神になった私は愛され過ぎる〜神チートは自重が出来ない〜

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第三章

錬金王

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「ようこそお越しくださいました。私が彼らの主人エリザベス・ヴェールズ・アルチェンロで御座います。是非エリーとお呼びくださいまし。そして、我らの願いにお応えていただき誠にありがとうございますわ」

 丁寧な言葉使いではあるが端々に少し訛りを感じる。妙に高めなテンションも、荒めの息遣いも、ギラギラと輝かせている目も彼女の興奮度を物語っている。
 ただ特に嫌悪感はなく、慕われている事も良く分かるし、一様帝国ヴェールズの主人で大陸の覇者で尚且つ【錬金王】という立場にありながら見事な土下座挨拶をかましてくれているのだから、敬う心も伝わってくる。

「初めまして、リーンハルトと申します。キャラベリンドールの方が宜しかったでしょうか?」

「いえいえ、面目もございません。如何なるお姿であろうと貴方様から漏れ出す爽やかで且つ暖かく、心地の良いマナの波動が私へと流れて来ます。我々御使はそれで直ぐに分かります」

「…そうなのですか。じゃあ、【賢者】にも【勇者】にも分かっていたのでしょうか?」

「えぇ、分かってらっしゃると思いますわ。…私達は例え遠く離れた場所に居ようとも常に貴方様の存在を感じているのです」

 まともな会話が出来ている。
 出来ているのだが、やはり彼女は興奮冷め止まない様で呼吸が苦しそうに見える。

「そろそろ、お席にご案内頂いても宜しいでしょうか?」

「そうですわね。気が付かず申し訳ありませんわ」

 レスターの起点で漸く落ち着いて話せるようだ。
 城の中は彼女の趣味が色濃く出ていて赤と黒を基調とした物が多い。赤い絨毯に、黒いカーテン、赤い椅子に黒い机。毒々しい様にも見えるが彼女自身が黒髪に赤い目なのもあり、これが普通なのだと言って聞かせているように見える。
 促されたままに真っ赤な長椅子にレスターがいつも通りリーンを座らせる。

「あっあ、あ~…す、素晴らしいわ…」

「…?」

 ギラギラか、うっとりか、もうどちらかわからない程の鼻息の荒さ。何度か目にした事があったが、彼女ほどの物は流石に初めだ。

「…お嬢…流石にヨダレは…。神様も…そこまで行くと引きますぜ?後ろの方々の目を見て下さいよ」

「あら、やだ…。レオンもっと早く言ってくださいな…恥ずかしい」

「彼らは?」

「ご紹介させて頂きますわ。彼らは私の夫で御座いますの。この厳ついのがレオン、そしてこっちの可愛いのがシメオン、この胡散臭いのがハーヴィー、この紳士がシャル、この面倒くさがりがトール、この小さい子はニコラス、大人しいのがロイドですわ」

 1人づつ見事なカーテシーをして微笑む。
 皆んな綺麗な御仁だが、雰囲気も見た目もバラバラで彼女への接し方も彼女の接し方もまちまちで。なのに全員が彼女の夫、皇配だというのだから何とも不思議だ。
 一夫一妻性が一般的な世界で生きてきたリーンにとって元々の概念が違うのだからしっくり来ないだけなのだが、これを簡単に受け入れられたのは彼女が皆んなを愛しているというには少し違うように見えたからだ。

「エリーはショタコンなのですか?」

「…え、ショ?ですの?」

「…?」

「リーン様、ショタコンとはどう言った物なのでしょうか」

 リーンは首を傾げる。
 どう言ったもの、と言われても。
 リーンは近くにいたキールの顎に手を伸ばし優しくさする。

「このキールは紛れもなくショタですね。ショタは可愛い?小さな男の子って事で…コンはそれが好き?って感じですかね」

「ハルト様。僕は“小悪魔”だったのでは?」

「えっと…それは属性…?と言いまして…私も詳しくは無いので…キールはショタの属性“小悪魔”ですね?」

 リーンの頭にハテナが浮かぶように、みんなにもハテナが浮かぶ中、1人目を輝かせているのはエリザベス。

「ショタ!小悪魔!なんて素晴らしい言葉の響きなのでしょう!他にはどんな属性が?いえ、レオンやシャルみたいな大人はなんと呼ぶのでしょう!

