神になった私は愛され過ぎる〜神チートは自重が出来ない〜

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第四章

強力な協力者

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 暫くの無言が続く。
 コロンのアホ発言にエイフリアの顳顬に青筋が立っているがそれ以外は何も変わらない。

 とにかく話にならないと自身で入れたお茶を飲むコロンにリーンはゆっくりと口を開いた。

「出来ないことではありません」

「出来る、出来ないの問題じゃないなのね!」

「なら、話しは早い。実際にディアブロをヤるのは私です。手伝って欲しいと言う事です」

「嫌なのね」

 頑なにディアブロと退治する事を拒むコロン。
 エイフリアの顳顬の青筋がどんどんと増えていく。

「あんたが神だと言うのなら分かる筈なのね。私は誰に何を言われようと絶対に協力することはないのね」

「そうですか。では、違う方にお願いするとしましょう。行きますよ、エイフリア」

「はい、ドール様」

「…ま、まつなのね。誰に頼むと言うのね」

「そうですね、誰にしましょう」

「決まってもないのね!」

「えぇ。断られると思っていなかったので、何も考えておりませんでした」

 リーンの発言に目を見開いて驚くコロン。一体何を持って断られないと思っていたのか彼女には想像も付かない。
 そもそも、何故自分なのかも分からない。
 確かに、ディアブロが何者なのか知っていて、彼がこの世界で何をしているのかも知っているのは神以外には自分だけだと言うことは知っている。
 だとしてもだ。
 だからこそ、自分はディアブロの恐ろしさと絶対的な強さを知ってしまっていて、今もなお逃げ続けているのに立ち向かえと言うのは可笑しな話しではないだろうか、とコロンは思う。

「と、とにかく。生半可な相手ではないのね。それが神だとしても勝敗は五分五分なのね。どうするつもりなのね」

「コロンさんは怖いのですか?それとも悲しいのですか?」

「…どっちもなのね。奴を倒せるとしたら神と私くらいなのね。その二人が協力するとなれば、結果は6-4…いや、7-3ぐらいにはなるのね。でも確実じゃないのね。それで挑んでどっちも居なくなったらこの世界は終わりなのね」

 コロンは冷静に状況を言う。
 それが現実なのだ。確実にやれないのならこうして先延ばしにしていくのが一番良いとコロンは思っていた。
 自分が生きている限りディアブロは大々的な行動には出れない筈。その為にこれまでも幾度となく居場所を突き止めては刺客を送り込んできているからだ。

「私の見解だと貴方がいれば100%勝てるのですが」

「甘い!甘すぎる!奴がそんな簡単にヤるれわけないのね!」

「コロンさんは何か忘れてませんか。ドール様はアポロレイドール様でもあるのですよ?」

「…アポロ…まさかなのね」

「姿形は自在、ドール様はアポロレイドール様であり、キャラベリンドール様であり、コートバルサドール様であり、ヴェルムナルドール様でもあり、また他の神でもあるのです」

「私は貴方を【大魔法師】にしようと思っています」

「なっ…!」

 意味がわからないわけじゃない。頭が回っていないだけだ。内容を噛み砕いても噛み砕いても、入ってこない。延々に頭の中をループしているようだった。
 確かに望んでた。自分がこの世界で一番の魔法使いだと言う自信もあった。
 ディアブロに追いかけ回される生活じゃなかったらどれだけ世界に貢献出来たか分からない。
 それでも、なれなかった者になれると告げられたことに実感が湧かないのだ。

「私が【大魔法師】に選ばれるなのね…?」

「貴方にしかなれないのです」

「私にしか…なのね」

 挫折しかけた事も何度もあるし、闇雲にやり過ぎて死にかけた事だってある。今はディアブロに敵視され、いつ襲われるか、と生活もままならない。
 何もかもを投げ打ってたどり着いたのがそんなものだと気付いた時、どれほどの絶望を味わった事だろうか。
 なのに、誰にも知られる事なく、力を使う事も出来ず、当然死ぬ事も許されず、孤独な戦いを強いられ続けている。

「【大魔法師】は並の人間が持てる力ではありません。当然他の力もそうですが、大きな力は持つ者にそれに伴う大きな覚悟が必要なのです」

「覚悟、そうなのね。覚悟が必要なのね。私は一人で背負って来たのね」

「えぇ。貴方がいなかったらとうにこの世界は消滅していた事でしょう」

 驕り高ぶらず、常に自身を見つめ直し、自信を持って行動出来、見返りを求めず、他人を気遣い、自分を指す出す、そんな覚悟をして初めて大きな力を扱えるようになる。
 エルフの長が力を扱いきれていないように、覚悟がなければ、なにをかもを差し出す決意が出来なければ到底その域には達しない。

