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溜息 ニ
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自分が読んでいながら、あんな。もなにもないものだが、本来、名門中学に通う真面目な生徒の読む新聞では無い。
「同じ組の奴が、学校に持ってきてたんだ。元男爵って、麻上のことじゃないのかって」
「え? 君、学校行ってるの?」
記事には、婚約解消をすれば勘当だと書かれていたし、圭の話からすれば、やはり、家を棄てると言ったと言う。とすれば、学校に行っている場合では無かろうが。
「学校に行ってるけど?」
なにを言っているのだ? とまた、さっきと同じ顔をした。
「婚約解消はしていないのだね?」
「いや、解消はした……」
「新聞記事では、婚約解消すれば、勘当すると言われたと」
「あの時点ではそう言われたし、俺もその覚悟で彼女に話をしたけど、その後すぐに、状況が変わって……」
宗一郎があからさまに二人から視線を避けた。心に疚しい気持ちがある時に示す、仕草だと気付いた。
「彼女の家が没落したのだね」
宗一郎の家がどういう仕事をしているのか、どういう身分なのかは知らないが、身に着けている学生服は清潔で、上等な生地を使っているのは素人目にも分かるし、胸のポケットに挿してある万年筆は、どう見ても安物では無い。
それなりの資産を有しているのは、簡単に推理できた。
「あぁ……そうしたら、あんなに反対していた父が、俺に相談も無く勝手に婚約を解消していて、お前もあの娘が気に入らなかったのだろうから、丁度良かっただろう。と……」
圭が呆れたように、溜息をついた。体格が良く、男らしい顔をしているが、どうやら気は小さいらしい。
父親は、婚約解消の最大の原因を、娘の家の没落では無く、息子の心変わりだとしたいのだ。もちろん、息子が男の子に心惹かれているとも認めたくは無い。
それが分かっていながら、宗一郎は反論の一つもできなかったに違いなかった。
かくして宗一郎は、圭を気にはしつつも、現状を変える勇気も無く時を過ごしていたのだろう。宗一郎を尊敬していた圭としては、溜息をつくのはしかたがあるまい。
「同じ組の奴が、学校に持ってきてたんだ。元男爵って、麻上のことじゃないのかって」
「え? 君、学校行ってるの?」
記事には、婚約解消をすれば勘当だと書かれていたし、圭の話からすれば、やはり、家を棄てると言ったと言う。とすれば、学校に行っている場合では無かろうが。
「学校に行ってるけど?」
なにを言っているのだ? とまた、さっきと同じ顔をした。
「婚約解消はしていないのだね?」
「いや、解消はした……」
「新聞記事では、婚約解消すれば、勘当すると言われたと」
「あの時点ではそう言われたし、俺もその覚悟で彼女に話をしたけど、その後すぐに、状況が変わって……」
宗一郎があからさまに二人から視線を避けた。心に疚しい気持ちがある時に示す、仕草だと気付いた。
「彼女の家が没落したのだね」
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それなりの資産を有しているのは、簡単に推理できた。
「あぁ……そうしたら、あんなに反対していた父が、俺に相談も無く勝手に婚約を解消していて、お前もあの娘が気に入らなかったのだろうから、丁度良かっただろう。と……」
圭が呆れたように、溜息をついた。体格が良く、男らしい顔をしているが、どうやら気は小さいらしい。
父親は、婚約解消の最大の原因を、娘の家の没落では無く、息子の心変わりだとしたいのだ。もちろん、息子が男の子に心惹かれているとも認めたくは無い。
それが分かっていながら、宗一郎は反論の一つもできなかったに違いなかった。
かくして宗一郎は、圭を気にはしつつも、現状を変える勇気も無く時を過ごしていたのだろう。宗一郎を尊敬していた圭としては、溜息をつくのはしかたがあるまい。
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