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開始 七
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「ただ、社長からは、山科さんとは口を利いてもいけないと言われました。
喧嘩をしたのかしら。大人気ないな。とは思いましたけれど、僕も山科さんのことはあまり良く思っていなかったので、自然、約束を守った形にはなりましたけれど」
勇一郎の情報の確かさは、これで確認できた。
「山科さんが、どうかしましたか?」
詳しい説明はまだできない。答えにつまり、笑って誤魔化す。
まだ、犯行現場には入れない。警察官が引っ掻き回して遺留品を探しているが、まだ何も出ていないようだ。部屋は荒らされておらず、争った形跡も無い。
「あぁ、そうだ、言い忘れていましたが、僕は近い内に社長の正式な養子になります」
戻って来たばかりの圭が、興味あり気に有朋に目を向けた。
「映子さんは?」
「突然、副社長が映子さんを嫁にやると言い出したのです。
それまでは、映子さんに婿を取るのだと、二名の候補まで決めていたのに」
「相馬さんと、映子さんと仰る令嬢との縁組のお話はなかったのですか?」
大人しく聞いていた圭が、大人びた態度で問う。
「さぁ、少なくとも僕に、そのような打診はありませんでしたね。
僕は、映子さんのような女性は苦手です。それは、社長も知ってますし」
「随分と、高林氏は相馬さんに気を遣っておいでなのですね」
無表情だからどう言う意味で問うたのかはわからないが、圭の言うことは一理あった。普通であれば、婚姻は家の為に行われる。
どのような理由かは分からないが、有朋にとって、義礼は恩人のはずだ。映子が気に入ろうがいるまいが、有朋の側に、拒絶する権利は無いように思われる。
有朋の、隼人への依頼も、考えてみればおかしい。依頼主は有朋でありながら、金を払うのは、義礼なのだから。
「社長は、両親を知らずに育った僕を、不憫に思っているのでしょう」
「それだけですか?」
「他にどんな理由が?」
残念ながら、圭に考えられるのは、ここまでだったらしい。小首を傾げて、真剣に考えている。
「相馬さんのお父様と、何かがあった。或いは、お母様が、憧れの君であった。とか」
思わず、有朋の顔を見る。
恐らく母親似。さぞかし美しい女性だろうと、簡単に想像できる。
有朋の目は、笑っていなかった。
なるほど。と、肯定的な返答をして、口元は笑んでいたが、圭を見る目には、怒りを感じさせた。
喧嘩をしたのかしら。大人気ないな。とは思いましたけれど、僕も山科さんのことはあまり良く思っていなかったので、自然、約束を守った形にはなりましたけれど」
勇一郎の情報の確かさは、これで確認できた。
「山科さんが、どうかしましたか?」
詳しい説明はまだできない。答えにつまり、笑って誤魔化す。
まだ、犯行現場には入れない。警察官が引っ掻き回して遺留品を探しているが、まだ何も出ていないようだ。部屋は荒らされておらず、争った形跡も無い。
「あぁ、そうだ、言い忘れていましたが、僕は近い内に社長の正式な養子になります」
戻って来たばかりの圭が、興味あり気に有朋に目を向けた。
「映子さんは?」
「突然、副社長が映子さんを嫁にやると言い出したのです。
それまでは、映子さんに婿を取るのだと、二名の候補まで決めていたのに」
「相馬さんと、映子さんと仰る令嬢との縁組のお話はなかったのですか?」
大人しく聞いていた圭が、大人びた態度で問う。
「さぁ、少なくとも僕に、そのような打診はありませんでしたね。
僕は、映子さんのような女性は苦手です。それは、社長も知ってますし」
「随分と、高林氏は相馬さんに気を遣っておいでなのですね」
無表情だからどう言う意味で問うたのかはわからないが、圭の言うことは一理あった。普通であれば、婚姻は家の為に行われる。
どのような理由かは分からないが、有朋にとって、義礼は恩人のはずだ。映子が気に入ろうがいるまいが、有朋の側に、拒絶する権利は無いように思われる。
有朋の、隼人への依頼も、考えてみればおかしい。依頼主は有朋でありながら、金を払うのは、義礼なのだから。
「社長は、両親を知らずに育った僕を、不憫に思っているのでしょう」
「それだけですか?」
「他にどんな理由が?」
残念ながら、圭に考えられるのは、ここまでだったらしい。小首を傾げて、真剣に考えている。
「相馬さんのお父様と、何かがあった。或いは、お母様が、憧れの君であった。とか」
思わず、有朋の顔を見る。
恐らく母親似。さぞかし美しい女性だろうと、簡単に想像できる。
有朋の目は、笑っていなかった。
なるほど。と、肯定的な返答をして、口元は笑んでいたが、圭を見る目には、怒りを感じさせた。
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