「私の努力は報われる、なのね」

「遅くなり申し訳ありません」

「良いのね。あぁ、報われる…全てが報われるのね…この日が、この日が来るのを待っていたのね…」

 込み上げてくる何かを抑えながら、やっと湧いて来た実感と嬉しさをゆっくりと噛み締める。

 リーンはコロンが入れたお茶を飲んで腰を落ち着ける。
 コロンがこちら側について尚且つ協力してもらうのは絶対だ。戦いはまだ始まったばかり。何もかもがこれからなのだ。
 だから、きっと最後だろう静かなこの時間をリーンも噛み締める。此処から全てが始まるのだ。

「貴方にやって貰いたいことがあります」

「言うのね。何でもやるなのね」

「では、まず…」

 しっかりと相槌を打って話しを聞いてくれるコロン。その目の輝きは希望に満ち満ちている。

「分かったなのね。ただ、少し準備が要るなのね」

「どのくらいで動けそうですか」

「そうなのね…一ヶ月はいるなのね」

「分かりました。私の方もやらなければならないことがあるので、一ヶ月後またお会いしましょう。それまでの間、邪魔が入らないように此処に結界を張っておきます。何が来ても絶対に守ってくれるものです」

「絶対なのね」

「えぇ。絶対、です」

 次の会う約束をして、リーンはコロンの家を去る。約束の時は一ヶ月後だ。




「何から始めましょうか」

「村長と話しましょう」

「先程の方法で参りましょうか?」

「その方が良かったみたいです」

 コロンに散々疑われ、抵抗され続けたのを踏まえて神だといきなり紹介するのは辞めになった。
 そもそもリーンはこれが成功するとは全く思っていない。

 此処はアルエルム。
 大小様々な島々がある中の西の端の方にある本当に小さな島、ミシック島だ。
 アルエルムには主に亜人と呼ばれる種族がそれぞれの島毎に集まって暮らしており、この島には兎族が暮らしている。
 亜人の見た目はほとんど人間と変わらない。違うのは種族の特徴、長い耳、ちょこんとついた小さな鼻、その周りから伸びる細い長い髭、丸いふわふわの尻尾があるくらいであとは人間そのものだ。
 後は身体能力がとにかく高く、兎族は人間と比べると足の速さとジャンプ力、視界の広さ、気温の変化に鋭く、中でも聴覚の鋭さは飛び抜けている。
 彼らは主に畑仕事で生計を立てていて、温厚で有効的な種族である。

 亜人達の宗教観はそれ程高くなく、村を収める長を絶対とすることの方が多い。この島国で宗教観を持っているのはドワーフ達だ。
 なので、神の名を出しても返ってくるのは先程のような反応だけ。コロンは人間だからとエイフリアに言いくるめられたが、今度はぜったいに失敗はしたくない。

「村長様は彼方の一番背の高い家にお住まいです。それより良いんですか?こんな良いものを頂いて…」

「えぇ。これは私の部下が丹精込めて作った物です。是非此方でも栽培して頂いて広めて欲しいのです」

「必ず立派に育てて見せます!」

「はい、宜しくお願いしますね」

 幾ら温厚だと言っても新参者に警戒はする。少し距離が近くなれば、とキールが作ってくれた薬草の種をお土産がわりに渡し、友好的な人だと思わせたかった。
 それにこの村を見て思ったのは、兎族の誰もがやせ細っているという事。家の作りもかなり甘いし、畑は痩せ細っている。
 裕福ではないにしても、自分達で畑を作っているのならもう少し肥えていても良い筈だ。
 では何故そのようになっているのかというと、作った野菜を安く買い叩かれているからだ。
 優しい彼らは商人が言うままに売ってしまい実入りが少ない。そして、実入りを増やす為に自分達の分まで売って何とか生計を立てているのだ。

「あの薬草の種からマナを感じました」

「流石ですね。あれは魔法の種です。何もしなくとも元気に育ち、残った根は畑の養分にもなって便利なのです」

「流石、神の眷属ですね…」

 キールを褒められたことに嬉しく思う。
 そして、彼らの身の安全を願ってから村長の家へ向かった。








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