神になった私は愛され過ぎる〜神チートは自重が出来ない〜

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第四章

攻防戦

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 この世界の人々が何に一番興味を示し、何になら従い、何になら全部を捧げるのか。
 そんなのはもう決まっている。

ーーー神だ。

 リーンの存在を認識しているヴェルスダルムと浄化作業中のアルエルムはさておき、エルムダークではあらゆる情報統制が引かれていて、神の化現を知っているのはエルムの高位貴族達とダーナロに置いてきた使用人、聖王国の上位神官達くらい。

 ただ、『神が化現したよー』と言って国民達が信じるかと言えばそうではない。ヴェルスダルムで神の化現を伝え聞いていた神殿の者達ですら姿を見せてやっと信じ込ませる事が出来たくらいだった。
 
 だけど、此方もただ手をこまねいてはいられない。
 ヴェールズでの蒸気船沈没事件の一件以降、各地で沢山の事件、事故、災害が起こっている。
 ダーナロでは王女陛下の暗殺未遂事件、エルムの東部では砂漠化現象、聖王国では大雨による土砂崩れと水害、他にも反逆や戦争。
 お陰で各地で大混乱が起こり、災害や疫病、その他様々な原因で人口減少が続いている。
 水晶鏡を世に出したのも折角長い時間かけて研究を繰り返し、沢山の人材と金をかけて漸く掴んだチャンスだった。水晶鏡のお陰で他方向に発展を見せていたこの世界。それがこれからだという時に一瞬にして停滞、いや寧ろ後退させられたのだ。
 ディアブロは此方に休ませるつもりは全くないらしい。

 ただ、それが逆にリーン自身が神の権能を示す機会にもなっているのだから皮肉な物だ。

「次は何処ですか?」

「リーン様、少しお休みになられた方が…」

「大丈夫です」

「リーン、ダメだよ。ミモザの言う通り少し休もう」

「…わかりました」

 連日連夜、寝る間も惜しんでデロス島の浄化作業と神様としての復興支援という名の啓蒙活動を繰り返し続けていたリーン。
 この身体になってからと言うもの、エルムで生活をしていた初めそこ体力のなさに呆れ果てていたが、色々出来るようになってからは寧ろ寝ようと思わなければ寝なくても問題ない身体となっていた。
 休まなくても問題ないとは言え、やはり多くの視線からは未だに慣れていないのが現状。狂信者とも思えるような期待が篭った視線や言葉はリーンには重たく感じ、本人にも気付かないうちに次第にリーンの心を蝕んでいた。

「リーン様、身体がいくら問題なくても疲れることはあるのです」

「レスター、リーンにお茶を」

「はい」

 自室に戻り、ソファーに身体を沈める。
 ソファーやベッドのスプリングやふわふわのカバーを作ってくれた職人のみんなには感謝しかない。
 現状、ディアブロとの攻防戦は防戦一方でどんなに策を講じても向こうには何も届かない。そういうのも精神的な疲労感を与えているのかもしれない。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

 共に添えられた茶菓子がいつもより多めなのはレスターなりの気遣いだろう。

「浄化作業もあと一週間もすれば終わります。数日お休みしても問題ありません」

「この後の準備もあるだろ?少しお休みしてもバチは当たらないと思うけどな」

「ですが…このままだと…」

 現状忌避しないければならない事が多すぎる。
 余りにも人が死にすぎているのだ。
 そのせいで副次的に犯罪などが増えて、発展なんてものは全く望める状況では無くなった。

 本来なら水晶鏡を使う事で個々の成長を促し、新たな技術を身につけたり、新たな職を見つけたり。その結果から生まれる生活の向上や健康、そして余裕が生まれれば自然と新たな発見へと繋がると考えていた。
 勿論、ラテの未来でもそれを見ていたのだ。

 ただ、ディアブロにはその未来すら簡単に変えられるようだ。リーンは何かを成そうとするたびに世界を人質に取られている気分だった。
 彼らにとってはこの世界はもう無くなっても良いものになってしまっているのだ。

「確かにこのままだとこの世界に人は一人もいなくなる。でも、今焦って事を起こせば二の舞になるんだよ。リーン」

「分かってる…。でも、今も何処かで誰かが苦しんでいると思うとただジッとはしてられないの。始めたのは私なんだから」

 ディアブロの思惑に逆らって事を起こしたのはリーン。それがどんな結果になろうとも最後までやり切るしかない。

「浄化作業が終わり、ドワーフ達をデロスへ返し終わったら…その時は…」

「…」

 今度はみんなを…大好きな人達を…大切な人達を巻き込む覚悟を決めなければならない。


 その夜、リーンはなかなか寝付けなかった。

「寝れない?」

「…リヒト。私は…私がしていることは正しいこと、なのかな…?間違ってたのかな…?」

「正直に言うと“分からない”かな。ただ、リーンとあの森で出会った時からずっと変わらず、リーンがやりたい事をやりたいようにやってもらうって決めるから。例えそれが正解でも間違いでも俺には関係ないんだ。これって凄く無責任だと思わない?」

「ふふふ、確かに」

「無責任だって自覚してるからこそ、それだけは絶対に変わらずに貫くって決めた。勿論俺だけじゃない。レスターやイアン、ラテ、ミモザ、キール…みんなおんなじだと思う」

「…私もやり遂げないと…貫かないといけないね」

 最後の戦いはもう直ぐそこまで。















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