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16話 魔法=人件費はタダ?
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「この工房の凄いところはこっちよ。」
まるで今から悪戯をするような顔でアデルさんに案内されたのは、奥にある大きな機械の前だった。今まで見た機織り機とは形も全然違っていて大きさもかなり大きい。
「あれ?これは自動で動くんですか?」
機械はカタンカタン音を立てて動いていたが誰も近くに人はいなかったからだ。
確か、電気は無い世界だと叔母さんは言っていたけど?
「な~んだ、あまり驚かなのね?」アデルさんが悪戯に失敗した子供の様に残念そうな顔をする。
「いいえ、不思議には思っています。」
「そうなの?これはね、魔法で動いているのよ。」
え?魔法?それは凄い。
そう思ったのが顔に出たのかアデルさんはちょっと満足した顔で説明してくれた。
「本当はこれはね、こうあっちとこっちに立って二人で息を合わせて動かすものでね、幅の広い布がを織ることができる機械なんだけど。使い手がねぇ、遠くに行ってしまって困っていたの。操作がちょっと複雑で、誰でもできるってわけでもないし、覚えるのにも時間がかかるのよ。」
「ほら、バルトの娘のことだよ。遠くに嫁に行った。」
叔母さんが説明を付け加える。そういえばバルトさんの奥さんは、お嫁に行った娘さんの出産の手伝いで遠くへ行っていると言っていた。
「そうなの。それで困っていたらヒルダがね、魔法使いに頼んでみたらって言うもんだから、物は試しとクローディアに相談してみたの。そうしたら快く引き受けてくれたもんだから本当に助かったわ。しかも魔法で動いているから人件費タダよ!?その分、他の作業に人手を回せるから作業効率も上がって大助かりよ!時々きちんと動いているか確認に来てくれるし。ありがたいわぁ。」
アデルさんが熱く語ってくれるのに叔母さんはちょっと苦笑い気味だ。
そうなのか。保冷庫と一緒でクローディアの魔法なんだ。それにしても?
「てっきりクローディアは怖がられているのかと思っていましたけど。」
「あら、それはもちろん魔法使いってものはちょっと怖いし、愛想はないけど、クローディアは責任感のある良い人よ?怖がっているのは良く分かっていない男たちよね。本当に情けないったら。」
アデルさんはそう言ってため息をつく。
「クローディアって昔からこの辺に住んでいるんですか?」
「さあ?バルトの宿屋で時々食事をしているのは知っていたけど。どこに住んでいるのかは知らないわ。その辺はヒルダの方が詳しいんじゃないの?」
そう言ってアデルさんは叔母さんの方を見る。
「わたしも知り合いの知り合いってだけで、どこに住んでいるかまでは...。」
知り合いの知り合い?
「それで、頼みたいものなんだけど...。」
叔母さんは明らかに話をそらすようにアデルさんにお願いする品を説明しだした。
ベット周りのリネン類、台所の布巾、手拭き用布などなど。最後に僕の着替え用の服をお願いして簡単にその場で採寸もしてもらう。アデルさんは寸法をメモして言った。
「まだ、身長は伸びる年頃だから少し大きめがいいのかしら?服以外は表の棚に在庫があるから持って行っていいわよ。服はそうね6日ほどかかるけど構わない?」
「ああ、もちろん。じゃあ頼むよ。」
そういって、僕たちはまたお婆さんが座っている店の方まで戻って来た。
「そういえば、さっきの歌だけど。」
叔母さんが棚に畳んである品物を取りながら話しかけてきた。
さっきの歌?ああ、母さんが子守唄に歌っていた乙女の歌か。
「ほら、衣の色は何色とかっていう歌詞があるじゃないか。」
「うん。衣の色はどんな色~、だっけ?」
ワンフレーズを歌ってみる。エッダさんが椅子でウトウトしているので全部小声だ。
