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44話 叔母さん旅に出る
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夏休みも終わりに近づいた頃、仕事を終えた叔母さんが何か残り物を食べさせてくれと店にやって来た。
その日のメニューは生姜焼き定食だったけど、肉は全部消費されて残っていなかった。仕方がないので、おかかのおにぎりを二つと鍋の底に残っていた味噌汁が何とか一杯分だけあったのでそれも出す。
「大根の甘酢漬けならあるけど食べる?」
「ああ、貰う。しばらくは和食なんて食べれないからな。」
そう言うと叔母さんは出されたおにぎりを頬張った。
「何で?」
「バルトのかみさんがやっと帰って来ただろ?」
いきなり話が飛んで面食らう。
「うん?」
確かに娘さんの出産の手伝いで遠くの国へ行っていたバルトさんの奥さんがやっと昨日帰ってきた。わざわざ僕の所にも挨拶に来てくれた。
「それで、奥さんは自分はアデルの工房の仕事もあるし、宿の仕事は私に続けて欲しいとは言ってもらっているんだけど...。」
「うん。」
「ちょっと、北の方へ行って来ようかと思う。」
北?
「それって、もしかして叔母さんの生まれ故郷ってこと?」
「ああ。まあ、一度、どうなっているのか見てこようかと思ってな。ミリーとリコを随分待たせたしな。」
そうか、あの二人は叔母さんの準備が整うのを待っていたということか。
「お前、姉さんから自分の父親のことなんか聞いている?」
「ううん。」
何だろう、今日はずいぶん話が飛ぶなあ。
「そうか、そうだよな。」
叔母さんは何かを考え込んでいる感じだった。
「気にならなかったのか?」
「う~ん、気にならなかった訳じゃないけど。」
「じゃあなんで、今まで聞かなかった?」
「小さい頃に聞いたことはあるよ、母さんに。でも、つらそうな顔をして答えてくれなかったんだよね。」
だから、何となくよっぽど酷い奴だったのか、望まれて出来た子ではなかったのかなぁとか思って、それからは聞かなかったのだ。まあ、母さんを悲しませてまで知らなくてもいいかなぁと。
「母さんも叔母さんたちもいたし、叔母さんが父親替わりみたいなもんだったし。」
「ははっ!そうか。」
叔母さんは嬉しそうに笑った。父親がわりで良いのだろうか?
「お前がこの世界に来るなんて考えていなかったから。姉さんと私の故郷についても話すつもりはなかったんだよな。まあ、話しても信じてもらえなかっただろうし。」
「まあ、以前だったら信じなかっただろうね。」
魔法使いに異世界なんて、自分の目で見て体験しなければ信じられるものではないだろう。僕は現実主義者だと今でも自分で思っている。
「だよなぁ。まさかこんなにこの世界に馴染むとは思ってもみなかったよ。」
確かに。最初は自由に使える厨房が目的だったのに、まさかこんなにここの人たちに受け入れてもらって居心地のいい場所になるとは思ってもみなかった。今となっては学校がない時はほとんどこちらの世界に入り浸っている。
「だから、もしかしたらこっちの世界に住むつもりなら、まあ色々と話しておくべきなんじゃないかと思ってな。」
「色々?」
「そう、ただその前にちょっと確かめたいことがあってな。帰ってきたら話すよ。」
「うん?」
なんだ、今話してくれるのではないのか。
「それで、どれくらいで行って帰ってこれるの?」
その故郷がどこにあるのかも分からないけど。あまり長く留守にしているなら叔父さんのメンタルが心配だ。
「3ヶ月の予定だ。」
「3ヶ月?そんなに?叔父さんは?大丈夫?そんなに放っておいて。」
「ああ、それなら大丈夫だ。担当している選手が当分海外に拠点を移すそうだ。まあ、一年くらいは帰って来れないだろう。」
そうなのか、スケートのコーチをやっている叔父さんは担当の選手の動向に左右される。可愛そうに。きっと、叔母さんに行きたくないとか言って怒られたのだろう。
「まあ、お前の方にも色々泣き言を言ってくるだろうけど気にしなくていいからな。」
そう叔母さんは僕に念を押すとミリセントとリコさんと一緒に北へと旅立って行った。
その日のメニューは生姜焼き定食だったけど、肉は全部消費されて残っていなかった。仕方がないので、おかかのおにぎりを二つと鍋の底に残っていた味噌汁が何とか一杯分だけあったのでそれも出す。
「大根の甘酢漬けならあるけど食べる?」
「ああ、貰う。しばらくは和食なんて食べれないからな。」
そう言うと叔母さんは出されたおにぎりを頬張った。
「何で?」
「バルトのかみさんがやっと帰って来ただろ?」
いきなり話が飛んで面食らう。
「うん?」
確かに娘さんの出産の手伝いで遠くの国へ行っていたバルトさんの奥さんがやっと昨日帰ってきた。わざわざ僕の所にも挨拶に来てくれた。
「それで、奥さんは自分はアデルの工房の仕事もあるし、宿の仕事は私に続けて欲しいとは言ってもらっているんだけど...。」
「うん。」
「ちょっと、北の方へ行って来ようかと思う。」
北?
