乙女は野獣にたべられたい。

桜月みやこ

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本編

14. おかわり、いかが?

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全て射精し終えて大きく息をついたフェリクスは、リィナの前髪をそっと掻き上げる。
くったりと肢体を投げ出していたリィナがうっすらと目を開けて、フェリクスを見上げた。

「ど…して………」

リィナが瞳を潤ませたのを見て、フェリクスはどうした?と頬を撫でる。

「フェルさまの…… なか に、ほしかった のに……」
「……あ?」
「フェルさまのあかちゃん……ほしい、です……」
「………っ!」


射精し終えたばかりなのに、むくりと頭をもたげた自身に、フェリクスはこら鎮まれ!と念を送る。

「いや……だからな。抱いておいて何だが、婚前だからな?挨拶も誓約式もまだのうちに抱いちまったってのに、更に出来たなんて事になったら流石に……」
「私は、気にしません……」
「気にしろ」

ふにっと頬を抓られて、リィナは拗ねたような表情を見せる。

フェリクスはリィナの頬を突っついてから身体を起こすと、サイドテーブルに置かれているタオルを取って部屋の奥にある浴室へと向かう。
そこで布を軽く湿らせてベッドへ戻り、リィナの腹に吐き出した己の欲望を丁寧に拭き取ると、タオルをサイドテーブルに戻してリィナの隣に潜り込んでその身体を引き寄せる。
リィナも引き寄せられるまま、フェリクスの腕に頭を乗せた。

「すぐにでも誓約式をしたいです……」
「準備だなんだ、あるんだろう?今日明日で出来るもんじゃねーだろーが」

フェリクスにそう言われて不満気に頬を膨らませたリィナの髪を掬うと、フェリクスはそれにな、と囁く。

「誓約式で着るドレスってのは、女にとっては特別なんだろう?」
「それは……そうですけど……」
「だったらしっかり準備して、そのドレスを着た最高のリィナを見せてくれ」

そう言って頬に唇を寄せれば、リィナはようやく小さく頷いてほにゃっと頬を緩める。

「そうですね……誓約式で新郎と新婦が身に着ける真っ白な衣装──きっと、その衣装を纏ったフェリクス様も素敵なんでしょうね…」

うっとりと見上げられて、フェリクスは苦笑する。

「俺に白なんて、似合いそうもねーな」

普段フェリクスは黒や濃紺のような濃い色ばかり身に着けているから、白を纏う自分というものが想像できなかった。
──が、

「まぁ、リィナが喜ぶなら着てやるよ」
「喜ぶ喜ばないではなくて、そういうしきたりですもの──でもきっと、大喜びしますわ」

だって絶対素敵に決まってます、と甘える様に首に腕を回されて、フェリクスはさりげなく身体を── 腰を、引いた。

先ほどうっかりと硬さを取り戻してしまった自身が、鎮まる事なくそのままの状態だったからだ。
流石に初めて経験したばかりのリィナをこれ以上抱くのも可哀想だろうと、フェリクスは誤魔化すように風呂でも入るか?と身体を起こしてリィナを抱き上げようとして、
そしてあっけなく失敗した。

リィナが首に回した腕に力を込めて、フェリクスにキスをしてきたからだ。

ちゅっちゅっと、唇だけでなく頬や首や、あちこちに可愛らしいキスを繰り返されて、フェリクスは更にむくむくと大きくなる自分の欲望に慌てる。

「おい、リィナ──」
「……フェリクスさま──フェルさま、もうお腹いっぱいですか?」

ちゅっとまた頬に唇を寄せられて、フェリクスはその質問に呻く。

「よろしければおかわり──いかがですか?」

上目遣いで小首など傾げてみせたリィナに、フェリクスはあ゛ーーーっと唸る。

「いや、でも初めてだったんだから、辛いだろう?無理しないで今日はもう休……」
「私、まだ大丈夫そう……ですよ?」

フェリクスの言葉を遮るように、するりとフェリクスの頬に手を添えたリィナに「おかわりください」と強請られて、
フェリクスはあっさりと理性を放り投げた。

「あぁ、くそっ!!やっぱ無理だなんて言っても聞かねーからな!」

がばりと覆いかぶさってきたフェリクスに、リィナが微笑む。

「はい。たくさんどうぞ」

「ばぁか、一回だけだ」

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