「そうそう。あとマントの色はどんな色~っていうのもあるけど。なんかお前がちょっと怖いって思ったって言うの分かる気がする。」
「なんで?」
「どうしてもあの部分で真っ赤な色を想像しちゃうんだよな。子供の頃から。」
「あ~、でもそれ分かるかも。ほら夕日ってフレーズが出て来るからかな。僕も赤いの想像しちゃうかも。」
「だよなぁ。それが、どうしても血に染まった戦いの乙女を連想してさあ。あんまりあの歌好きじゃなかったかも。」
そういわれると、哀愁のあるメロディーと相まってなおさら悲しい歌に聞こえてきた。
「まあ、間違ってはいないよ。」
眠っていると思っていたエッダさんにいきなり声を掛けられて驚く。
「すいません。うるさくして。」
どうやら、僕たちの話声がうるさくて起きてしまったようだ。
「いいや。そんなことはないよ。年寄りは眠りが浅いのさ。」
「間違ってないって?」
叔母さんがエッダさんが言った言葉を繰り返す。
「衣が血の色だっていうのがさ。今でこそ、ありがたいことに、この辺りは戦もなくて平和だが、この歌ができた頃は戦があるのが日常だったのではないかねぇ。戦いに行く兵士を歌っている歌なんだろうから。」
エッダさんはそう感慨深そうに答える。
「この国では争いはもうずいぶんないのかい?」
「そうだねぇ。まあ、国境近くでの小競り合いぐらいはあるらしいけど。この辺りは王都のすぐ近くだからね。私が知っている限りは平和だよ。なんたって、国王様は魔法使いを味方につけていらっしゃるからね。」
エッダさんはありがたい、ありがたいと繰り返した。
魔法使いを味方に?それって、クローディアの事だろうか?
「別に、魔法使いが万能ってことはないだろう?」
なんだろう、叔母さん随分さっきからくいさがるな。
「さあね。私にはそこまでは分からないよ。でもね、実際今の治世は安定しているし、私たち平民も食べるのに困ってはいない。それだけでも充分ありがたいことだよ。それが魔法使いのお陰かなんて私らがどうこう言う問題じゃないの...さ...。」
そう言うと、エッダさんはコクリコクリと頭を揺らしてまた眠りに落ちてしまった。
まるで今から悪戯をするような顔でアデルさんに案内されたのは、奥にある大きな機械の前だった。今まで見た機織り機とは形も全然違っていて大きさもかなり大きい。
「あれ?これは自動で動くんですか?」
機械はカタンカタン音を立てて動いていたが誰も近くに人はいなかったからだ。
確か、電気は無い世界だと叔母さんは言っていたけど?
「な~んだ、あまり驚かなのね?」アデルさんが悪戯に失敗した子供の様に残念そうな顔をする。
「いいえ、不思議には思っています。」
「そうなの?これはね、魔法で動いているのよ。」
え?魔法?それは凄い。
そう思ったのが顔に出たのかアデルさんはちょっと満足した顔で説明してくれた。
「本当はこれはね、こうあっちとこっちに立って二人で息を合わせて動かすものでね、幅の広い布がを織ることができる機械なんだけど。使い手がねぇ、遠くに行ってしまって困っていたの。操作がちょっと複雑で、誰でもできるってわけでもないし、覚えるのにも時間がかかるのよ。」
「ほら、バルトの娘のことだよ。遠くに嫁に行った。」
叔母さんが説明を付け加える。そういえばバルトさんの奥さんは、お嫁に行った娘さんの出産の手伝いで遠くへ行っていると言っていた。
「そうなの。それで困っていたらヒルダがね、魔法使いに頼んでみたらって言うもんだから、物は試しとクローディアに相談してみたの。そうしたら快く引き受けてくれたもんだから本当に助かったわ。しかも魔法で動いているから人件費タダよ!?その分、他の作業に人手を回せるから作業効率も上がって大助かりよ!時々きちんと動いているか確認に来てくれるし。ありがたいわぁ。」
アデルさんが熱く語ってくれるのに叔母さんはちょっと苦笑い気味だ。
そうなのか。保冷庫と一緒でクローディアの魔法なんだ。それにしても?
