神になった私は愛され過ぎる〜神チートは自重が出来ない〜

ree

文字の大きさ
134 / 188
第三章

よく分からない関係

しおりを挟む


「あぁ、フォーク。良かった!此処にいたんだね。突然居なくなるから心配したじゃないか。お腹が空いていたのかい?」

「イッシュさん」

「あれ!良かった!フォークネル様ここに居たんですね!」

「良かったぁ」

「ご、ごめんね。グレイ君とアイザック君」

 彼らも探してくれていたのだろう、少し息を切らしながら近づいて来る。

「いえいえ、ご無事で何よりです」

「フォークネルさんになんかあったら僕達が怒られますから」

「もう、僕たちから離れないでくださいね」

「うん。分かったよ…こめんね」

 お願いしますよ、と言われ落ち込むフォークネルをあやすように撫で回す2人。この光景は彼らにとっては日常茶飯事なのだろう。

「お疲れ様。終わったかしら?」

「かしら?」

「はい、終わりました」

「結果は?」

 2人は少し悔しそうに俯く。

「予想通りの結果でした」

「…許せません」

「厄介なことになったわね」

「なったね」

「なりましたね…」

「なったの?」

 フォークネル以外は困ったと天を仰ぐ。
 フォークネルはそれを真似するだけ。

「フォークはどう?」

「《ポータル》は出来る様になったよ、アリィ」

「流石ね!フォーク!」

 また、ヨシヨシされるフォーク。
 人通りの多い通りに面しているレストランなだけあって注目が集まっている。なんたって美人系から可愛い系までの色とりどりの美形揃いの集団であるからだ。

「ジェシーはどう?」

「ジェシーグッド!」

「イッシュさんは?」

「私の方は少し素材が足りないのでこの後は森の方に行こうかと思っております」

「じゃあ、少し移動しましょうか」

 アリアは周りを見渡す。
 人混みからの視線をさせるように路地に進む。

「とりあえず、イッシュさんは引き続き薬草の件を」

「分かりました」

「この先の事はザック、頼むわね」

「はい、少しお時間をください」

「うん、よろしくね」

「ね」

 アイザックは近くの石垣に腰を落とす。
 ブツブツといつものように何か考えているようだ。
 こうなった彼は何をされても集中を切らさない。例えその思考中に敵に襲われようが、何日かかろうが不眠不休で考え続けるのだ。まぁ、そこまでかかった事はないのだが。
 これが彼の真骨頂《軍師》のスキル。
 状況を瞬時に把握し、掌握し、解決まで導くスキル。下位互換として《参謀》があり、先日《軍師》に昇格したばかり。腕の見せ所だ。
 彼は実は無敗を誇る【プレイヤー】だ。
 そのクラス通り、彼はこの世界にあるありとあらゆるゲーム全てで未だに負けた事がない。特に駒を操るようなゲームに関しては圧倒的な力を持つ。

「こうなったら終わるまで待つしかないわ。グレイはここでザックが終わるのを待って貰う。イッシュはさっきの通りに。私、ジェシー、フォークは少し調べて事をしてくるわ。また夜に合流しましょ」

「では、私は森へ」

「気をつけてね、イッシュ」

「気をつけてね」

 イッシュ、グレイ、アイザックと別れて3人は大通りへ出る。

「フォークはこれからどうしたらいいと思う?」

「ぼ、僕?」

 1番何も分かっていないフォークネルにアリアが質問する意味を彼は考える。

「僕に、出来ることある?」

「うん、フォークにしか出来ないことがある」

「わ、分かった」

 彼の予想通りアリアは彼がやると言うのを待っていたようだ。狡く見えるかもしれないが、彼の能力上それが一番大切な条件となる。
 彼の技能《トレース》は人の姿形から仕草、癖、言動を完璧に自分に写す能力だ。しかし、これに幾つか条件がある。その人物を自身の目で見た事がある事。その人物と会話をした事がある事。そして何か一つその相手の身体の一部を得る事。そしてその人になりたいと思っている事。
 要は本人にやる気がなければ難しいと言う事だ。
 無理矢理にやらせれば《トレース》は失敗におわる。だからあえて彼に自発的なやる気を求めたのだ。
 アリアがこうするのはフォークネル自身が自身の能力をあまり理解しておらず、なので今はアリアが手綱を握っている状態だ。

