神になった私は愛され過ぎる〜神チートは自重が出来ない〜

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第四章

イチャイチャ

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 そして、エルムで過ごす最後の夜だからだ言う事もあり、リヒトの愛情表現(独占欲)はエスカレートしていく。

「リーン様。今日はもう遅いですし、お風呂をご一緒してもよろしいですか?」

「坊ちゃん!何を仰っているのですか!」

「浴室で滑ったら危ないですし、お背中もお流ししたいですし」

「坊ちゃん!」

 そして、全く周りの声は聞こえていない。

「ミッシェル…諦めましょう」

「ですが…」

「コートバルサドールの姿なら問題ありませんよね」

「…そうですね」

 リヒトの異常行動に流石のサンミッシェルも諦めるしかないと大きなため息を吐く。

「コートバルサドール様になるなら侍女は要らない。二人にしてくれ」

「坊ちゃん、それは流石に!」

「リーン様、私にお任せ下さい」

 これにはリーンも呆れていた。

「お痒い所はないでしょうか?」

「大丈夫です」

「お流ししますね」

 初めはどうなることか、と思っていたが侍女達に負けず劣らずの丁寧さでテキパキとこなしていくリヒト。
 子供達と一緒にお風呂に入った時のようにリヒトと一緒にお風呂に入るのは意外にもあまり抵抗感はなかった。

 ただ、余りにも頑なだったのでリーンは質問を落とす。

「リヒト様」

「何でしょう」

「まだ不安ですか?」

「不安は…ありません。ただ、これまで一緒にいられなかった分を取り戻したいのです」

 不安、と言う感情は中々無くなってくれないものなのはリーン自身も良く知っている。
 同じく絶望、と言う感情は永遠に心に傷を残す。

 どちらも軽減する事はできるのかも知れないが、それには努力や勇気が必要だ。

「私の姿が見えなくなる事を不安に思うのに良く昨日は耐えられましたね」

「…私にとっては最後の賭けでしたので」

 結果その賭けに勝ったのだからかなりの勝負師だ。

「私としてもリヒト様に不安なままでいて欲しくありません。だから、こう言うのはどうでしょうか」

「…?」

「リヒト」

「……あ、あの…心の準備が…」

 別に呼び捨てにするのはレスターやイアン、ミモザやキール達使用人達も同じだ。

「リヒト、あなたはリヒトという一人の人間になったと言ったでしょ?だから、あなたも私を一人の人間として見なさい」

「それは…?」

「これからは敬語はなし。私たちはお互いを一人の人間として扱い、対等な立場で、言いたい事も言い合い、嘘や誤魔化しはせず、こ、恋人…らしく…コホン、他の人とはしない事もするの」

「他人とはしない事、と言いますと…私の考えているような事も含まれるのでしょうか?」

「…一体何を考えているというのです」

「こんな事です」

 優しく頬に手を添えられて額に熱い唇が落ちる。

「い、今はコートバルサドールで…!」

「俺にとってどの姿でもリーンであるのに変わらないよ」

「…ぐっ」

(なんて切り替えの速さなの…!?)

「リーン。俺、これだけじゃ足りないかな」

「た、足らしなさい!」

 息を切らしながら、やっとリヒトの拘束を解いて浴室を出ると、心配そうな表情のサンミッシェルがタオルを抱いて待っていた。

「大丈夫でしたか?坊ちゃんに襲われてないですか?」

「だ、大丈夫です」

(リヒト、全然信用されてなかったみたいですよ)

 心の中で小さく悪態をついてサンミッシェルにされるがままに全身隈無く拭かれる。

「リーン、おいていくなんてあんまりですよ」

「坊ちゃん、いきなり飛ばし過ぎです!」

「残念ながらリーンは俺を恋人と認めてくれたんだ」

「リーン様!よ、よろしいのですか!こんなストーカーの様な男で!」

 もう、随分な扱いを受けているが本人は相変わらず気にしていない様でリーンは苦笑いしか出来ない。

「それより、リーン様。お迎えがいらっしゃってますよ」

「もう、そんな時間ですか」

 ラテは見ていたのだろうか。またタイミングを見計らったかの様にくるのだから見ていたのだろう。

 サンミッシェルに手伝ってもらい、コートバルサドールのまま簡単に支度を済ませる。
 此方にいる間はメイド達の要望もあり、(着せ替え人形にしたい)殆ど幼女姿だったので、ボトムを履く機会は余りなかったがやはり一番楽である。

