ボロを身に纏っている。
「ぼくの影ぬいがつかえそうです。任せてくださいっ!」
影縫いってなに!?
と、アキルが聞く前に、ミランは行動に移った。
天井のシャンデリアが落とす影。それが一斉に持ち上がって、矢の形となり、吹き矢を持った絵画の登場人物たちに走った。
え?
アキルは、攻撃が止んだことに気がついた。ということは、ミランの攻撃が功を奏したのだろう。しかし。絵は健在だし、なんの破壊の後も見られない。
絵の登場人物は吹き矢を構えるのをやめ、元のポーズに戻っていた。
その目に恐怖と苦渋をたたえたまま。
「どうですか? ぼくの力!」
ミランはふわりと、ロウとアキルの隣に着地した。
そういうと結構かっこ良さげだが、格好が格好なので、ぼろ布が落ちてきただけのようにも見えた。
「アキル様の新しい教えにも、ルトのお好みにもあってます。誰も殺してませんよ。」
「え・・・・何をしたのかお姉さんにも分かりやすく話してくれるかな?」
何が起きたのか漠然とは気がついたロウが、やや引き攣った笑顔で尋ねた。
「あいつらを元の絵画に埋め込んだだけです。ずうっとあそこから出てくることはもうできません。」
たとえそれが敵でも、やたらに殺してしまうことは良くない。
後日なにかの使い道が見いだせるかもしれないからだ。(殺人に禁忌などまるでないギムリウスはそのように解釈していた)
ならば「無力化」で十分だろうが。これは意外と難しい。気を失わせるにしても麻痺させるにしてもどうも目の前の奴らは、いままで見た事のない身体の構造をしているのだ。
ギムリウスは、呪剣グリムを取り出すと、彼が絡めとった者たちを、致命傷にはならぬよう、注意深く一刺しすつしていった。
声もだせぬほどの激痛に、虫たちが痙攣しはじめるのを見て満足した。
これで、コイツらはなんの行動も出来ない。
自分がやった事に満足したギムリウスは、
満足して立ち去ろうとした。その背後から。
大きなバッタが襲ってきた。
両手はカマキリににた鎌状の武器になっている。
落下しかけたギムリウスは、糸を射出。いったんを天井に貼り付けて、振り子のように反対側の壁に飛んだ。
観衆はやんやの喝采を送った。
これも彼らには楽しい演出に見えたのだ。
楽団青ざめた妖精たち、が刺客どもと、ギムリウスの戦いにも巧みにメロディを提供したため、ダンスホールの天井付近(滑空しながら切り結ぶギムリウスたちを、観客は、一種の空中ブランコや綱渡りといった曲芸の一種と解釈したようだった。
ダンスホールではさらに、異様なことご起こっていた。
広間の周りには、絵画がずらりと。
歴代のガルフィード伯爵の肖像画や戦史における名場面を描いた絵がずらりと並べられていたのだか、その中の人物たちが、にやりと笑ったかと思うと、一斉に、筒を口にくわえた。
ロウは、アキルの体を抱え込むようにして、くるくると、回った。
四方八方からの吹き矢は、すべてロウの背中が受け止めた。
吹き矢には、肉を溶かす猛毒が塗られていた。
ようだ。
ようだ、というのは、人間相手を想定した毒など真祖吸血鬼であるロウの再生力を上回るはずもない。
ロウの背中ばシュウシュウと煙を上げた。
「ロウさんっ!」
アキルは悲鳴をあげかけたが、ロウがその唇をそっと塞いだ。
だが、ロウは渋い顔をしている。
「大丈夫だけど・・・・大丈夫じゃない。もっとこう、くっついてくれないかな、アキル。」
何を言ってるのだ、この吸血鬼は、とキスの余韻もないまま、アキルは目の前の真祖の顔を見つめた。
「腐食性の毒で。」とロウは、説明を試みる。
「体を溶かす。服も溶かす。
でもって体は、この程度の傷、あっという間に再生するのだが、服の方はそうはいかない。つまり。」
ヒュン。
飛来した矢を今度は手で遮った。
手首あたりに当たった矢が白煙を上げる。
服の手首から二の腕にかけてが、消失していく。体の方は・・・・損傷を受けたとわかる間も無く再生していく。
「わたしの服は、今、ほとんど前半分しか残ってない。背中からお尻がほとんど溶けてしまっていてスースーする。これでアキルが離れてしまうと、ただの布切れと化したわたしの服は、脱げ落ちて、ただのストリップと化すわけだ。」
実際、そのような状況になっていた。
ロウの背中から臀部にかけては、毒に溶かされた衣服の残骸がかろうじて部分的に、引っ掛かっているだけで、下着まで穴が空いていた。
観客は程よく酔っ払っていたので、これも結構下品ではあるが、演出の一環と判断し、嬌声をあげた。均整の取れた彫像を思わせるような肢体というのは、背中からとはいえ、十分見応えがあったし、前が見えないというのも想像力を掻き立てるものがあって、これはこれで悪くない。
「反撃、しないの?」
「奴らは絵の中から攻撃してくる。」
軽やかなステップで、ロウはアキルをリードして、床を滑るように移動する。
最初の攻撃は、奇襲となったので、咄嗟にアキルを庇いながら、背中で矢を受け止めることになったのだが、それがわかって仕舞えば、もうかわすことに困難はない。
「絵を破壊してもいいものかどうか。」
「アキルさま!」
天井から呼びかけたのは、12使徒のミランだった。
彼女だけは、頑固に着替えもせずに、ボロを身に纏っている。
「ぼくの影ぬいがつかえそうです。任せてくださいっ!」
影縫いってなに!?
と、アキルが聞く前に、ミランは行動に移った。
天井のシャンデリアが落とす影。それが一斉に持ち上がって、矢の形となり、吹き矢を持った絵画の登場人物たちに走った。
え?
アキルは、攻撃が止んだことに気がついた。ということは、ミランの攻撃が功を奏したのだろう。しかし。絵は健在だし、なんの破壊の後も見られない。
絵の登場人物は吹き矢を構えるのをやめ、元のポーズに戻っていた。
その目に恐怖と苦渋をたたえたまま。
「どうですか? ぼくの力!」
ミランはふわりと、ロウとアキルの隣に着地した。
そういうと結構かっこ良さげだが、格好が格好なので、ぼろ布が落ちてきただけのようにも見えた。
「アキル様の新しい教えにも、ルトのお好みにもあってます。誰も殺してませんよ。」
「え・・・・何をしたのかお姉さんにも分かりやすく話してくれるかな?」
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