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父親
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「八田百合子の叔母とは言っても、伯爵家の令嬢じゃない。婿が女中に手を付けて生まれた子だ。
が、娘ひとりだった伯爵家で、姉妹がいた方が娘の為だろうと考えた百合子の祖母が、同じ女学校に通わせ、躾をし、しかし、実の母親からは引き離さずに育てた。本当によくできた人だったんだろうな。
嫁ぎ先は実業家ってことだが、どうにもその会社が胡散臭い。
俺も今まで気にしたこともなかったけど、どうやらこそこそ詐欺まがいなことやってたみたいで、爺さんにも実態がつかめないらしいんだ。
あとな、あの娼館の建物、八田育夫の所有だったらしいんだが、本人は否認してるそうだ。
それもちょっとおかしな話でさ、あいつだって莫迦じゃない。騙くらかして年端のいかない少女達に客を取らせてたんだ、普通に考えれば、名義をごまかさずにいる方がおかしい」
「それも十分おかしいが、百合子さんがあいつの手下のような真似をするとは思えない。
つまりは、あいつは百合子さんの叔母さんに嵌められたのか?」
「叔母か、その良人、あるいは両方が八田育夫を陥れるためにあの娼館を、奴名義にしたんだろうな」
「百合子への扱いに意見する叔母が邪魔になった育夫が、高子を伯爵夫人にするという約束で、叔母の良人の会社を潰させる。
あくどい真似をする必要はなかっただろう。元々問題しかないような会社だ。問題点を表に引きずり出してしまえば、もろく崩れる砂上の楼閣だ。
叔母が、どれだけ良人の仕事を理解していたかはわからんが、富山のせいで自分達が全てを失ったと、百合子に吹き込んだんだろう。
叔母と百合子だけなら、如月会のような組織に身を寄せることは可能だ」
扉を叩く音がした。緊張していたらしい圭が、びくりと体を震わせた。
黄昏時、外は明るさを失おうとしていた。
隼人は慌てて玄関に向かうと、どなた? と声をかけた。
「突然申し訳ありません。富山でございます」
富山の妻、久子だった。
扉を開いて、隼人は驚いた。もうひとりいる。若い男。富山の庶子だった。
「申し訳ありません」
「いえ、その……」
「初めまして、田村勝司と申します」
富山に似てはいるが、よく言えば穏やかな顔をしている。
隼人も挨拶をすると、二人を食堂に通した。
が、娘ひとりだった伯爵家で、姉妹がいた方が娘の為だろうと考えた百合子の祖母が、同じ女学校に通わせ、躾をし、しかし、実の母親からは引き離さずに育てた。本当によくできた人だったんだろうな。
嫁ぎ先は実業家ってことだが、どうにもその会社が胡散臭い。
俺も今まで気にしたこともなかったけど、どうやらこそこそ詐欺まがいなことやってたみたいで、爺さんにも実態がつかめないらしいんだ。
あとな、あの娼館の建物、八田育夫の所有だったらしいんだが、本人は否認してるそうだ。
それもちょっとおかしな話でさ、あいつだって莫迦じゃない。騙くらかして年端のいかない少女達に客を取らせてたんだ、普通に考えれば、名義をごまかさずにいる方がおかしい」
「それも十分おかしいが、百合子さんがあいつの手下のような真似をするとは思えない。
つまりは、あいつは百合子さんの叔母さんに嵌められたのか?」
「叔母か、その良人、あるいは両方が八田育夫を陥れるためにあの娼館を、奴名義にしたんだろうな」
「百合子への扱いに意見する叔母が邪魔になった育夫が、高子を伯爵夫人にするという約束で、叔母の良人の会社を潰させる。
あくどい真似をする必要はなかっただろう。元々問題しかないような会社だ。問題点を表に引きずり出してしまえば、もろく崩れる砂上の楼閣だ。
叔母が、どれだけ良人の仕事を理解していたかはわからんが、富山のせいで自分達が全てを失ったと、百合子に吹き込んだんだろう。
叔母と百合子だけなら、如月会のような組織に身を寄せることは可能だ」
扉を叩く音がした。緊張していたらしい圭が、びくりと体を震わせた。
黄昏時、外は明るさを失おうとしていた。
隼人は慌てて玄関に向かうと、どなた? と声をかけた。
「突然申し訳ありません。富山でございます」
富山の妻、久子だった。
扉を開いて、隼人は驚いた。もうひとりいる。若い男。富山の庶子だった。
「申し訳ありません」
「いえ、その……」
「初めまして、田村勝司と申します」
富山に似てはいるが、よく言えば穏やかな顔をしている。
隼人も挨拶をすると、二人を食堂に通した。
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