神になった私は愛され過ぎる〜神チートは自重が出来ない〜

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第二章

お別れ

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「終わったかいのう」

「いらっしゃってましたか」

「まぁの。孫娘のマルティアの頼みじゃ。聞くしかあるまい。それに余計な事を言われる予感がしたからなぁ」

「殿下からお礼をお預かりしてます」

「ふん、聞こえておったよ」

 小さく、ドップリとした体型に良く蓄えられた髭。変わり者で有名なドワーフでいて鍛冶師の頂点に君臨する者…ガンロだ。

「花なんかに散々こき使いよって、約束を守らんのは困るからなぁ」

「監視、という事でしたか。ご心配には及びません。キングストン殿下が貴方の玄孫だとは誰も気づきません」

「そのご心配に及ばない話でこのワシを脅してきたのは何処のどいつだ?」

「それは私の部下ですね」

 はぁ、とため息をついた。強面のガンロに対しても一歩も引かず、いつも通りに笑顔のリーンに対してため息しか出なかったのだ。

「それで?きちんと渡したのか?」

「えぇ。“タブレット”渡しときましたよ。勿論、とても自然に」

「なら、よいわ。お前といる方があの子を守りやすくなるからのぉ。何処ぞの神様が、勝手に【勇者】にしとってからに」

 リーンがダーナロに来た最大の理由がこのガンロ。彼はひ孫のマルティアとの約束を果たす為に此方に技術を提供し、代わりに此方は今回の件に手を貸す事を約束をしていたのだ。(バレないように)

 彼らドワーフはアルエルムにある地下帝国からは余り出ない。エルフのように全く出ないのではなく、交易はするし、他国にて自らも商いを行ったりもするが、必ず自国に戻る。それは技術の漏洩を回避するためとか、後継に技術を伝えるためとか、色々言われているが正確には他に問題がある。
 その問題を解決する手段は今はなく、国を上げての大問題となっている。しかし、その問題を知るものはほんの僅かで、国の上層部のみに情報が統制されている。
 なので、ガンロのように国外に出続けるドワーフは少なくとても貴重な存在で重宝される。何故なら彼らは当たり前のように《錬金術》を使うからだ。
 リーンが彼を求めた理由もこれだった。
 エルフの《魔法陣》、ドワーフの《錬金術》と言う程に彼らはその技術を使いこなしているのだ。

 ガンロには“タブレット”を作る手伝いをしてもらった。
 勿論普通のではない。今までは一つのラピスラズリを2つ1組として2つの“タブレット”を繋いでいた。その為分け合った相手としか連絡が取れず、他の人と連絡を取る為には何個もピアスを持ち歩く必要があり、それがまた見分けが付きにくいと来た。誤送を危惧し使用を中止していた程だ。
 そして何よりピアスの片割れは全てリーンに預けられていた。全員リーン以外には連絡が取れないのだ。
 それを改善する為に考えたのが基地局だった。

 その完成版が今リーンが持っている水晶鏡だ。これが中継機となる様にリーンが持っていた全員分のピアスの傍れを一つに纏め埋め込み加工し錬金した物。
 リーンは新たなピアスを作ってその傍れもそこにうめ込んだので誰から連絡が来てもリーンの持つ新たなピアスが連絡を受け取る役割を担う作りとなっている。
 以前リヒトに貰ったものはそのままにしている。
 何となくこれだけはきちんと持っておきたいと思った。なので態々事情を説明してリヒト新たにピアスを送くり、結果今リーンとリヒトの両耳には澄み渡る空のようで夜空のような碧色のピアスが光っている。
 
「まぁいい。それよりもビルの話ではあのカミノハナに浄化効果があったとか。それは流石のワシも初耳だがな」

「カミノハナは瘴気を吸い込み、魔物の発生を止めてくれます。沢山あればその周辺では魔物は発生しないでしょう。流石に森との境目を全て崖にするわけにはいかなかったので」

 カミノハナは瘴気を吸い込み、綺麗な空気を吐き出す。その効果故にエリクサーの様な魔物に対しての傷に爆発的な効果を発揮する薬を作る素材だ。
 ただ浄化するだけで魔物が寄ってこないわけではない。

