6 / 47
6話 芋とシチュー
しおりを挟む
「っ!クローディア!!」叔母が焦ったような顔で隣のクローディアを見た。
「どういうこと?」
叔母さんがこの世界の人間?
「身内なんだろう?何故隠す?」
クローディアが平然とした態度で叔母をチロリと横目で見ると、また残りの芋にかぶりついた。
「......。」
叔母さんは顔を歪めると、チッと舌打ちをした。
いやいや、舌打ちはちょっとどうなんだ?
なんか、死ぬ前より柄が悪くなったよ、叔母さん。
「身内だからだ...。」
叔母さんがボソッと呟く。
叔母さんがこの世界の人間?
と言うことは...。つまり...。
「僕の母さんも?この世界の人間?」
叔母さんと死んだ母は年の離れた姉妹だったけど、母の生前の写真と今の叔母の顔立ちはかなり似ていて、紛れもなく血が繋がっているはずだ。
叔母さんは僕の言葉に無言で頷いた。
僕はそれであっさりと納得してしまった。
というのは、叔母と母の二人は日本人にしては少し目鼻立ちがくっきりしていて、よくハーフなのかと聞かれていた。
ハーフではないが、何世代か前に日本人以外の血が混ざっているとか、お祖父さんのお祖父さんが北欧の生まれだったとか、そんなことを言っていが、あれはじゃあ適当にごまかすためだったのか。
あれ?僕の頭の中で何かがカチッと音を立てた。
叔母さんが生まれ故郷のこの異世界に戻って生きていた?とすると。
もしかして...。
期待を込めて叫ぶ。
「叔母さん!もしかして、母さんも?!」
でも叔母さんはぶつぶつとだから言いたくなかったんだと呟いたあと、バッサリと言った。
「それはない!」
眉間にシワがよっているのは、恐らく僕の気持ちが痛いほど分かったからだろう。
「期待させて悪いが、私も最初それを考えた。それで、こっちに来た時に魔法使いに調べてもらったんだ。でも、姉さんの存在はこの世界にはなかった。私は事故の衝撃で何かしらの作用が働いたんじゃないかと言うことだった。姉さんは病気だったし、普通に向こうの世界で亡くなったんだろう。」
叔母さんは一気に話すとすまなさそうに僕を見た。
「そっか。そうだよね。そんな上手い話があるわけないよね。でも、叔母さんが生きていて本当に良かったよ。叔父さんの落ち込みが半端なくて。」
「ああ~。」
恐らく叔父さんの落ち込み様に想像がついたのか頭を抱える。
「一応、仕事には行っているんだけど、それ以外は幽霊みたいなんだよね。」
「何となく想像はつく。で、お前はちゃんとご飯を食べているのか?」
「うん、大丈夫。最近、僕、前よりももっと料理にはまっていてかなり上手くなったんだよ。」
「へ~。それは良かった。私は今ここの宿で世話になっていてね。」
ああ、食堂だけじゃなくて宿もやっていたのか。だから、最初に泊まりか聞いていたんだ。
僕は改めて回りを見渡す。ここからは見えなかったけど、カウンターの奥が厨房になっているらしく、誰かが働いている音が聞こえる。
「そろそろ、仕事を終えた客が来る頃だから用意しないとね。」
そう言うと叔母さんはよいっしょと立ち上がる。
「それで、叔母さんはいつ帰ってくるの?」
生きていたなら、叔父さんの精神状態の為にもぜひ早く家に帰ってきて欲しい。
「...。」
だが、その質問に対して叔母さんは無言だった。その代わりクローディアに話し掛ける。
「クローディア、私はもう仕事に戻らなくちゃならないから、説明してやってくれないか?」
こくんとクローディアは頷くと、シチューの皿を叔母さんに差し出した。
お代わりか...。
いったいどんだけ食べるんだ。
僕も自分用に出された食事を少し食べてみる。
まあ、何というかあっさりしたビーフシチューといった感じで普通に美味しい。
芋には何も味がついていなかったのでバターがあるもっと美味しいのに。
「まあ、美味しいでしょ?」
クローディアのお代わりを運んできた叔母さんが微妙な表情で聞いてくる。
頷いた僕に叔母さんが続ける。
「食材は悪くないんだけど、とにかく料理のバリエーションが全く無いんだよねぇ...この国は。」
叔母さんのぼやきは、ドカドカと音を立てて食堂に入ってきた男たちの話し声にかき消された。
入口から入ってきた男たちは、僕たちを見ると一斉にギョッとした顔をしたが、叔母さんに僕たちとは離れた席を勧められて大人しくそちらに座ると、酒を頼んで自分達の仕事の話に夢中になっていった。
「こっちには誰も近付かないだろうから。仕事が落ち着いたら、また来るから。待っていてくれ。」
叔母さんはいったん僕たちのテーブルまで戻ってくると声を掛けてくれた。
「うん、分かった。」
仕事の邪魔をしてもいけないと思い大人しく頷いた。
「どういうこと?」
叔母さんがこの世界の人間?
