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英和 ニ
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「それにしても、長瀬さんこそなぜあの場所に?」
「俺が引っ張り出したんだよ。
英和が、また、美少女が消えたって、血相変えて来たから、あの娼館を探りに行くからって、助っ人を頼んだんだ。踏み込んだ方が良いと判断した場合、英和と俺じゃ、返り討ちに遭うのが落ちだろうからな」
確かに、勇一郎と山上だけでは心細い。
「ところで圭君、申し訳ないのだけど、今から一緒に行って欲しい場所があるんだ」
「はい、どちらへ?」
「富山男爵の所へ。
園子さんに聞かなければならない。返答次第では、警察に引き渡さなければ。
彼女がただ、口止めすべく君を呼び出したのなら、なんら問題はない。が、娼館の連中と手を組んで、君を誘拐するのが目的であったなら、捨て置くわけにはいくまい」
重い空気が漂う。
少女、それも華族家の者を、最も卑劣な犯罪の一味として逮捕させる。それは大きな問題である。大きな難問である。
最近、華族の醜聞が問題となっている。
本来、国民の手本となり、皇室の藩塀となるべき華族が、恋愛醜聞、赤化、贅沢と平民の反感を買っている。
富山男爵家は、新華族であるが、成金への妬みと軽蔑、政治家への不正な献金の噂も絶えず、評判は良くない。そんな中、娘が犯罪者として逮捕となれば、爵位剥奪まではいかなくとも、返上は促されるだろう。
だとしても、放っておくことはできない。
「俺も行っていいか? 周辺で聞き込みしてくる」
「駄目だって言ってもついて来るだろう。
山上君は?」
眉間に皺を寄せていた山上が、やっと口を開く。
「俺はやめておくよ。明日、授業をさぼった言い訳しに行かなきゃならない」
周りに気を遣っているのか、笑顔を見せるが、無理をしているのは明らかだった。
「巻き込んじまって、悪かったな」
「逆だよ。知らずにいる方が問題だ」
「中里さんが、先生を巻き込んだのですか?」
「あぁ偶然、英和があの女学校の臨時講師になってたから、生徒の様子を教えて貰ったんだ。
あの娼館の噂を聞いて、調べてみたら、主に連れ込まれているのは、家出人だった」
家出娘ではなく、家出人と言ったことから、娼館の内情をよく調べているのだと分かった。
「娼館の噂。とは?」
「俺が引っ張り出したんだよ。
英和が、また、美少女が消えたって、血相変えて来たから、あの娼館を探りに行くからって、助っ人を頼んだんだ。踏み込んだ方が良いと判断した場合、英和と俺じゃ、返り討ちに遭うのが落ちだろうからな」
確かに、勇一郎と山上だけでは心細い。
「ところで圭君、申し訳ないのだけど、今から一緒に行って欲しい場所があるんだ」
「はい、どちらへ?」
「富山男爵の所へ。
園子さんに聞かなければならない。返答次第では、警察に引き渡さなければ。
彼女がただ、口止めすべく君を呼び出したのなら、なんら問題はない。が、娼館の連中と手を組んで、君を誘拐するのが目的であったなら、捨て置くわけにはいくまい」
重い空気が漂う。
少女、それも華族家の者を、最も卑劣な犯罪の一味として逮捕させる。それは大きな問題である。大きな難問である。
最近、華族の醜聞が問題となっている。
本来、国民の手本となり、皇室の藩塀となるべき華族が、恋愛醜聞、赤化、贅沢と平民の反感を買っている。
富山男爵家は、新華族であるが、成金への妬みと軽蔑、政治家への不正な献金の噂も絶えず、評判は良くない。そんな中、娘が犯罪者として逮捕となれば、爵位剥奪まではいかなくとも、返上は促されるだろう。
だとしても、放っておくことはできない。
「俺も行っていいか? 周辺で聞き込みしてくる」
「駄目だって言ってもついて来るだろう。
山上君は?」
眉間に皺を寄せていた山上が、やっと口を開く。
「俺はやめておくよ。明日、授業をさぼった言い訳しに行かなきゃならない」
周りに気を遣っているのか、笑顔を見せるが、無理をしているのは明らかだった。
「巻き込んじまって、悪かったな」
「逆だよ。知らずにいる方が問題だ」
「中里さんが、先生を巻き込んだのですか?」
「あぁ偶然、英和があの女学校の臨時講師になってたから、生徒の様子を教えて貰ったんだ。
あの娼館の噂を聞いて、調べてみたら、主に連れ込まれているのは、家出人だった」
家出娘ではなく、家出人と言ったことから、娼館の内情をよく調べているのだと分かった。
「娼館の噂。とは?」
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