「だろうのぉ。お前さんと来たら…私の丹精込めて打った剣を何本ダメにしてくれたかいの?」

「すみません。数えてませんでした」

「…もう良い」

 当然魔物がリーンの周りにだけ発生しないなどと言うことはない。人里を散々襲い尽くしていたのはただリーンが周辺に無かったから。要は狩り尽くしていただけ、と言う事だ。

「中々楽しかったですよ?みんなと魔物狩りと崖作り」

「外に出れるのが楽しかっただけじゃろうて」

「そうとも言います」

 ため息を吐くしかないガンロは頭を抱えて項垂れた。
 リーン達の旅行は確かにこの国の観光の為にリーンが決行したものだ。だから魔物の退治も想定内で討伐はあくまで旅行のついでという程だ。
 ただイアンやサーベル、そして意外な人物ミモザの活躍を確認できたのは嬉しい誤算だ。彼らはリーンの安全の為にこぞって魔物討伐を行っていたのだ。
 そしてガンロの言う通り、後半はリーンも討伐を楽しんでいた。

「また、良いものをお願いしますね」

「この前のも壊したのか!!」

「いえ…その…少々刃こぼれを…」

 腰に刺してあった剣をそろりと差し出したリーン。ジャンプしながらぶんどったガンロは鞘から剣を取り出すとまた深いため息を漏らした。

「一体何を切ったらこうなるのじゃ」

「キングとゴールドとシルバーを少々…」

「あぁ、スネークか。奴の牙は中々…」

「いえ、ベアーの方です」

「…うむ。仕方があるまいな。もっと硬い素材に…いや、ここはしなやかな方が良いかもしれん…ブツブツ」

「そうですよね?やっぱり53体程やれば…」

「…53。ワハッハ!!やはりワシの打った剣は強いじゃろう!!」

「はい。ガンロ様の剣以外は1体で砕けました」

「…うむ」

 少し嬉しそうな、照れたような表情に戻ったガンロは蓄えられた髭を摩りながら、ブツブツを何か言いながら次の剣の構想を練っているようだ。
 何とも楽しそうでリーンもまた笑顔になる。

「まぁ、良い。それより、死病の詳しい事は話さないのか?」

「あれは…流石に話せません。ラテが私と居たいというのなら」

「まぁのう」

 ラテも神導十家と言われる特殊な家の生まれだ。これで神導十家に名を連ねる者はアリス、コンラッド家の長女ユーラシア、モナミ伯爵家次男ディーン、そして使用人のラテとフォークネルだ。
 彼らは特別に神から愛されていた子の末裔達で今もなお、神からの格別の恩恵を与えられている。
 アリスは《絶対記憶》。ユーラシアは《リダイアル》。ラテは《アンダーテイカー(未来視)》。ディーンは《フェイト》。フォークネルは《トレース》とそれぞれが他にはない特別な能力を持っている。これはどんなに努力しても手の届かない格別の恩恵でその家の者にしか受け継がれない。
 今回はラテの《アンダーテイカー》によって全ての問題を解決した。仕事をする代わりにリーンとこの先を共にしたいと懇願した彼女の願いを聞き入れた。
 特にメルーサの心変わりはラテ以外には読めない。ラテがメルーサが死して呪いをばら撒かない確定した未来を見たことで彼女の処刑を踏み切る事が出来たのだ。
 この様な特殊な能力を持つ事により彼女ら神導十家はかなりの力や地位を持ち、かつ恐れられて来た。それを利用しようと謀る者や陥れようとする者、肖りたい者、妬む者に常に狙われる立場にある。現にアリスとラテは狙われた結果、路上生活を強いられていたし、フォークネルはあのメルーサと過ごしていた山小屋でひっそりと身を隠しているところをリーンが保護し、コンラッド家はユーラシアを守るため心を売って国王に忠誠を誓った。
 このように神導十家は国などに保護を受けるかフォークネルのようにひっそりと身を隠して表に出てこないようにしているか能力を隠して生きて来た。

「まぁ、ワシは嬢ちゃんらが安全ならなんでもいいがの」

「大丈夫です」

「だろうのぉ」


 ガンロと共に屋敷に戻る。
 屋敷は相変わらず賑やかで…でも落ち着く良い場所だ。でもそれも今日で最後。次に腰を落ち着ける所もこのような場所であって欲しい。そうしたい。

 リーンは突然両手を叩き、周囲の動きを止めさせる。注目を浴びる程の内容ではなかったので、少し居た堪れない。

「…お別れ会しましょうか?」

 そんなリーンの一言でお別れパーティーは始まった。ダーナロ王国最後の日にして急遽始まった別れ会は丸一日続いた。

「レスター。家族ってこんな感じでしょうか」

「…家族、そうですね。私も家族というものを良くは知らないのですが、多分、こんな感じなのでしょう」

「そうですか。楽しそうですね」

 飲んで食べての大騒ぎで楽しそうな皆んなの顔を何処か遠い目をして見ているリーン。彼女の本物の笑顔いつかは見れるのだろうか、とレスターは目を逸らした。














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