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帳面 四
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「ばあやが田舎に帰る際に、纏まったお金を持たせる事ができて良かった。最後まで面倒をかけましたから』
山科の所に勤めるよう勧めたのが、その買い手だったのだと言う。幼い頃からの顔見知りで、好意的な相手だっただけに、裏切られた悔しさがありながらも、憎む事ができないのだ。と。
近い内に、ばあやに手紙を書かなければ。圭は呟き続けた。心配しているだろうから。あぁ、でもやっと、本当の秋が来たのですね。
殆ど独り言のようだった。
圭は泣かなかった。もしかしたら、母親の死から一度も、泣いていないのかもしれない。悲しみが強すぎると、逆に泣けないのだ。環境の変化が激しすぎて、今はまだ、余裕が無いのだろう。
泣かせてあげたいと思う。
圭自身は、唇を噛み締めて、涙を堪えていることにさえ気付いていない。一秒でも早く、感情のままに涙を流させてあげたいと。
しかし、その為には無理強いは禁物で、今は事件に夢中になりたいのなら、そうさせるのが最も大事なのだろうと考える。
夜、秋の使者は、小さな庭で盛大な交響曲を奏でているのだが、圭には聞こえていなかったのだろうか?
圭は、心配になるほど眠り続けた。寝言を言うわけでなく、うなされるわけでなく、ただ、眠りを貪る。その眠りは、隼人への信頼であった。出会って数日程度。しかし、隼人の傍なら安心できると、圭の無言の気持ちであった。
山科の所に勤めるよう勧めたのが、その買い手だったのだと言う。幼い頃からの顔見知りで、好意的な相手だっただけに、裏切られた悔しさがありながらも、憎む事ができないのだ。と。
近い内に、ばあやに手紙を書かなければ。圭は呟き続けた。心配しているだろうから。あぁ、でもやっと、本当の秋が来たのですね。
殆ど独り言のようだった。
圭は泣かなかった。もしかしたら、母親の死から一度も、泣いていないのかもしれない。悲しみが強すぎると、逆に泣けないのだ。環境の変化が激しすぎて、今はまだ、余裕が無いのだろう。
泣かせてあげたいと思う。
圭自身は、唇を噛み締めて、涙を堪えていることにさえ気付いていない。一秒でも早く、感情のままに涙を流させてあげたいと。
しかし、その為には無理強いは禁物で、今は事件に夢中になりたいのなら、そうさせるのが最も大事なのだろうと考える。
夜、秋の使者は、小さな庭で盛大な交響曲を奏でているのだが、圭には聞こえていなかったのだろうか?
圭は、心配になるほど眠り続けた。寝言を言うわけでなく、うなされるわけでなく、ただ、眠りを貪る。その眠りは、隼人への信頼であった。出会って数日程度。しかし、隼人の傍なら安心できると、圭の無言の気持ちであった。
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