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部屋
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今日は、ホテルは貸し切りになっている。が、一部屋我儘を言って借りていた。
とはいえ、他の客のように泊まるわけではなく、パーティーの間だけだと伝えたら、安原家の為に用意されている部屋を貸してくれることになった。
どうして親族でもない、さほど親しくもない圭に対して親切にしてくれるのかは疑問なのだが、ありがたく貸して貰った。
三階の広い特別室に、三人で入る。
本来なら今日、最も華やかな人達の為の部屋でありながら、その正反対の人間が今、足を踏み入れていた。
縞柄の絹を張り付けたソファが存在するが、座らずにいる。できる限りこの、幸せの場所を乱したくはなかった。
入り口付近で三人、立ったままでいた。
「どうして私に気づいたのかしら? 目立たないよう大人しくしておりましたのに」
帽子を脱ぐと、艶やかな髪がパサリと落ちた。
「制服が体に合っていませんでした。それが気になったのです」
近くでじっくり見ると、ズボンの裾は内側に折り込んでいるし、袖は引っ張り上げていたのだろう、指先しか見えていない。
体の細さで違和感を覚えていたと思っていたのだが、全体的に見ると、違和感しかない。
それでも、椅子に座って動きを抑えていたからこそ、圭以外の人間に気づかれなかったのだろう。
「仕方ありませんわ。私の制服ではありませんもの。
どうして誰も倒れなかったの? 平気な顔で寒天を食べているなんて、おかしいわ」
「すまねぇ、俺達がすり替えた」
百合子は勇一郎に顔を向けるとほほ笑んだ。
「お久しぶりですわね、中里様。こんな再会など考えもしませんでしたけれど……」
「俺もだよ」
扉を叩く音が聞こえた。隼人がやって来たのだろう。
勇一郎が扉を開く。途端に、あっ。と、小さな驚きの声がした。
視線を向けると、トミと隼人、山上の後ろに、元帥が立っていた。笑ってこそいないが、穏やかな表情で、現状を理解しているようには思われなかった。
「お邪魔をさせて頂くよ」
お邪魔も何も、ここは安原家の部屋である。圭と勇一郎は丁寧に頭を下げると、元帥を見上げた。
とはいえ、他の客のように泊まるわけではなく、パーティーの間だけだと伝えたら、安原家の為に用意されている部屋を貸してくれることになった。
どうして親族でもない、さほど親しくもない圭に対して親切にしてくれるのかは疑問なのだが、ありがたく貸して貰った。
三階の広い特別室に、三人で入る。
本来なら今日、最も華やかな人達の為の部屋でありながら、その正反対の人間が今、足を踏み入れていた。
縞柄の絹を張り付けたソファが存在するが、座らずにいる。できる限りこの、幸せの場所を乱したくはなかった。
入り口付近で三人、立ったままでいた。
「どうして私に気づいたのかしら? 目立たないよう大人しくしておりましたのに」
帽子を脱ぐと、艶やかな髪がパサリと落ちた。
「制服が体に合っていませんでした。それが気になったのです」
近くでじっくり見ると、ズボンの裾は内側に折り込んでいるし、袖は引っ張り上げていたのだろう、指先しか見えていない。
体の細さで違和感を覚えていたと思っていたのだが、全体的に見ると、違和感しかない。
それでも、椅子に座って動きを抑えていたからこそ、圭以外の人間に気づかれなかったのだろう。
「仕方ありませんわ。私の制服ではありませんもの。
どうして誰も倒れなかったの? 平気な顔で寒天を食べているなんて、おかしいわ」
「すまねぇ、俺達がすり替えた」
百合子は勇一郎に顔を向けるとほほ笑んだ。
「お久しぶりですわね、中里様。こんな再会など考えもしませんでしたけれど……」
「俺もだよ」
扉を叩く音が聞こえた。隼人がやって来たのだろう。
勇一郎が扉を開く。途端に、あっ。と、小さな驚きの声がした。
視線を向けると、トミと隼人、山上の後ろに、元帥が立っていた。笑ってこそいないが、穏やかな表情で、現状を理解しているようには思われなかった。
「お邪魔をさせて頂くよ」
お邪魔も何も、ここは安原家の部屋である。圭と勇一郎は丁寧に頭を下げると、元帥を見上げた。
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