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ひどく真剣な表情で見つめられて、私の身体が小さく震えた。
順番がおかしいですね、と言ったら、また眉間に皺が出来てしまうかしら。それとも困ったお顔をなさるかしら――
そんな事を思いながら、私は痛む下半身を無視してエーヴァウト様に抱き着く。
「はい、エーヴァウト様。旦那様。どうか、末永くよろしくお願いいたします」
すり、とガウンの合わせ目――エーヴァウト様の肌に頬を擦り付けると、エーヴァウト様がぐぅっと呻いて、そうしてくるりと視界が回った。
「すまない。もう一度、良いか?」
ぐっとお腹に熱くて硬いものが押し付けられる。
さっきの痛みを思い出すと少し怖かったけれど、エーヴァウト様の眉間の皺に手を伸ばして微笑む。
「はい、旦那様……でも出来れば、優しくでお願いします」
「っ……努力、しよう」
羽織っていたガウンを再び脱ぎ捨てたエーヴァウト様がゆっくりと挿って来て、先ほど放たれた精液がぬちゅりと音を立てて押し出されていく。
「ぁ……出て……っ」
「また、注ぐ」
ぐちゅんと音を立ててエーヴァウト様が全て私の中に収まると、エーヴァウト様ははっと苦しそうに息を落とした。
そうしてゆっくりと動き始める。
エーヴァウト様が動く度、精液のせいかぐちゅぐちゅと水音が立つ。
それが何だかとても恥ずかしくて小さく首を振ると、エーヴァウト様が動きを止めた。
「痛むか?」
「ん……ちが……音、が……」
恥ずかしい、と訴えると、エーヴァウト様は小さく笑った。
やっぱり少し口角が上がって、少し目を細めただけどったけれど。
「すぐに慣れる」
「……キスみたいに?」
「もう慣れたのか?」
「いいえ、まだ……」
全部ゆっくりでお願いします、と顎を持ち上げると、エーヴァウト様は触れるだけのキスで応えてくれて、そうしてまた、ゆっくりと動き始めた。
「っん……っ」
漏れそうになった声を必死で飲み込んでいると、エーヴァウト様がちょんとキスを落とす。
「声は、我慢するな」
「で、も……あっ、あっ」
恥ずかしい、と言わせて貰えずに揺さぶられて、飲み込めなかった声が溢れ出して、エーヴァウト様の動きに合わせてぐちゅ、ぐちゅ、と水音も響く。
少しずつ早くなる動きに水音だけでなく声も大きくなってしまって、やっぱり恥ずかしかったけれど、エーヴァウト様が意地悪く動きを早めてしまうからすぐに恥ずかしいなんて気持ちはどこかに飛ばされてしまった。
「だんな、さま……あ、あぁっ」
「ユリアナ……ユリアナ」
エーヴァウト様の動きが早くなると、二人の身体がぶつかる音も加わった。
水音と、私の声と、エーヴァウト様の息遣いと、たまに漏れるお声と、ベッドの軋む音――色んな音が混ざりあって、溶け合って。
「あっ、い……きもち、い……の……っだんなさま……だんなさ……あぁっ」
痛みなんてもうちっともなくなって、エーヴァウト様が動く度にぐずぐずに蕩けそうになる。
「すまない、ユリアナ……少し、無理をさせるっ」
ぐっと腰が浮くほどに足を持ち上げられて、そうしてエーヴァウト様の腰が激しく打ち付けられる。
「あぁっ! あっ、あんっ、だんな、さまぁ……っ」
苦しい、と思った気もする。
気持ちいい、と思った気もする。
ゆっくり、優しくとお願いしたはずだけれど、そんな事はすっかりどこかへ行ってしまったらしいエーヴァウト様との激しい交わりに、私は溢れる声をそのままに、ただただ翻弄され続けた。
もう一度、は一度では済まなかった。
その晩私は何度も求められて、エーヴァウト様は何度も私の中に精を放った。
記憶がなくなっているから、多分途中で気を失ってしまったのだろう私が翌朝目を覚ますと、エーヴァウト様からのすまない攻撃が待っていた。
口にするのはとても恥ずかしかったけれど、気持ち良かったから大丈夫だと伝えると、すまないと言われて何故だかまた抱かれて――
お昼になってルイサがものすごぉく申し訳なさそうにドアを叩くまで、私は離して貰えなかった。
その日の午後は部屋でゆっくり――ぐったり過ごして、夜にはまたエーヴァウト様に求められて。
本当は翌日、つまり婚儀の二日後には王都のタウンハウスを出てエーヴァウト様の居城のあるカイゼル侯爵領へ帰る予定だったそうだけれど、その予定が三日程後ろ倒しになった、と私が知るのは、カイゼル侯爵領に着いてからだった。
「冷血非情な救国の英雄」は、褒賞として求められた妻との仲睦まじさが噂になって、後に冠が取れてただの「救国の英雄」になるのだけれど、この時の私はまだそんな事はちっとも知らず、年も近くて、お肉ではなく筋肉のついた、髪もふさふさで、溺れそうなくらいの愛情をこれでもかと与えてくれる旦那様と幸せな日々を送るのだった。
~HAPPY END~
順番がおかしいですね、と言ったら、また眉間に皺が出来てしまうかしら。それとも困ったお顔をなさるかしら――
そんな事を思いながら、私は痛む下半身を無視してエーヴァウト様に抱き着く。
「はい、エーヴァウト様。旦那様。どうか、末永くよろしくお願いいたします」
すり、とガウンの合わせ目――エーヴァウト様の肌に頬を擦り付けると、エーヴァウト様がぐぅっと呻いて、そうしてくるりと視界が回った。
「すまない。もう一度、良いか?」
ぐっとお腹に熱くて硬いものが押し付けられる。
さっきの痛みを思い出すと少し怖かったけれど、エーヴァウト様の眉間の皺に手を伸ばして微笑む。
「はい、旦那様……でも出来れば、優しくでお願いします」
「っ……努力、しよう」
羽織っていたガウンを再び脱ぎ捨てたエーヴァウト様がゆっくりと挿って来て、先ほど放たれた精液がぬちゅりと音を立てて押し出されていく。
「ぁ……出て……っ」
「また、注ぐ」
ぐちゅんと音を立ててエーヴァウト様が全て私の中に収まると、エーヴァウト様ははっと苦しそうに息を落とした。
そうしてゆっくりと動き始める。
エーヴァウト様が動く度、精液のせいかぐちゅぐちゅと水音が立つ。
それが何だかとても恥ずかしくて小さく首を振ると、エーヴァウト様が動きを止めた。
「痛むか?」
「ん……ちが……音、が……」
恥ずかしい、と訴えると、エーヴァウト様は小さく笑った。
やっぱり少し口角が上がって、少し目を細めただけどったけれど。
「すぐに慣れる」
「……キスみたいに?」
「もう慣れたのか?」
「いいえ、まだ……」
全部ゆっくりでお願いします、と顎を持ち上げると、エーヴァウト様は触れるだけのキスで応えてくれて、そうしてまた、ゆっくりと動き始めた。
「っん……っ」
漏れそうになった声を必死で飲み込んでいると、エーヴァウト様がちょんとキスを落とす。
「声は、我慢するな」
「で、も……あっ、あっ」
恥ずかしい、と言わせて貰えずに揺さぶられて、飲み込めなかった声が溢れ出して、エーヴァウト様の動きに合わせてぐちゅ、ぐちゅ、と水音も響く。
少しずつ早くなる動きに水音だけでなく声も大きくなってしまって、やっぱり恥ずかしかったけれど、エーヴァウト様が意地悪く動きを早めてしまうからすぐに恥ずかしいなんて気持ちはどこかに飛ばされてしまった。
「だんな、さま……あ、あぁっ」
「ユリアナ……ユリアナ」
エーヴァウト様の動きが早くなると、二人の身体がぶつかる音も加わった。
水音と、私の声と、エーヴァウト様の息遣いと、たまに漏れるお声と、ベッドの軋む音――色んな音が混ざりあって、溶け合って。
「あっ、い……きもち、い……の……っだんなさま……だんなさ……あぁっ」
痛みなんてもうちっともなくなって、エーヴァウト様が動く度にぐずぐずに蕩けそうになる。
「すまない、ユリアナ……少し、無理をさせるっ」
ぐっと腰が浮くほどに足を持ち上げられて、そうしてエーヴァウト様の腰が激しく打ち付けられる。
「あぁっ! あっ、あんっ、だんな、さまぁ……っ」
苦しい、と思った気もする。
気持ちいい、と思った気もする。
ゆっくり、優しくとお願いしたはずだけれど、そんな事はすっかりどこかへ行ってしまったらしいエーヴァウト様との激しい交わりに、私は溢れる声をそのままに、ただただ翻弄され続けた。
もう一度、は一度では済まなかった。
その晩私は何度も求められて、エーヴァウト様は何度も私の中に精を放った。
記憶がなくなっているから、多分途中で気を失ってしまったのだろう私が翌朝目を覚ますと、エーヴァウト様からのすまない攻撃が待っていた。
口にするのはとても恥ずかしかったけれど、気持ち良かったから大丈夫だと伝えると、すまないと言われて何故だかまた抱かれて――
お昼になってルイサがものすごぉく申し訳なさそうにドアを叩くまで、私は離して貰えなかった。
その日の午後は部屋でゆっくり――ぐったり過ごして、夜にはまたエーヴァウト様に求められて。
本当は翌日、つまり婚儀の二日後には王都のタウンハウスを出てエーヴァウト様の居城のあるカイゼル侯爵領へ帰る予定だったそうだけれど、その予定が三日程後ろ倒しになった、と私が知るのは、カイゼル侯爵領に着いてからだった。
「冷血非情な救国の英雄」は、褒賞として求められた妻との仲睦まじさが噂になって、後に冠が取れてただの「救国の英雄」になるのだけれど、この時の私はまだそんな事はちっとも知らず、年も近くて、お肉ではなく筋肉のついた、髪もふさふさで、溺れそうなくらいの愛情をこれでもかと与えてくれる旦那様と幸せな日々を送るのだった。
~HAPPY END~
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