「お待たせしました」

「お待ちしておりました」

 出迎えてくれたのは意外にもこれまで一度も来なかったラテだった。

「予定時間が過ぎておりましたので心配になりお迎えに上がりました」

「それは申し訳ありませんでした…」

「ハルト様が謝られる必要はございません」

 ラテはリーンに向けてニコリと微笑みながらも、直ぐに視線を後方の方にずらして、あの馬鹿のせいですから、と毒を吐く。
 勿論、リヒトはそれを機にする事なく、貴族らしい微笑を顔に貼り付けながら当然のようにリーンを持ち上げる。

「では、参りましょうか」

「ハルト様、ご不便はありませんでしたか?」

「えぇ。色々と送ってくれてありがとうございました」

「タオルなどは此方には御座いませんから、肌を傷つけていないか心配でした」

 そしてラテも負けず劣らず、リヒトを華麗に無視しながら綺麗な微笑みを貼り付ける。

「リーン様、お気をつけて」

「ま、また来て下さいね!」

「ミッシェルもマリンもお体に気をつけて下さい」

 お見送りしてくれた二人に手を振って桃源郷へ戻った。

 此方でも待機していたようでレスターやイアン、ミモザ、キール、カール、スイ、そして先に来ていたのであろう、ジャン、ミル、ライナ、ジル、私兵四人組も一緒に綺麗に並んで立っていた。

「リーン様、今日はもうお休みになられますか」

「はい、湯浴みも済ませてますので」

「お部屋の準備は済んでおりますので、ごゆっくりどうぞ。明日、朝の準備も整っております」

 レスターもリヒトを完全に無視して部屋に案内しつつ淡々と話す。
 ただ、最近はレスターと一緒に寝ていたのに、何も言わずとも頭を下げて部屋を後にする。

「明日は朝から予定があるから早めに寝ようか?」

 レスターが用意していたのであろう、小さく可愛らしい寝間着を迷わずに手にして、リヒトはそっとベットにリーンを下ろす。
 寝間着は4種類用意されているのにそれを選ぶと言う事はヴェルムナルドールになれと言うことだろうか。

「明日は交渉事だから、抱っこは出来ないからね」

「それは残念」

 全く残念そうではないリヒトから視線を逸らして、ご要望通り幼女になる。
 これもお姉さんとのゴッコ遊びの賜物なのだろうか、相変わらずテキパキと慣れた様子でリーンの着替えを手伝う。

「すぐに寝られそう?」

「頑張れば」

「今日はお茶もしてないからね」

「お茶?」

「安眠できるように導入効果のあるものとかを選んでたから」

 そんな事までしてたのか、と感心していると。

「朝は良い目覚めになる様にスッキリとした香りの花を揃えて、昼間はたっぷりと日差しを浴びれる様に。散歩をして程よく運動も忘れずに混ぜて、夜は沢山食べて、身体を温めて、お茶を飲んで」

「何もそこまでしなくても」

「初めはそれで俺に依存してもらおうと思ってて」

「…」

 呆れた、と直接言っても良いだろうか。
 一瞬でも感心したのを後悔する。

「それだけ好きだって事だと思って欲しいけど」

「もう、良いです」

「リーン?嫌いになった…?」

 こんな事をされても、どんなに呆れさせられても、嫌いになれないから覚悟を決めた。

「………ない」

「ん?」

「…なってない」

「うん、知ってる」

 明日は早いのにこんなに動悸が激しくて寝れるわけがない。

(ばか…)

 そう心の中で呟いて、リーン無言で胸の辺りを拳で小突いた。







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