80 / 126
女中 七
しおりを挟む
「映子さんがあまりに傲慢なので、少し懲らしめてやろうと考えただけで、本音ではありませんよ。でも、副社長が仰るには、以来、物を投げ付ける等の行為が始まったらしく、恨まれています」
なるほど、嫁入り前の若い娘が、ヒステリーを起こして、物を投げるなどの乱暴を働くようになったなら、父親としては、元凶となった有朋を憎むのも、無理はあるまい。
しかし、映子はまだ二十歳。若さを妬む年齢ではない。
「いいえ、よくご覧になればわかります。十五六の子の髪の艶など、二十歳は敵いませんよ」
どれどれ。と、圭を見る。意識して見ると、漆黒の髪は艷やかで、まるで絹のよう。年齢を気にし始めたならば、嫉妬の対象になるだろう。
「反省などしてませんけど、ちょっと言い過ぎたかもしれませんね」
「彼女は君が好きなのか?」
有朋は、堪えきらぬとばかりに、笑い出した。
「違いますよ。さっき言ってたでしょう? 彼女が好きなのは、彼ですよ」
視線で、圭を指した。
「けど、君の言葉を気にしているのだろう?」
「この世の人間、すべてが自分に平伏すべきだと、思っているような人ですからね」
人がひとり亡くなったばかりなのにも関わらず、不謹慎にも笑みを絶やさない有朋を、不快に思っているのか、圭の目つきはきつい。
「新聞で知ったのですが、こちらの女中さんが殺されたそうですね」
「えぇ、あの時はとんでもない騒ぎになりました」
有朋は、この事件に興味はないのだと思った。
勇一郎は、被害者と高林の関係を書いた記事など無かった。と、言った。興味のある事件は、全ての新聞、雑誌に目を通しているから、信用度は高い。
身近で起きた奇妙な事件に、有朋が興味を示さぬのに、違和感を覚えた。
「まだ、犯人は捕まっておりませんが、それらしい人物をご存知ありませんか?」
「亡くなった人を悪く言うのは気が引けますが、あの人は随分と、貞操観念の薄い人でしたから、男といざこざを起こしたのではありませんか?
この屋敷の男の中にも、色良い返事を受けた者もいるようですし」
「君も言い寄られていたくちだろう?」
有朋は、小馬鹿にしたような表情を見せた。
「男と見れば、見境のない人でしたからね」
「すごい美人だったそうじゃないか。君はなんとも思わなかったのかい?」
「興味ありませんね」
なるほど、嫁入り前の若い娘が、ヒステリーを起こして、物を投げるなどの乱暴を働くようになったなら、父親としては、元凶となった有朋を憎むのも、無理はあるまい。
しかし、映子はまだ二十歳。若さを妬む年齢ではない。
「いいえ、よくご覧になればわかります。十五六の子の髪の艶など、二十歳は敵いませんよ」
どれどれ。と、圭を見る。意識して見ると、漆黒の髪は艷やかで、まるで絹のよう。年齢を気にし始めたならば、嫉妬の対象になるだろう。
「反省などしてませんけど、ちょっと言い過ぎたかもしれませんね」
「彼女は君が好きなのか?」
有朋は、堪えきらぬとばかりに、笑い出した。
「違いますよ。さっき言ってたでしょう? 彼女が好きなのは、彼ですよ」
視線で、圭を指した。
「けど、君の言葉を気にしているのだろう?」
「この世の人間、すべてが自分に平伏すべきだと、思っているような人ですからね」
人がひとり亡くなったばかりなのにも関わらず、不謹慎にも笑みを絶やさない有朋を、不快に思っているのか、圭の目つきはきつい。
「新聞で知ったのですが、こちらの女中さんが殺されたそうですね」
「えぇ、あの時はとんでもない騒ぎになりました」
有朋は、この事件に興味はないのだと思った。
勇一郎は、被害者と高林の関係を書いた記事など無かった。と、言った。興味のある事件は、全ての新聞、雑誌に目を通しているから、信用度は高い。
身近で起きた奇妙な事件に、有朋が興味を示さぬのに、違和感を覚えた。
「まだ、犯人は捕まっておりませんが、それらしい人物をご存知ありませんか?」
「亡くなった人を悪く言うのは気が引けますが、あの人は随分と、貞操観念の薄い人でしたから、男といざこざを起こしたのではありませんか?
この屋敷の男の中にも、色良い返事を受けた者もいるようですし」
「君も言い寄られていたくちだろう?」
有朋は、小馬鹿にしたような表情を見せた。
「男と見れば、見境のない人でしたからね」
「すごい美人だったそうじゃないか。君はなんとも思わなかったのかい?」
「興味ありませんね」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる