一生分の恋 一生の愛

岡倉弘毅

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バニラ

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 俺は基本、自宅アパートで仕事をしていた。アクセサリーのデザインを描いてはデータを送り、会社から直しやら注文を書き込んだデータを受け取りを繰り返す、在宅勤務のデザイナー。

 だから。会うのは章吾の休みに合わせ、前日の夜、帰宅時間に合わせてアパートに乗り込む。美味しい手作りスイーツと、スイーツ以上に甘い体を味わいに。

 しかし、朝が早い章吾は帰るとクタクタで、汗を流してお腹がいっぱいになると、すぐに眠りの世界の住人になってしまう。

 お預けを食らった俺は、仕方なく章吾をベッドに運ぶと、電気を消そうとしたのだが、その無邪気な寝顔に惹き付けられた。

 男前では無い。美青年でも無い。正直に言えば面食いの俺の好みでは無い。なのにどうして見つめてしまうのか、自分でもわからなかった。

 カワイイな。呟いて唇をつつく。

 口付けようと近づくと、バニラの香りした。

 美味しそうな匂いをさせやがって。恨めしい気持ちで心の中で呟く。

 一週間堪りに堪った欲求を晴らすべく来たはずなのに、諦めて章吾の寝顔を見つめ続けた。

 時々キスをして、睡魔が襲ってきたら電気を消す。おやすみ。と囁いて……。


 そんな事情だから、朝からおっ始めることになるのだ。腹は減っているのに、空腹よりも欲求を満たしたくて……。

 朝に強い章吾が先に目を覚まし、断りも無しに俺の服を剥ぐ。

 目を開いた時には既に、章吾は俺にしゃぶり付いていて、最初の頃は、そっちを先に起こすのかよ。と、呆気に取られたものだった。

 今では当たり前の朝の光景で、俺も急いで目を覚まし、章吾を引き離すと押し倒し、ズボンの中に手を差し入れる。
 
 指で侵入経路を確認しながら、朱に染まっていく胸元にキスをする。

 我慢できずにねだる章吾の、上目遣いの目が好きだ。焦げ茶の瞳が潤んで、なんとも言えない色気が漂う。
 
 外からは登校中の小学生のはしゃぐ声が聞こえる。おそらく太陽が眩しいくらい照りつけているのだろう。
 
 遮光カーテンを引いた薄暗い部屋で、汗ばんだ体を絡め合いながら、俺達は二人だけのリズムを刻む。

 外に声が漏れないよな。

 心配しているのは最初だけ。すぐに快楽に飲み込まれて、悩ましい声を二人で部屋に充満させる。

 二年間、浮気もせず、喧嘩もせず上手くやってきた。

 野球の話もせず、ロックを聴きたいとも言わず……。
 
 いつも話題はスイーツとアクセサリー。出掛ける先はカフェとパティスリーとブティック。

 俺達は無理をせずに一緒に居られた。

 リズムが高まる。限界が近づいている、章吾にも俺にも。

 獲物に食らいつく肉食獣の激しさで、俺は章吾を追い詰め、壊さんばかりの勢いで体を捻り込む。

 章吾の声は泣いているようにも聞こえ、叫んでいるようにも聞こえ……愛を語っているようにも聞こえた……。
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