神になった私は愛され過ぎる〜神チートは自重が出来ない〜

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第三章

別の仕事

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 アルドを出た一行が次に目指したのはナイシャールという街。此処は鉱山があり、それを求めて鍛治師や宝石商などが集まる栄華の街。
 街並みもかなり綺麗で統一感のある建物が更にこの街の素晴らしさを引き出している。
 逆に言えば、看板が無ければ住居なのか店舗なのかも分からないほどに全てが白い壁に赤い屋根と言うドブロヴニクの様な街並みは目を見張るものがある。これだけで観光産業は潤っているだろう。

「素敵な街並みですね」

「あちらに見える高台に街並みを一望出来る展望台が有ります。其方から見ると更に絶景で御座います」

 街について早々にイアンが宿屋の見聞に行って仕舞い今日は落ち着いてレスターの腕の中にいた。
 顔色一つ変えずに淡々とリーンと話すレスターの姿を見てポートガス一行は少し不思議に思っていた。
 大分レスターの表情筋が発達して来たと思っているのはリーンとミモザだけで基本的に仏頂面のレスターはリーンやミモザ以外には機嫌が悪く見えてしまうのだ。
 昨日セントフォールに一瞬で奪われ、念願のリーン抱っこだと言うのに機嫌が悪いのは何故なのだろうと思うのは仕方がない事かも知れない。

「レスター」

「はい、リーン様」

 リーンはレスターに耳打ちする。
 この光景はヴェルスダルムに上陸してから幾度となく見た。そしてリーンが耳打ちをするのはレスターとイアンだけだと言う事が判るくらい多い。
 そして何より何を話しているのかは3人だけの間だけで共有されているので、レスターとイアンが耳打ちしている所も同じくらいに目撃されている。
 こうも目の前でやられると人間誰しも気になる訳で。ポートガス親子、その連れ達は勿論のことだが、一緒に行動するミモザやラテ、イッシュなどもヤキモキしているのは間違いない。
 ただそれをリーン周辺の誰も問う事は一切無いので、クロードは何も聞かずにいるのだ。

「お願いしますね」

「はい、後ほど伝えておきます」

 如何やら今回は誰かにお願いがあるようだ。
 かと言ってその本人がその内容を漏らす事は無いのだろう。

「ポートガス卿、高台の展望台にご案内頂けますか?」

 セントフォールに手を伸ばしながら言うリーンの手を取ったのはクロードだった。それでも驚きもせずそのまま抱き抱えられたのはレスターがセントフォールよりもクロードの方が良いと判断したからなのだが。

「参りましょうか」

「はい、お願いします」

 少し嬉しそうな声が聞こえて来たので、意外にもクロードはずっと抱っこしたかったのだろう。
 またしても機会を逃したミモザをラテやイッシュが宥めているのを小耳に挟みつつリーンはクロードと他愛もない話をしていた。

「リーン様、そう言えば使用人が少し減っている様に感じるのですが?」

「お伝えするのが遅れて申し訳ありません。少し仕事を頼んでおりまして、悪さをする訳ではないですよ」

「いえ、そんな事は微塵も思っておりませんよ。しかし、ただでさえ少ない使用人を減らしてしまっているので少し心配になりまして」

「…?」

 クロードの言うリーンの使用人達(使用人と子供達と職人と支店店長+アンティメイティア)は総勢40名にもなると言うのに少ないと言うのなら、クロードはどれだけ抱えているのだろうかと少し疑問に思った。
 今はバロッサに元伯爵令嬢美貌のアンティメイティア、細工師見習いストック、支店長ルーベンとメリッサとオリバーを、アルドには、鍛治師ガンロ、ィ、薬師兼植物学士見習いのキール、支店長ハボック、テオドア、ライガ、ローラをそれぞれの場所に置いて来た。

「何が流行り、何が無いのか。それを知れば自ずと今後に必要な物事が分かる。リーン様は勿論何でも知ってらっしゃいますが、実際にリーン様と過ごして来た彼らが見聞きした物の方が考えつかない何かを得られると考えられたのです。目は沢山あったほうがいい。多ければ多いほど色んな角度からの視点でその物事を把握出来、それが発想に繋がるのです」