「それって、もしかして叔母さんの生まれ故郷ってこと?」
「ああ。まあ、一度、どうなっているのか見てこようかと思ってな。ミリーとリコを随分待たせたしな。」
そうか、あの二人は叔母さんの準備が整うのを待っていたということか。
「お前、姉さんから自分の父親のことなんか聞いている?」
「ううん。」
何だろう、今日はずいぶん話が飛ぶなあ。
「そうか、そうだよな。」
叔母さんは何かを考え込んでいる感じだった。
「気にならなかったのか?」
「う~ん、気にならなかった訳じゃないけど。」
「じゃあなんで、今まで聞かなかった?」
「小さい頃に聞いたことはあるよ、母さんに。でも、つらそうな顔をして答えてくれなかったんだよね。」
だから、何となくよっぽど酷い奴だったのか、望まれて出来た子ではなかったのかなぁとか思って、それからは聞かなかったのだ。まあ、母さんを悲しませてまで知らなくてもいいかなぁと。
「母さんも叔母さんたちもいたし、叔母さんが父親替わりみたいなもんだったし。」
「ははっ!そうか。」
叔母さんは嬉しそうに笑った。父親がわりで良いのだろうか?
「お前がこの世界に来るなんて考えていなかったから。姉さんと私の故郷についても話すつもりはなかったんだよな。まあ、話しても信じてもらえなかっただろうし。」
「まあ、以前だったら信じなかっただろうね。」
魔法使いに異世界なんて、自分の目で見て体験しなければ信じられるものではないだろう。僕は現実主義者だと今でも自分で思っている。
「だよなぁ。まさかこんなにこの世界に馴染むとは思ってもみなかったよ。」
確かに。最初は自由に使える厨房が目的だったのに、まさかこんなにここの人たちに受け入れてもらって居心地のいい場所になるとは思ってもみなかった。今となっては学校がない時はほとんどこちらの世界に入り浸っている。
「だから、もしかしたらこっちの世界に住むつもりなら、まあ色々と話しておくべきなんじゃないかと思ってな。」
「色々?」
「そう、ただその前にちょっと確かめたいことがあってな。帰ってきたら話すよ。」
「うん?」
なんだ、今話してくれるのではないのか。
「それで、どれくらいで行って帰ってこれるの?」
その故郷がどこにあるのかも分からないけど。あまり長く留守にしているなら叔父さんのメンタルが心配だ。
「3ヶ月の予定だ。」
「3ヶ月?そんなに?叔父さんは?大丈夫?そんなに放っておいて。」
「ああ、それなら大丈夫だ。担当している選手が当分海外に拠点を移すそうだ。まあ、一年くらいは帰って来れないだろう。」
そうなのか、スケートのコーチをやっている叔父さんは担当の選手の動向に左右される。可愛そうに。きっと、叔母さんに行きたくないとか言って怒られたのだろう。
「まあ、お前の方にも色々泣き言を言ってくるだろうけど気にしなくていいからな。」
そう叔母さんは僕に念を押すとミリセントとリコさんと一緒に北へと旅立って行った。
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