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主犯 ニ
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ほとんど蚊帳の外の圭は、二人の遣り取りを必死に見ていた。隼人はなぜか、丁寧であったり、親しげだったり、態度が統一されていない。
一方百合子は、犯罪者として追い詰められつつあるはずなのに、嬉しそうな表情へと変化していくのだ。
百合子は、隼人と勇一郎に対して、好印象を持っている。二人の、少女に対する態度が好ましかったのだと予想できた。
園子もまた、日記に、男に対する批判があった。美しい少女の共通の悩みが、男の視線なのだろう。
新聞などでは、女学生を性の堕落者と呼ぶこともある。男は新聞を読み、女学生を軽んじ、蔑視し、下心を露わに近づく。
異性から離されて育った箱入り娘が、美しく成長することで、不躾な視線に悩まされる。男嫌いになるのも無理はない。
瑞々しい少女時代。彼女らが求めるのは、あの中庭のように、明るく、美しく、良い匂いのする時間。
兄のように優しく、誠実。それだけで少女にとって、理想の男性となる。守ってくれる人。頼りになる人。
百合子は恋をしているのか? 隼人に? 勇一郎に?
隼人の様子もおかしい。大して親しくない友人の義妹にしては、言葉遣いが馴れ馴れしくなりつつある。
「我が家は女系ですの」
百合子の表情は明るかった。
「だから何代も、お婿さんを迎えています。婿が当主になるのですから、家に対する責任感など、薄いものです。
お祖父様のように、格下の分家から迎えたりすると、劣等感から、妻や娘に手を上げるようになります。
お父様は、同じ伯爵家の次男ですが、働く事を知らない人。お陰で、八田家の家政は、お恥ずかしいことになってしまい、次は新華族だけど、お金には困らないでいられるような実業家のお義兄様を迎えました。
お祖父様、お父様、お義兄様。この三人を見ていれば、異性に幻滅するのは簡単。
聞いて下さいませ長瀬様。お義兄様ったら私がこうして、母の形見の着物を身に着けるのを嫌いますの。理由は、貧乏人に見えるからですって。
お金は持っていても、心の豊かさとは全く無縁な方。母親を慕う娘の気持ちすら理解できないのですわ。
私、お母様も叔母様もお祖母様も大好き。
でも、この家はもう、終わってしまえば良いと思っておりますの」
一方百合子は、犯罪者として追い詰められつつあるはずなのに、嬉しそうな表情へと変化していくのだ。
百合子は、隼人と勇一郎に対して、好印象を持っている。二人の、少女に対する態度が好ましかったのだと予想できた。
園子もまた、日記に、男に対する批判があった。美しい少女の共通の悩みが、男の視線なのだろう。
新聞などでは、女学生を性の堕落者と呼ぶこともある。男は新聞を読み、女学生を軽んじ、蔑視し、下心を露わに近づく。
異性から離されて育った箱入り娘が、美しく成長することで、不躾な視線に悩まされる。男嫌いになるのも無理はない。
瑞々しい少女時代。彼女らが求めるのは、あの中庭のように、明るく、美しく、良い匂いのする時間。
兄のように優しく、誠実。それだけで少女にとって、理想の男性となる。守ってくれる人。頼りになる人。
百合子は恋をしているのか? 隼人に? 勇一郎に?
隼人の様子もおかしい。大して親しくない友人の義妹にしては、言葉遣いが馴れ馴れしくなりつつある。
「我が家は女系ですの」
百合子の表情は明るかった。
「だから何代も、お婿さんを迎えています。婿が当主になるのですから、家に対する責任感など、薄いものです。
お祖父様のように、格下の分家から迎えたりすると、劣等感から、妻や娘に手を上げるようになります。
お父様は、同じ伯爵家の次男ですが、働く事を知らない人。お陰で、八田家の家政は、お恥ずかしいことになってしまい、次は新華族だけど、お金には困らないでいられるような実業家のお義兄様を迎えました。
お祖父様、お父様、お義兄様。この三人を見ていれば、異性に幻滅するのは簡単。
聞いて下さいませ長瀬様。お義兄様ったら私がこうして、母の形見の着物を身に着けるのを嫌いますの。理由は、貧乏人に見えるからですって。
お金は持っていても、心の豊かさとは全く無縁な方。母親を慕う娘の気持ちすら理解できないのですわ。
私、お母様も叔母様もお祖母様も大好き。
でも、この家はもう、終わってしまえば良いと思っておりますの」
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