長瀬萬請負 其の一 〜紅い髪の探偵〜

岡倉弘毅

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秘密 四

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 一瞬、細い物が目の端を掠めたと思うと、突然息が詰まった。

 首を絞められていると気付いた時には、遅かった。紐は容赦なく、首を絞め続ける。

「駄目よ、駄目よ、死んでしまうわ」

 男の体臭が、鼻を擽った。



 隼人と勇一郎は焦っていた。子供が一人、山科の手に渡ったことを知ったのである。勇一郎の情報に拠ると、中性的な美少年だと言う。圭を取り返せなかった場合を考えて、身代わりを必要としたのだろう。

 警察に今までの経緯を話したところで、山科は、仕事を斡旋するとの名目で連れ出しているのだから、犯罪者として捕えるのは難しいだろう。かくなる上は、被害者だった圭の証言を利用するしかない。
 
 圭に辛い思いをさせるのは可哀想だが、未来に被害者を出さない為なら、理解してくれるだろう。

 さらに、義礼の証言も得られれば良いのだが、期待はできそうに無かった。

 高林邸の近くに、見覚えのある男を見つけた。あの、意地の悪い警察官である。コソコソと周りを見渡し、勝手口から忍び込んだ。

 隼人は勇一郎を見た。

 勇一郎も隼人を見る。

 言葉を交わさずとも、互いの考えを理解できた。圭を攫いに来たに違いない。

 静かに後をつけると、警察官は裏庭に回り、一番手前の部屋の窓に手を伸ばし、開こうとしている。高林家の女中と、関係があるのか。

 違う。と、警察官の口元が動き、次の窓に移る。開かないと分かると、次の部屋に。

 怪しい行動。今ならば、犯罪者として取り押さえることができる。そう考えると、勇一郎に無言の指示をして、警察官に二人で飛び掛かった。
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