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二形 ニ
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「小生意気なガキだな。
あの女とどんな約束をしたんだ? いい目を見せてやるとでも言われたのか?」
意味は分からないが、下品な笑いを漏らしたことから、なんとなく理解できた。
「伯爵令嬢を、あの女扱いですか」
「令嬢だって? あいつは令嬢なんかじゃ無い、二形だ。なにが令嬢だ」
「ふたなり?」
「知らないのか? さすがはお坊ちゃまだな。あいつに聞けば、教えてくれ……」
いたぞ。と、男の声がした。見知らぬ男が二人。こちらに向かって走って来る。
「あの学生が言った通りだ。あの八田育夫が美少年と密会してるぞ」
こんな公道での立ち話をいつから、密会と表現するようになったのか知らないが、どうやら記者らしく、肩掛け鞄が腰の辺りで跳ねていた。
「あ、もしかして、麻上男爵ですか? 八田育夫とはどういう関係で?」
素早いもので、育夫は記者の姿を見付けるとすぐ、車に向かって駆けて行った。
残されて圭は、肩を竦めた。
「私の知り合いではありません」
素っ気なく答えて離れようとしたが、ふと、記者の言葉が気になった。
「あの学生。とは?」
逆に質問されて戸惑ったのか、さっき、と、記者は素直に口を開いた。
「学生服を着た男に声を掛けられましてね、八田育夫が美少年を毒牙にかけようとしてるって」
「貴方方は、八田育夫を追っていたのですか?」
「いや、この辺りは政治家も華族も多いから、普段からうろついてましてね。八田がいるなんて知りませんでしたよ」
「そうですか。それでは、失礼します」
聞きたいことだけ聞いて、素っ気ない態度で逃げようとしたのだが、そうはうまくいかなかった。当然と言えば当然だろうが。
「待って下さいよ、男爵。こっちの質問にも答えてくれませんか?」
「私はもう、男爵ではありません。麻上でお願いします。
質問ですが、先ほども申し上げました通り、あの人は私の知り合いではありません」
「ってことはやはり、毒牙にかけられそうになったので?」
なんと答えればいいのか。毒牙に掛けられそうになったなどと答えようものならば、明日から家を出られまい。だからといって、本当のことを話すわけにもいかないのだ。
と、その時、おぉーい。と、救いの神が現れた。
あの女とどんな約束をしたんだ? いい目を見せてやるとでも言われたのか?」
意味は分からないが、下品な笑いを漏らしたことから、なんとなく理解できた。
「伯爵令嬢を、あの女扱いですか」
「令嬢だって? あいつは令嬢なんかじゃ無い、二形だ。なにが令嬢だ」
「ふたなり?」
「知らないのか? さすがはお坊ちゃまだな。あいつに聞けば、教えてくれ……」
いたぞ。と、男の声がした。見知らぬ男が二人。こちらに向かって走って来る。
「あの学生が言った通りだ。あの八田育夫が美少年と密会してるぞ」
こんな公道での立ち話をいつから、密会と表現するようになったのか知らないが、どうやら記者らしく、肩掛け鞄が腰の辺りで跳ねていた。
「あ、もしかして、麻上男爵ですか? 八田育夫とはどういう関係で?」
素早いもので、育夫は記者の姿を見付けるとすぐ、車に向かって駆けて行った。
残されて圭は、肩を竦めた。
「私の知り合いではありません」
素っ気なく答えて離れようとしたが、ふと、記者の言葉が気になった。
「あの学生。とは?」
逆に質問されて戸惑ったのか、さっき、と、記者は素直に口を開いた。
「学生服を着た男に声を掛けられましてね、八田育夫が美少年を毒牙にかけようとしてるって」
「貴方方は、八田育夫を追っていたのですか?」
「いや、この辺りは政治家も華族も多いから、普段からうろついてましてね。八田がいるなんて知りませんでしたよ」
「そうですか。それでは、失礼します」
聞きたいことだけ聞いて、素っ気ない態度で逃げようとしたのだが、そうはうまくいかなかった。当然と言えば当然だろうが。
「待って下さいよ、男爵。こっちの質問にも答えてくれませんか?」
「私はもう、男爵ではありません。麻上でお願いします。
質問ですが、先ほども申し上げました通り、あの人は私の知り合いではありません」
「ってことはやはり、毒牙にかけられそうになったので?」
なんと答えればいいのか。毒牙に掛けられそうになったなどと答えようものならば、明日から家を出られまい。だからといって、本当のことを話すわけにもいかないのだ。
と、その時、おぉーい。と、救いの神が現れた。
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