長瀬萬請負 其の一 〜紅い髪の探偵〜

岡倉弘毅

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女中 八

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 「君の好みって、どんな女性なの? どうも君は、女性に対して素っ気ないように見えるが」

「その言葉、そっくりお返ししますよ」

 それもそうだな。と、苦笑する。

「そうそう、彼女は、婦人とのお付き合いが下手でしたが、映子さんとは格別、馬が合わなかったようですね。

 美しさをやたらと誇る彼女と、自意識過剰の映子さんとでは、上手くやれと言う方が無理でしょうけれど」

「映子さんは、女中さんが殺されたと知った時も、今日のように冷静でしたか?」

 有朋は、冷静? と繰り返し、ゆっくりと頭を振った。

「大喜びでしたね。罰が当たったのだと言って、笑っていました」

 恐ろしいことに隼人には、笑い狂う映子の姿が見えるような気がした。いつものように華やかな格好で、変わり果てた美貌を、嘲笑っていたに違いない。

「敏さんとは珍しく、仲良くしていたのに」

 仲良く見えたのだろうか。

 傍目からはそう見えていたとしても、実際、どんな扱いを受けているかは、本人にしか分からない。閉ざされた扉の向こうでは、どんな目に遭わされていようとも、敏は映子に逆らえないのだから。

 自死は、唯一の反抗、無言の叫びだったのだろうか。

「それにしても、どうしても僕が尋問を受けなければならないのでしょうね。二人で交互に」

 言葉とは反対に、有朋自身、面白がっているのが分かった。冷たい雰囲気の男ではあるが、喜怒哀楽をことさら隠そうとする性格ではない。

「君なら、この家をよく知っているし、他言無用とされていることも、話してくれそうだと思ってね。

 こちらの打算が知れたなら、遠慮する必要は無いね。色々と教えてもらいたい」

 椅子の生活に慣れている隼人は、正座が得意ではなく、早々にあぐらをかいていたのだが、圭は行儀良く背筋を伸ばしていたので、有朋は、寛ぐようにと気を遣った。

「ありがとうございます。お気遣いなく」

 圭の態度は、まことに素っ気ない。正座には慣れているようで、無理をしているようには見えないので、放っておくことにする。

「まずは、二組の家族の関係を知りたいのだけど」

「簡単です。一見仲良く穏やかだけど、本音は付き合いたい相手ではありません。

 社長と副社長は、元々仲は良くも悪くも無い兄弟です。でも、奥様同士は性格が正反対で、付き合い辛いと感じているのでしょう」

「義史氏は、親の決めた婚姻かい?」
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