【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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106章

元魔王様と冒険者の国 2

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 朝食を済ませたジル達は上機嫌なルルネット先導の下、ユメノとの待ち合わせ場所である城門に到着する。
しかし暫く待ってもユメノは現れない。

「遅い!」

「いや、我らが早過ぎただけだろう。」

「ルルネット殿が早く起こし過ぎなのじゃ。」

「ふわぁ~。」

 まだ待ち合わせの時間には余裕がある。
これでユメノを責めるのも可哀想だろう。

「だって念願のアバント公国に行けるのよ?早く起きたくもなるじゃない。」

「ユメノはそれ程でも無いと言う事だろう。」

「信じられないわ。」

 そもそも楽しみにし過ぎているのはルルネットくらいのものだ。
他の者達は叩き起こされた被害者である。

「ユメノ様の場合は先日も訪れているからだと思いますよ。」

「そう言えば前にギルドマスター達がアバント公国に集まる機会があったと聞いたな。」

 セダンのギルドマスターであるエルロッドもアバント公国に出掛けていていないとミラに聴いた覚えがある。
その集まりにユメノもギルドマスターとして参加していた筈だ。

「ユメノ殿にとっては蜻蛉返りじゃのう。」

「羨ましい事だわ。」

 短期間でアバント公国に二度も行けるなんて羨ましい。
行きたくても簡単には行けないルルネットからすれば変わってもらいたいくらいなのだ。

 それから暫く皆で待っていると駆け足でこちらに向かってくるユメノが見えた。
自分以外が揃っているのを見て慌てている様子だ。

「皆さん、おはようございます。すみません、お待たせしてしまいましたか?」

「お待たせされたわ!」

 ルルネットが腕組みをしながら言う。
ちなみにユメノは予定の時間よりも早く到着しているので遅刻した訳では無い。

「ルルネットが張り切っていただけだから気にしなくていいぞ。」

「すみません、色々とやる事が多くて。これでも早起きはしたのですが。」

「ユメノ殿は寝不足かのう?」

「クマが凄いですね。」

 普段の出来る女と言う雰囲気が今日はあまり感じられない。
寝癖が残っていたり目元のクマが酷かったりしているせいだろう。

「昨日は遅くまで残業して引き継ぎ作業をしていましたからね。それに加えてグランドマスターへの手土産も揃えなくてはいけなくて大変でした。」

 朝から既に疲れている様子だ。
両手に持っている大量の荷物も重そうである。

「その大荷物が手土産か?」

「はい、結構な額のお金を借りる予定なので少しでも機嫌を良くしてもらおうかと。」

 レテルシエルの鱗を購入する為の代金をグランドマスターから借りる予定だ。
かなりの金額なので手土産くらいは必要だろうと急遽揃えたのである。

「嵩張るし我が収納してやろうか?」

「助かります。」

 無限倉庫にユメノの荷物を全て収納する。
他の者達の荷物も殆どがジルの無限倉庫に入っている。
旅をする時に収納スキルがあるのと無いのとでは快適さが違う。

「それじゃあアバント公国に向かって出発よ!」

 王都から離れた場所まで移動して魔法を使用する。
アバント公国へ向かって空を真っ直ぐに進んでいく。

「ユメノは眠ければ寝ていてもいいぞ。」

「こ、この状況で眠れる人は度胸が据わっていると思いますが。」

 下を見れば恐ろしい速さで景色が流れている。
地に足が付いていないと言うのも落ち着かない。

「慣れないと怖いわよね。私も最初は落ちるんじゃないかと思ってジルにしがみついていたわ。」

「妾達は慣れたものじゃからな。」

「慣れたの。」

 最初は怖がる者が多いが慣れれば便利な移動方法だ。
ルルネットもあっという間に慣れて、今では景色を楽しむ余裕もある。

「それにしてもとんでもない速さですね。あっという間にアバント公国へ到着してしまいそうです。」

 時々空を飛ぶ魔物達とも遭遇するのだが、ジルの魔法での爆速移動とは比べ物にならない。
こんな速度で飛べる魔物は滅多にいないだろう。
セダンと王都を楽々移動出来るのも納得である。

「ユメノはこの前もアバント公国に行ってたのよね?」

「はい、年に一度のギルドの総会に顔を出していました。全てのギルドマスターに召集が掛けられてアバント公国に集まるのです。」

 各国に複数存在しているギルドのギルドマスター達が集まる。
それだけ聞いてもとんでもない規模なのが分かる。

「その総会は何をするものなのじゃ?」

「ギルドの上役しか知らない情報に関しては話せませんが、各ギルドで頭角を表してきた冒険者、珍しい魔物、緊急の依頼等の情報共有が主なところですね。」

 ギルド間での情報共有も日常的にされているが、基本的には国内同士やアバント公国の本部と行う事が多い。
なので総会は一度に多くのギルドと情報共有が出来る貴重な機会でもあるのだ。

「頭角を表してきた冒険者ってなるとジルの名前も挙がっていそうね。」

「はい、しっかり名前が挙げられていましたね。グランドマスターも興味を持っていましたよ。」

 ジルと関わった事のあるギルドマスター達が話しに上げたのだろう。
既にグランドマスターにも認知されているらしい。

「それなら話しが早そうだな。さっさと冒険者カードを受け取って帰れそうだ。」

「えー!?せっかくアバント公国に行くんだからたっぷり滞在しましょうよ!2週間くらいとか!」

 直ぐに帰ると言うジルに不満そうな声を出すルルネット。
憧れのアバント公国に行けるのだから、なるべく長く滞在したい。

「お嬢様、それだとセダンの滞在期間を超えています。」

 最長でも1月で帰ってこいとブリジットに言われていた。
既にジル達の下にやってきてから半月は経過しているのだ。

「だそうだ。数日で我慢するんだな。」

「憧れのアバント公国に訪れる事が出来る絶好の機会なのに数日しかいられないなんて。私って可哀想な子。」

「別に直ぐに帰ってもいいんだぞ?」

「私って恵まれた子!」

 ジルの言葉に態度が真逆になるルルネットだった。
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