【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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115章

元魔王様と現四天王 5

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 ディッティーによって天使の数が増えてしまい、更に苦戦を強いられる事となったジルとタイプA。

「ちっ、どちらか一方だけならば楽なのだがな!」

「ふぇっふぇっ、婆の爆裂魔法は効くだろう?」

 天使達の猛攻を対処してディッティーの魔法を回避する。
攻撃に転じるのも難しい。

「天使達も火魔法や爆裂魔法ばかり、お前ら狙ってやっているな?」

「温度が上がればホワイトゾーンの効果も薄まるからね。」

 ジルの使用したホワイトゾーンによる周囲の温度が低下して氷結魔法の威力が向上した。
しかし天使達が火魔法や爆裂魔法ばかりを使用する事で周辺温度は全く安定していないのが現状だ。

「マスター、こっちのナンバーズの奴なんとかならないか!気配が感じられないせいで戦いづらい!」

「その効果はこっちにも及んでいる!早く倒してくれ!」

「無茶言うな!結構頑張ってるんだぞ!」

 タイプAは迎撃装備まで出してる。
それでも気配の無い天使達を仕留めるのは難しそうだ。
そして聖痕の効果はこちらにも及んでいる。
ディッティーや天使達の気配が感じられないので常に心眼のスキルを発動させて周囲を把握して凌いでいる状況だ。

「ふえっふぇっ、大盤振る舞いした甲斐があったよ。ここまでしないと有利に戦えないとは思わなかったけどね。」

 それだけジルとタイプAが規格外の存在と言う事だ。

「二人相手に恥ずかしいと思わんのか?」

「恥ずかしいだって?認めているのさ、その力をね。だからこそもう諦めて婆の物になっておくれよ。」

 ディッティーが手で天使達に合図を出す。
すると天使達が一斉にジルに飛び掛かる。
何人かは白氷で斬り倒したが、斬り損ねた者達に獅子を掴まれて身動きを封じられる。

「くっ、離せ!」

「エクスプロージョン!」

 天使達に押さえ付けられているジルに向かってディッティーが纏めて爆裂魔法を浴びせる。

「ゴホゴホ、あれだけ強い天使も使い捨てか。」

 焼け焦げて地面に倒れている天使達。
ジルは全身を魔装させて何とかダメージを減らす事に成功した。

「マスター後ろだ!」

「っ!?」

「終わりだよ。」

 タイプAの声に反応して素早く振り向いたが、丁度ディッティーの手が身体に触れた。

「はあっ!」

 引き剥がす様に白氷を振るうもディッティーは消えて空を斬る。

「ふぇっふぇっ、気配の聖痕は素晴らしいよ。強者程気配を感じる戦い方に慣れているからね。」

 心眼のスキルを使っていたが爆裂魔法の直後と言う事で油断してしまった。
そして身体に異変が起こる。

「ぐわあああ!?」

 突然叫び声を上げるジル。
頭を抑えて蹲っている。

「ほーら、新しい人格が生まれるよ。」

 ジルが苦しむ様子を見て楽しそうに笑っているディッティー。

「ちっ!マスターを戻しやがれ!」

「既に人格は与えたんだから大人しく鑑賞していな。」

 無理矢理こちらに向かって来ようとするタイプAにまだ戦える天使達を向かわせる。

「邪魔だ羽虫共!」

 天使達に阻まれてジルの下に来れない。
ジルは苦しみながらも元凶のディッティーを見ようと顔を上げる。

「はぁはぁ、うぐっ。…我の身体を、乗っ取らせるものか。」

 苦しみながらも意識を保ともうとするジル。
油断すれば直ぐにでも意識が無くなりそうだ。

「驚いたね。普通なら直ぐに婆の与えた人格に入れ替わる筈なんだけど、大した精神力だよ。」

 ディッティーが驚きながら言う。
今までスキルを使って抗えた者なんて見た事が無かった。

「…このまま乗っ取られれば、ノワールの二の舞い。…タイプAだけでは対処が難しくなる。」

 ジルがディッティーの言いなりになってしまえば、この戦場は終わりだ。
さすがのタイプAと言えども敵にジルまで加わってしまえばお手上げだ。

「…せめて援軍を。」

「ん?何をしようとしているんだい?」

 ジルが四つん這いになりながら指に魔力を集中させる。
そして地面に拙い動作で魔法陣を描いていく。

「魔法陣?この後に及んで何か召喚でもするのかい?自分に殺されるだけだよ?」

 何を召喚されようとジルが手に入れば簡単に片付けられる。

「…はぁはぁ、それはどうだろうな。…既に死んでいる様な奴だ。…それに今の我に負ける様な奴でも無い。」

「色々と切り札を持っているんだね。それなら面倒なのが召喚されない様に邪魔すればいいだけだね。」

 ディッティーがジルの召喚魔法を止めようと魔法を使おうとした瞬間、ミサイルが飛来して大爆発が巻き起こる。
タイプAが天使達と戦いながらジルの為に隙を作ってくれたのだ。

「…我が呼び掛けが届いたならば、召喚に応えろ!」

 意識を奪おうとしてくるもう一つの人格をなんとか制しながら召喚魔法を使用する。
ジルの呼び掛けに応えて魔法陣が眩く輝き出した。
輝きが一際強くなって次第に収まっていくと、魔法陣の中央に一つの禍々しい扉が立っていた。

「これはまさか!?」

 ディッティーがその扉を見て驚愕の表情を浮かべており、逆にジルは苦しそうにしながらもニヤリと笑みを浮かべていた。
一か八かの召喚魔法だが成功してくれた。

 扉がゆっくりと開かれると黒い煙が立ち込めていてかなり暗く、外から見ても何も分からない。
開かれた扉の中からカツンカツンと言う周期的な音が扉に近付いてくる。

 そして煙の中から豪華な衣服を纏ったスケルトンが現れる。
その手に持つのは鎖がぐるぐると巻かれた長杖であり、先程までの音は長杖を地面に付いた音だ。
戦場にいる全ての者達が注目させられる。

「…はぁはぁ、感謝するぞ冥府の王。」

「珍シイ事モアルモノダ。マサカ貴方ガ地ニ伏シテイルトハ。」

 召喚された冥府の王がジルを見ながら言う。
前世でもこんな姿は見た事が無かった。

「…話しは後だ。…我はもう直ぐ意識を乗っ取られる。…あっちにいるメイドと協力して殲滅を。…頼んだぞ、。」

「ソウカ。後ハ任セテ安心シテ眠ルガイイ。」

 タルタロスと呼ばれた冥府の王は驚愕の表情を浮かべるディッティーを見て邪悪な笑みを浮かべるのだった。
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