「レオンさんは多分ガテン系?かワイルド系で、シャルさんは紳士…あれ、結婚してるならスパダリ?ってのもあったような…」

「レオンがガテン、ワイルド…シャルがスパダリ…。どう言う意味なのでしょう…そしてニコとシメオンはショタでそれを夫にした私はショタコンと言うものなのですね…」

 相変わらず鼻息の荒いエリザベス。
 本当に前世で良い行いをして、【錬金王】を授かり、神が認めた存在なのか疑わしく感じる。

「あ、ニコラスさんは違います」

「なぜですの?ニコも可愛い小さな男の子ですわ」

「小さいのは大きさではなく年齢のことですね。ニコラスさんはもう18歳です。ショタは成人前の少年の事を…」

「そうですのね!ではニコは何になるのでしょう!」

 流石の勢いに押され気味だ。
 水を得た魚の様な勢いで身を乗り出すエリザベス。それを抑えるのかレオンの役目の様だ。

「ニコラスさんは合法ショタに当てはまるかと。貴族は成人前でも婚約が出来ますが、それでもやはり結婚は成人後です。結婚出来るけど見た目はショタ。これが合法ショタとなります」

「合法…怪しげな響きのお言葉ですわ!!」

 正直そっち方面はあまり詳しくないので間違っているかも知れないし、法律などは日本の様には整備されていない。だから伝え方も難しいし、元よりこっちにはない言葉なのだから嘘や間違いも本当になってしまう。
 こう言う事態はこれまでも何度も経験した。クリスマスや年越し、正月もその一端だ。
 だからもうあまり気にしない事にしている。
 その方が楽だからだ。

「それで!それで!リーン様!他には!何が…」

「お嬢、落ち着けって」

「何ですの?今いい所…」

「お嬢!」

 ピンッとおでこを小突かれたエリザベスは痛みからおでこを抑えている。ぷんぷんと怒りながらも楽しみを奪われたと反抗するその反応は可愛らしく、【錬金王】と言うよりも普通女性なのだと思った。
 こういった所からもレオンが他の旦那とは違う間柄なんだと言うことが何となく分かる。

「レオンさん。私は大丈夫ですよ」

「それならいんですが…その、後ろの方々の目が…」

「…そうですね。分かりやすく説明するのはまた今度に致しましょう。今日は話しておきたい事が御座います」

 先ほどからビシビシと感じる殺気をもう気付かぬふりは出来ないようだ。此処からは真面目な話をしなくてはならない。

「…お話ですの?」

「えぇ、今回はディーン君を遣わせて頂いたお礼とその働きの感謝をお伝えしようと此処まで参りましたが、この後は自由にさせて頂きたい」

「えぇ、もちろんですわ!神を縛り付けるなどあってはならない事。重々承知しておりますわ」

「では、もう一つ。近々向こうに戻ります」

「あら、そうですの?もっとお話ししたかったのに」

「少し野暮用がありまして」

「…?」

 エリザベスはコテン、と頭を傾げる。
 正直言ってこれまで対等な関係になれたのは【勇者】だけ。リヒト達もレスターもどちらかと言えば下手に出てくれていたし、それで言うとイアンは対等に近い形かもしれない。でもそれも最近は、という感じでそれ以前は子供のようなイアンに常識を教える先生のような立場だった。
 【錬金王】の彼女も此方に遠慮せず、普通に会話を楽しむ事が出来る対等な関係を敢えて演じてくれてる。
 見えない何かで繋がっていて、彼らには私の望みが伝わっているような感覚。
 凄く居心地がいい。
 でも分かってくれている彼女以外にどうして欲しいのかを言う気はない。
 矛盾しているかも知れないが、言った事で周りが変わるのは嫌だからだ。
 
「それでお耳には入っていると思いますが、ディーンから自由にして良いとの話を受けたので、アルド近くの山脈地帯を買い取って街を起こそうと思います」

「それはそれは!大変喜ばしいことですわ!欲を言えばもっとアルチェンロに近かったら宜しかったのですわ」

 少し大袈裟に肩を落としたエリザベス。でも、此処まで見てきた彼女の性格上これが本音であり、本気で言ってる事だけは良く分かる。

「当分は町おこしになりますので出来たらご報告致します。……それよりも」

「…えぇ、こればかりは我々は力及ばす、なのですわ。城の中だけは安全ですの。私にはロイドがおりますから」

「例え王だったとしても全ての悪を取り締まるのは難しいものです。そこでお願いが一つ。これまで訪れた街では私の部下が現在も浄化して回っております。悪魔にされた者は灰となって骨すら残らず消え去ります。ご遺族への対応をお任せしたい」

「そうですわね。いつまでも見て見ぬふりは出来ませんもの。その件に関してはお任せ下さい」

 流石は女帝である。
 国民への義務とは言え、立場上とても嫌な仕事なのは間違いない。一歩間違えれば帝としての立場を悪くする可能性すらあるのに、それでも先程までの対応とは打って変わり、顔色一つ変えず淡々とこの件を了承したのだ。
 
 








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