「成程…」

「それに私の守りに関してはイアンがいれば何の問題もありません。元より護衛は必要も無いのですが。世話係もレスターとミモザが入れば間に合います。これでも多い程ですよ」

「しかし、神に仕える者がこの人数となると【錬金王】や各地の王族は使用人を減らさなければならなくなり、路頭に迷う者も増えてしまいます」

「私も腰を据えていれば吝かではありませんが、現時点では各地を移動しておりますので、管理も難しく。これ以上を考える事はありません」

 正直言えば、もう人はあまり要らない。数人欲しい人材はいるがそれは今すぐではない。職人達が助手が欲しいと言って来れば直ぐにでも人を増やすだろうが、今は移動だけで何かを作ったりもしていないので言ってくることもないだろう。
 ただ、それがこの国の住民達の安寧を脅かすのであれば考えなくも無いが、それも今直ぐでは無いのだ。幾ら宿泊費や旅費がタダとは言え、移動するには随分と多い人数だと思っているのだから無理もない話なのだが。
 少し突き放す様な言い方だったかもしれないが、特に何か言われる事も挙動が変わる事も無かったのでリーンも気にはしない。

「もう少しで着きます」

 馬車で揺られること数分。
 しっかりと整備された道は凹凸となく快適だ。勿論リーンはクロードの膝の上なので元よりその心配は無いのだが。

「やはり素晴らしいですね」

「夕暮れ時は更に美しく、夜は街明かりでこの景色が輝きます」

 高台に作られた展望台は山を切り開いて作られており、カップルに喜ばれるだろうレストランや小物や宝石店もある。観光地としても申し分なく、昼間の今も赤と白のコントラストが空の青さとの対比で美しい。
 ついでに近くのレストランで食事を取る事になり、流石にお昼時で混み合っていたため、数人の使用人と職人だけを残して他の者には自由時間とした。

「この店は食事もさることながら食器やカトラリーなども大変こだわっており、目でも楽しんで頂けると思います」

「本日は御来店ありがとうございます。オーナーシェフのニフカ・マクガレンと申します。本日は宜しくお願い致します」

「マクガレン、いつもので頼む」

「かしこまりました」

 如何やらクロードはここの常連だったようだ。混み合う時間帯にも関わらず、直ぐに席を通されたのはクロードの力なのか、元々予約を入れていたのかは分からないが大変有り難い。

「リーン様!この店は『マグナロギア』と言う肉料理にとても有名でとても絶品なのです!」

「確か、ロギアの肉をホロホロになるまで煮込んだ料理だと記憶しております」

「はい!流石リーン様です!マクガレンが作るロギアの肉料理で『マグナロギア』と名付けられたのです」

「セフォは物知りですね」

 にこりとも笑わないリーンを見て煽てられたとも思わず、デレデレのセントフォールにクロードが一発拳を叩き込んだが特に気にする素振りはなく。彼はもうリーンに盲目になっているのだろう。

「リーン様、店を出た後は如何なさいますか?」

「ポートガス卿のお勧めが有れば其方に、この外遊は面通しがメインなのですからお任せしますよ」

「では、お言葉に甘えまして、お連れしたい所が御座います」

「分かりました、其方に参りましょう」

 リーンとクロード、セントフォールが次の予定を話す中、レストランに残ったレスター、ミモザ、ラテ、カール、アース、レーネは別件の話し合いをしていた。

「この街にはアース、レーネとサーベル、木工士ベンウィックスと陶芸士エマ夫妻とその息子フレディ、見習い料理人達3人を残すそうだ。アースはロギアの調査研究、レーネはこの街の特産品、ハスィロの調査研究、その他料理、甘味の新たな開発研究、新食材などの調査収集を手分けして頼む。サーベルはこの鉱山の地質調査、採掘量、採掘権の取得は可能なのか、そして細工品の剪定とサポート兼連絡係だ。“タブレット”扱いについては十分に気をつけること」

「「かしこまりました」」

「1ヶ月の外遊が終了次第集合地を連絡するのでそれまでは予定通りアルドだ。サーベル達にも伝えておいてくれ」

「「了解致しました」」

 2人がしっかりと頷いたのを確認するとレスターはミモザ達共にリーン達の席に戻る。
 相変わらず他愛もない話で盛り上がる光景に慣れつつもリーンの予測不能な行動に悩まされる2人なのだった。
 



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