「身内なんだろう?何故隠す?」
クローディアが平然とした態度で叔母をチロリと横目で見ると、また残りの芋にかぶりついた。
「......。」
叔母さんは顔を歪めると、チッと舌打ちをした。
いやいや、舌打ちはちょっとどうなんだ?
なんか、死ぬ前より柄が悪くなったよ、叔母さん。
「身内だからだ...。」
叔母さんがボソッと呟く。
叔母さんがこの世界の人間?
と言うことは...。つまり...。
「僕の母さんも?この世界の人間?」
叔母さんと死んだ母は年の離れた姉妹だったけど、母の生前の写真と今の叔母の顔立ちはかなり似ていて、紛れもなく血が繋がっているはずだ。
叔母さんは僕の言葉に無言で頷いた。
僕はそれであっさりと納得してしまった。
というのは、叔母と母の二人は日本人にしては少し目鼻立ちがくっきりしていて、よくハーフなのかと聞かれていた。
ハーフではないが、何世代か前に日本人以外の血が混ざっているとか、お祖父さんのお祖父さんが北欧の生まれだったとか、そんなことを言っていが、あれはじゃあ適当にごまかすためだったのか。
あれ?僕の頭の中で何かがカチッと音を立てた。
叔母さんが生まれ故郷のこの異世界に戻って生きていた?とすると。
もしかして...。
期待を込めて叫ぶ。
「叔母さん!もしかして、母さんも?!」
でも叔母さんはぶつぶつとだから言いたくなかったんだと呟いたあと、バッサリと言った。
「それはない!」
眉間にシワがよっているのは、恐らく僕の気持ちが痛いほど分かったからだろう。
「期待させて悪いが、私も最初それを考えた。それで、こっちに来た時に魔法使いに調べてもらったんだ。でも、姉さんの存在はこの世界にはなかった。私は事故の衝撃で何かしらの作用が働いたんじゃないかと言うことだった。姉さんは病気だったし、普通に向こうの世界で亡くなったんだろう。」
叔母さんは一気に話すとすまなさそうに僕を見た。
「そっか。そうだよね。そんな上手い話があるわけないよね。でも、叔母さんが生きていて本当に良かったよ。叔父さんの落ち込みが半端なくて。」
「ああ~。」
恐らく叔父さんの落ち込み様に想像がついたのか頭を抱える。
「一応、仕事には行っているんだけど、それ以外は幽霊みたいなんだよね。」
「何となく想像はつく。で、お前はちゃんとご飯を食べているのか?」
「うん、大丈夫。最近、僕、前よりももっと料理にはまっていてかなり上手くなったんだよ。」
「へ~。それは良かった。私は今ここの宿で世話になっていてね。」
ああ、食堂だけじゃなくて宿もやっていたのか。だから、最初に泊まりか聞いていたんだ。
僕は改めて回りを見渡す。ここからは見えなかったけど、カウンターの奥が厨房になっているらしく、誰かが働いている音が聞こえる。
「そろそろ、仕事を終えた客が来る頃だから用意しないとね。」
そう言うと叔母さんはよいっしょと立ち上がる。
「それで、叔母さんはいつ帰ってくるの?」
生きていたなら、叔父さんの精神状態の為にもぜひ早く家に帰ってきて欲しい。
「...。」
だが、その質問に対して叔母さんは無言だった。その代わりクローディアに話し掛ける。
「クローディア、私はもう仕事に戻らなくちゃならないから、説明してやってくれないか?」
こくんとクローディアは頷くと、シチューの皿を叔母さんに差し出した。
お代わりか...。
いったいどんだけ食べるんだ。
僕も自分用に出された食事を少し食べてみる。
まあ、何というかあっさりしたビーフシチューといった感じで普通に美味しい。
芋には何も味がついていなかったのでバターがあるもっと美味しいのに。
「まあ、美味しいでしょ?」
クローディアのお代わりを運んできた叔母さんが微妙な表情で聞いてくる。
頷いた僕に叔母さんが続ける。
「食材は悪くないんだけど、とにかく料理のバリエーションが全く無いんだよねぇ...この国は。」
叔母さんのぼやきは、ドカドカと音を立てて食堂に入ってきた男たちの話し声にかき消された。
入口から入ってきた男たちは、僕たちを見ると一斉にギョッとした顔をしたが、叔母さんに僕たちとは離れた席を勧められて大人しくそちらに座ると、酒を頼んで自分達の仕事の話に夢中になっていった。
「こっちには誰も近付かないだろうから。仕事が落ち着いたら、また来るから。待っていてくれ。」
叔母さんはいったん僕たちのテーブルまで戻ってくると声を掛けてくれた。
「うん、分かった。」
仕事の邪魔をしてもいけないと思い大人しく頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!
碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!?
「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。
そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ!
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる