腐れ縁の公爵令息に契約結婚を迫られていますが、離婚してくれなさそうだから嫌です

トウ子

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神殿送りになった転生ヒロイン、隣国の皇太子のMっ気を開花させてしまったので責任を取ります

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「ということで、俺が今日から皇帝だ」
「展開がはやーい」

私は半笑いでパチパチと気の抜けた拍手をした。疲れすぎてそれしか出来ない。

「いやぁ、びっくりするほど急展開だったわ」
「自分で天才とか言うだけあって、凄まじく有能だった聖女様のおかげだな。お前、人間じゃないな」
「人間よ、私が天才で有能だからってさすがに酷使しすぎよ。あと一時間は一歩も動けないわ」
「あの魔力消費が一時間で回復するのが化け物だろ」
「まぁね」

まぁね、我ながらそう思う。けどまぁそこは置いておこう。説明するの疲れるから。

「正直お前には感謝してもしきれん。ほとんどお前の功績だ」

真面目に感謝の言葉を述べてくるアルベルトに、私は片手を振って気にするなと伝えた。言い出しっぺは私だしな。

「まぁ我ながら私の功績も大きいけどね。でもアナタの力があってこそでしょう。アルベルト、アナタ意外とちゃんと立派な皇太子だったのねぇ」

そうなのだ。
アルベルトは隠しルートの攻略キャラなだけあって、私の予想よりはるかに有能で、人望も高かった。

これまでアルベルトは国民を苦しめる父の政策へ歯向かってきたらしく、国民の支持もあった。貴族たちも暴虐帝と呼ばれていた前皇帝に怯えて暮らすよりアルベルトの方が良かったのだろう。あっさり全てを手に入れていた。

「……それにしても、流石にあまりにも展開が早くない?ついていけてないんだけど」
「暴虐帝の人望がなさすぎ、俺の人望がありすぎたからな。仕方ない」
「それだけかぁ?」

なんか私も気がつけば、「聖なる山から舞い降りた天女」とか、「アルベルトに皇帝の冠を授けるためにやってきた聖なる遣い」とか「傷つく全てのものを赦し癒す慈悲の乙女」とか言われてるし。
私が通り過ぎさまに戦闘で傷ついた者たちを片っ端から治療したせいだとは思うけれど、情報操作が万全に行き届きすぎだ。
どこかに頭が切れまくる冷酷無比な辣腕眼鏡な参謀がいるに違いない。もしくは続編ゲームをやり込んだ凄腕転生者か。

「この戦争で、死者は暴虐帝ただひとり。ユリアのおかげだ。本当にありがとう」
「はぁ」

なんか上手くいきすぎだよなぁ。でも私が知らないところで、いろんな人が頑張った結果だろう。きっと。多分。うん。そういうことにしておこう。

「……いや、まぁ、所詮はエロ目的の十八禁ゲームだから、以外はそんなものなのかな?」

そんな気もする。

なにせ隠しルートの本編はだ。
皇太子に調か、皇太子を調か。

ここが別れ道なのだ。




そして、私の予想通りならば。




「ユリア」

スッとアルベルトが私の前で膝をつき、とてつもなく巨大な宝石のついた指輪を差し出す。前世のスチルで見たことがある景色だ。正面から見るとこんな感じなのね。

「聖なる力を持つ乙女よ。お前がいなければ今の俺はない。どうか俺の妃となり、俺を支えてくれ」

偉そうなプロポーズの言葉。
断られるなんて思ってもいない態度。

予想通りの展開だ。
そして私の返事は決まっている。

「嫌よ」
「……え?な、なんだと?」
「い・や・よ!」

もちろん、拒否一択だ。
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