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第16章. 女友達
【例えばモンスター】
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当然のことながら舞との関係が深くなるにつれ
いわゆる"女友達"と言う
曖昧な関係にある女の子たちとの関わりは
いつしか自然淘汰されていった。
立場的に微妙だった美波はもちろんのこと
その他のクラスメイトやバンド関係の先輩後輩
看護学校の友人たち…
舞に対して何ら後ろめたさを感じずに
やり取りが出来る女子は今や有香と咲良だけになった。
そんな中にたった1人、厄介な存在が…
それは山大とサークル提携している梅山女子大学
通称「梅女」の軽音楽部に所属している
3年生の先輩、川崎亜美留だった。
ミルクティーベージュのロングヘアーに派手なメイク
くわえタバコで夜の街を徘徊してそうな
見た目ちょっと怖い系女子。
随分マニッシュな雰囲気で舞とは正反対の性格
ビジュアルは僕からすれば取り立てて美人ではないが
気さくで話しやすい。
だが、そこで油断してしまうと
飲み会で悩みなど聞いてもらっている間に
上手く丸め込まれて
気に入った後輩をお持ち帰りしてしまう
そんな悪癖を持ち合わせている。
山大の後輩たちからは
「モンスター川崎」と呼ばれていた。
「中村くぅ~ん、今日は逃がさないからねぇ…」
本気なのか冗談なのかわからないものの
ライブの打ち上げの度に熱烈に迫られ
いつもほうほうの体でその場から立ち去っていた。
飲み会の後、数日間はその余韻からか
しばしば川俣荘にも電話がかかってきたりする。
「彼女がいたってお相手だけでもしてあげればいいじゃないか、お前キライじゃないんだろ」
今日、僕は悟志と部屋でゲームしながら
あれこれ恋愛談義をしていた。
いつも女子と縁のない悟志は
他人事のようにそう言ったが
舞と言う彼女がいる立場上、
僕としてはたまったものではない。
「よく言うよ、何されるかわかったもんじゃないんだからな」
「いやぁ、そんな人に限っていざとなったらしおらしくなるもんだよ」
「んなわけ、ないだろ!ケダモノだって、きっと」
そんな会話をしてると廊下に電話の音が鳴り響く
「ほら、噂をすれば…例のモンスターからだ!」
悟志が笑いながら僕を見る。
「いや、オレは出ないぞ、三浦かシンちゃんが出るだろ」
「三浦はバカだからすぐにコウイチを呼びに来るぞ」
「そんなことしたらぶっ飛ばしてやるわ、この前だって、あいつは…」
その時…コンコンッ!と部屋をノックする音が
「ほら!」
「やまちゃん、鍵閉めて!」
「バーカ、そんなことするかよ」
嬉々として悟志が開けた扉の前には
進一が立っていた。
「コウちゃん、電話、川崎さんだって」
「きたー!ほら、コウイチ、先輩からのお誘いだぞ」
「勘弁してくれよシンちゃん、居ないって言ってくれないか?」
「ほんとにいいのか?」
「もちろん」
「わかった、じゃそう言っとくよ」
そそくさと進一は電話口へと戻っていった
「助かったぞ、シンちゃん」
僕は胸を撫で下ろしながらそう言った。
「ちぇっ、つまんねえな」
「何言ってんだよ、シンちゃんに感謝だ」
「ところでさ、コウイチ」
「シンって、ほんとに女っ気ないよな」
「『彼女欲しい願望』とかなさそうだな、確かに」
「絶対に…」
「童貞だな?」
「童貞だよな?」
「チェリーボーイ、ってやつかぁ!」
僕たちがバカな会話をしていた頃
ガラガラ…!
玄関のドアが開き進一は外へと出ていった。
いわゆる"女友達"と言う
曖昧な関係にある女の子たちとの関わりは
いつしか自然淘汰されていった。
立場的に微妙だった美波はもちろんのこと
その他のクラスメイトやバンド関係の先輩後輩
看護学校の友人たち…
舞に対して何ら後ろめたさを感じずに
やり取りが出来る女子は今や有香と咲良だけになった。
そんな中にたった1人、厄介な存在が…
それは山大とサークル提携している梅山女子大学
通称「梅女」の軽音楽部に所属している
3年生の先輩、川崎亜美留だった。
ミルクティーベージュのロングヘアーに派手なメイク
くわえタバコで夜の街を徘徊してそうな
見た目ちょっと怖い系女子。
随分マニッシュな雰囲気で舞とは正反対の性格
ビジュアルは僕からすれば取り立てて美人ではないが
気さくで話しやすい。
だが、そこで油断してしまうと
飲み会で悩みなど聞いてもらっている間に
上手く丸め込まれて
気に入った後輩をお持ち帰りしてしまう
そんな悪癖を持ち合わせている。
山大の後輩たちからは
「モンスター川崎」と呼ばれていた。
「中村くぅ~ん、今日は逃がさないからねぇ…」
本気なのか冗談なのかわからないものの
ライブの打ち上げの度に熱烈に迫られ
いつもほうほうの体でその場から立ち去っていた。
飲み会の後、数日間はその余韻からか
しばしば川俣荘にも電話がかかってきたりする。
「彼女がいたってお相手だけでもしてあげればいいじゃないか、お前キライじゃないんだろ」
今日、僕は悟志と部屋でゲームしながら
あれこれ恋愛談義をしていた。
いつも女子と縁のない悟志は
他人事のようにそう言ったが
舞と言う彼女がいる立場上、
僕としてはたまったものではない。
「よく言うよ、何されるかわかったもんじゃないんだからな」
「いやぁ、そんな人に限っていざとなったらしおらしくなるもんだよ」
「んなわけ、ないだろ!ケダモノだって、きっと」
そんな会話をしてると廊下に電話の音が鳴り響く
「ほら、噂をすれば…例のモンスターからだ!」
悟志が笑いながら僕を見る。
「いや、オレは出ないぞ、三浦かシンちゃんが出るだろ」
「三浦はバカだからすぐにコウイチを呼びに来るぞ」
「そんなことしたらぶっ飛ばしてやるわ、この前だって、あいつは…」
その時…コンコンッ!と部屋をノックする音が
「ほら!」
「やまちゃん、鍵閉めて!」
「バーカ、そんなことするかよ」
嬉々として悟志が開けた扉の前には
進一が立っていた。
「コウちゃん、電話、川崎さんだって」
「きたー!ほら、コウイチ、先輩からのお誘いだぞ」
「勘弁してくれよシンちゃん、居ないって言ってくれないか?」
「ほんとにいいのか?」
「もちろん」
「わかった、じゃそう言っとくよ」
そそくさと進一は電話口へと戻っていった
「助かったぞ、シンちゃん」
僕は胸を撫で下ろしながらそう言った。
「ちぇっ、つまんねえな」
「何言ってんだよ、シンちゃんに感謝だ」
「ところでさ、コウイチ」
「シンって、ほんとに女っ気ないよな」
「『彼女欲しい願望』とかなさそうだな、確かに」
「絶対に…」
「童貞だな?」
「童貞だよな?」
「チェリーボーイ、ってやつかぁ!」
僕たちがバカな会話をしていた頃
ガラガラ…!
玄関のドアが開き進一は外へと出ていった。
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