「てっきりクローディアは怖がられているのかと思っていましたけど。」
「あら、それはもちろん魔法使いってものはちょっと怖いし、愛想はないけど、クローディアは責任感のある良い人よ?怖がっているのは良く分かっていない男たちよね。本当に情けないったら。」
アデルさんはそう言ってため息をつく。
「クローディアって昔からこの辺に住んでいるんですか?」
「さあ?バルトの宿屋で時々食事をしているのは知っていたけど。どこに住んでいるのかは知らないわ。その辺はヒルダの方が詳しいんじゃないの?」
そう言ってアデルさんは叔母さんの方を見る。
「わたしも知り合いの知り合いってだけで、どこに住んでいるかまでは...。」
知り合いの知り合い?
「それで、頼みたいものなんだけど...。」
叔母さんは明らかに話をそらすようにアデルさんにお願いする品を説明しだした。
ベット周りのリネン類、台所の布巾、手拭き用布などなど。最後に僕の着替え用の服をお願いして簡単にその場で採寸もしてもらう。アデルさんは寸法をメモして言った。
「まだ、身長は伸びる年頃だから少し大きめがいいのかしら?服以外は表の棚に在庫があるから持って行っていいわよ。服はそうね6日ほどかかるけど構わない?」
「ああ、もちろん。じゃあ頼むよ。」
そういって、僕たちはまたお婆さんが座っている店の方まで戻って来た。
「そういえば、さっきの歌だけど。」
叔母さんが棚に畳んである品物を取りながら話しかけてきた。
さっきの歌?ああ、母さんが子守唄に歌っていた乙女の歌か。
「ほら、衣の色は何色とかっていう歌詞があるじゃないか。」
「うん。衣の色はどんな色~、だっけ?」
ワンフレーズを歌ってみる。エッダさんが椅子でウトウトしているので全部小声だ。
「そうそう。あとマントの色はどんな色~っていうのもあるけど。なんかお前がちょっと怖いって思ったって言うの分かる気がする。」
「なんで?」
「どうしてもあの部分で真っ赤な色を想像しちゃうんだよな。子供の頃から。」
「あ~、でもそれ分かるかも。ほら夕日ってフレーズが出て来るからかな。僕も赤いの想像しちゃうかも。」
「だよなぁ。それが、どうしても血に染まった戦いの乙女を連想してさあ。あんまりあの歌好きじゃなかったかも。」
そういわれると、哀愁のあるメロディーと相まってなおさら悲しい歌に聞こえてきた。
「まあ、間違ってはいないよ。」
眠っていると思っていたエッダさんにいきなり声を掛けられて驚く。
「すいません。うるさくして。」
どうやら、僕たちの話声がうるさくて起きてしまったようだ。
「いいや。そんなことはないよ。年寄りは眠りが浅いのさ。」
「間違ってないって?」
叔母さんがエッダさんが言った言葉を繰り返す。
「衣が血の色だっていうのがさ。今でこそ、ありがたいことに、この辺りは戦もなくて平和だが、この歌ができた頃は戦があるのが日常だったのではないかねぇ。戦いに行く兵士を歌っている歌なんだろうから。」
エッダさんはそう感慨深そうに答える。
「この国では争いはもうずいぶんないのかい?」
「そうだねぇ。まあ、国境近くでの小競り合いぐらいはあるらしいけど。この辺りは王都のすぐ近くだからね。私が知っている限りは平和だよ。なんたって、国王様は魔法使いを味方につけていらっしゃるからね。」
エッダさんはありがたい、ありがたいと繰り返した。
魔法使いを味方に?それって、クローディアの事だろうか?
「別に、魔法使いが万能ってことはないだろう?」
なんだろう、叔母さん随分さっきからくいさがるな。
「さあね。私にはそこまでは分からないよ。でもね、実際今の治世は安定しているし、私たち平民も食べるのに困ってはいない。それだけでも充分ありがたいことだよ。それが魔法使いのお陰かなんて私らがどうこう言う問題じゃないの...さ...。」
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