「ありがとう、フォーク。私達が貴方の事をきちんと守るから安心して」

「安心して」

「うん!任せて僕出来るよ」

 とびっきりの笑顔のフォークネルの頭を2人で撫でる。相変わらず喜ぶフォークネルは何とも可愛らしいのだ。

「じゃあその前に買い出しね」

「何を買うの?」

「成り切るための衣装よ」

「アリィ、今回は男?女?」

「ふっふっふ~!今回は何と!女の子でーす!」

「うむ、やる気出た」

「僕、頑張ります!」

 楽しそうな3人組は肩を組み合って人混みへ消えていった。


 一方。
 グレイ、アイザック組。

「……今何時?」

「ん?終わった?今回は早かったね。あれから3時間くらいだよ」

「そう、良かった。今回はちょっと真面目にやってみた」

「君はいつも真面目だよ」

 グレイはアイザックに手を差し伸べる。
 毎回長時間同じ体制で考え込むアイザックは、この度に身体を痛めてなかなか立ち上がれない。
 そしてそれに毎回付き合っているグレイはもう慣れたものでどのくらいなら立てる、立てないが分かるようになっていた。

「今のでちょっとレベル上がったし。しかも、これかなり難しい案件だわ」

「君がそう言う時は覚悟しとかないとだね」

「あー、俺宿戻るわ」

「何か必要なものある?」

「ん、これ頼むわ」

「了解」

 アイザックから渡された木札に目を通して胸ポケットに仕舞い込む。
 欠伸をするアイザックを宿屋まで送り届けるとグレイは片道を引き返す。
 宿屋街を早足で横切り、レストランまで戻り、その先の商店街に向かう。

「何だ、すぐ見つかるじゃん」

 グレイはアイザックに渡された木札に記された買い物を済ませていく。
 屋台の様な店、路売りの様な店、出店、店舗など業態は様々で食品から日用品、武器まで何でも集まる賑やかな所だ。

「おばさん、これってどっちの方が丈夫?」

「ん?あぁこれなら、あんたの右手のやつの方が丈夫で長く使えるよ」

「ありがとう。んじゃこっち10個ね」

「まいど!」

 気さくな人達。可愛い子供達。とても良い雰囲気だ。街はどちらかと言えば田舎っぽい雰囲気で建物は煤けた木だったり、岩壁だったり、とても古めかしい。
 彼らはこの街で何が起こっているのか何も知らない。知らないままで良い。何としてもその前に全てを終わらせなければ。
 
 商店街を出て、レストランの手前の路地に入る。

「必要な物は手に入った?」

「…貴様は」

 ゆっくりとした歩調だが、淡々とした足取りで徐々に距離を詰めていくグレイ。相手は4人組で距離を詰めていくグレイに対して警戒態勢を取ったまま動かない。

「何がしたかったのか、教えてくれたらアイザックには言わないであげるけど」

「…言う訳がないだろう」

「ふーん。じゃあ僕のことは知ってる?」

「…」

 4人とも黒尽くめで怪しいのは勿論だが、手にしている武器もあまり見慣れない物でグレイは細部まで目を光らせる。

「…何故戻ってきた」

「え、こっちが質問したのに、質問してくるの?」

「答えろ」

「えー、僕君達の正体知ってるんだけど」

「…」

 縮まってきた距離。
 ジリジリと後退していくのは4人組。
 普通ならどう考えても相手の方が有利なはずなのにすぐにグレイを襲わない。

「ふふ、こんにちは騎士の皆さん」

「な!!」

「あ~、お仲間をお探しならご案内しますけど?」

「…やはり貴様が…」

「あ!誤解しないでくださいね?僕達は何もしてませんから。いや、してない事もないけど」

「貴様が!」

「…?こんにちは騎士様。グレイくん、アイザックくんは?」

「アイザックは宿に戻りました」

 イッシュが安心したように微笑む。
 騎士達はきたばかりのイッシュにもバレたことに驚き声を顰めて話し合っている。

「今回はかなり早かったようだね。まだかと思って戻って来てみたんだ」

「イッシュさんも早かったね。僕はアイザックに頼まれた物の買い出し終わって宿に所だよ」

「それで…彼らは何故あのような格好を?」

「ん~、ずっとコソコソついて来てたのに急に辞めたから気になって見に来ただけだから分からないんだ」

「そうだったんですね、てっきり隊長さんがよこした護衛隊の方なのかと思ってたんですが、違ったのですね」

「そう、副隊長探してるみたいで」

「あぁ、あの方を。それだったらこのレストランでずっと暗い顔で独り言呟いてますよ?」

「「「「え?」」」」

 お互いに顔を見合わせる4人。
 ニッコリ笑う2人にだんだんたらたらと汗が垂れてくる。

「あ~、用事を思い出した。情報提供感謝する!では!」

「あれ?副隊長はいいんですか??」

「んじゃ、帰りますか!」

「帰りましょう」






しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです

忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!

yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。 しかしそれは神のミスによるものだった。 神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。 そして橘 涼太に提案をする。 『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。 橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。 しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。 さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。 これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...