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Ⅺ 幸せに
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「ジリス様、お熱は?」
「そんなの、いいよ。アルに会えたんだ」
「良くはないのですが。俺も、ジリス様、会いたかった。あなたを抱きしめたかった」
「アル、僕も、だ。アル、ありがとう! 本当に一緒に生きる道を見つけてくれた! 大好きだ!」
アルの腕が緩んだ。アルの顔を見上げれば、涙に濡れたアルの唇が目に入る。
ジリスは顎を上げた。察したように、アルの瞳が柔らかく欲を帯びる。
期待通りにジリスの唇に触れる感覚。アルの唇が重なっている。
久しぶりのアルのキスが嬉しくて、ジリスは必死に口を開けてアルを誘い込んだ。
「あぁ、ジリス様……」
「んっ!」
互いの吐息に声が混じる。嬉しくて温かい涙が頬を伝う。熱い舌を絡ませて、互いの存在を確認し合うようなキスを交わした。
アルに夢中になっていると、黒国側から「ゴホン」と咳払いが聞こえてジリスは我に返った。
はっと振り返れば、黒の結界の向こうにカザルがあきれ顔で立っている。
隣のディンは穏やかに微笑んでいた。
「なぁ、ジリス。一応、俺と最後の別れだろ。そのまま行くなって」
「あ、兄様、ごめんなさい! ちょっと、あの周りが見えなくなってて……」
慌てて黒の結界に近づいてカザルに向き合った。周囲の騎士たちにも見られていたと思うと、急に恥ずかしくなった。
これから白国の王妃になるのに、この取り乱し方は無いだろう。
今更ながらだけれど、ジリスはアルから一歩離れて姿勢を正した。それを見たカザルが吹き出して笑うから、顔が熱くなった。
「笑わないで。だって、ずっと会いたかったアルなんだ」
拗ねたように言うとカザルは満足そうに笑った。
「分かってる。ジリス、幸せになれよ」
「兄様も。ディン様と末永くお幸せに過ごしてください。あと、兄様、ありがとう。僕は黒国に生まれて良かった! 兄様は最高の兄様だ!」
「あぁ。俺は黒国で、ジリスは白国で、生きていこう。神の掟と、国と家族のため、そして愛しい番のために。両国ともに寄り添って、幸せな国にしよう。アル新国王、ジリスを頼みます」
カザルがアルに向けて、王族の礼をした。胸に手を当ててアルに向いている。
「はい。黒国カザル王太子殿下。俺はジリス様の笑顔を護ること、幸せにすることを誓います」
アルが王族としての礼をカザルに示した。
ジリスの送りに来ていた黒国護衛騎士と、白国にいる騎士たちから喝采が生じた。
一時はここで両軍が対峙した。衝突寸前だった。それが、笑顔で拍手を送りあっている。
国のトップの判断で、向き合う彼らの様子が変わるのだ、とジリスは実感した。この騎士たちを、人々の笑顔を守らなくてはいけない。ジリスはアルの顔とカザルの顔を交互に見つめた。二人とも凜とした強さのある瞳をしている。
この二人なら、きっと大丈夫だ。アルとカザルなら双方の国を守れる。
胸に熱いものが込み上げた。
「では、兄様、行ってまいります!」
「うん! ジリス、元気で!」
大きく手を振れば、カザルも笑顔で手を振り返してくれた。
白国の獣馬車に乗り、ジリスは窓から黒国を見た。カザルはディンと寄り添ってジリスたちを見送ってくれた。小さくなるその姿に「兄様、ありがとう」と呟いた。
「そんなの、いいよ。アルに会えたんだ」
「良くはないのですが。俺も、ジリス様、会いたかった。あなたを抱きしめたかった」
「アル、僕も、だ。アル、ありがとう! 本当に一緒に生きる道を見つけてくれた! 大好きだ!」
アルの腕が緩んだ。アルの顔を見上げれば、涙に濡れたアルの唇が目に入る。
ジリスは顎を上げた。察したように、アルの瞳が柔らかく欲を帯びる。
期待通りにジリスの唇に触れる感覚。アルの唇が重なっている。
久しぶりのアルのキスが嬉しくて、ジリスは必死に口を開けてアルを誘い込んだ。
「あぁ、ジリス様……」
「んっ!」
互いの吐息に声が混じる。嬉しくて温かい涙が頬を伝う。熱い舌を絡ませて、互いの存在を確認し合うようなキスを交わした。
アルに夢中になっていると、黒国側から「ゴホン」と咳払いが聞こえてジリスは我に返った。
はっと振り返れば、黒の結界の向こうにカザルがあきれ顔で立っている。
隣のディンは穏やかに微笑んでいた。
「なぁ、ジリス。一応、俺と最後の別れだろ。そのまま行くなって」
「あ、兄様、ごめんなさい! ちょっと、あの周りが見えなくなってて……」
慌てて黒の結界に近づいてカザルに向き合った。周囲の騎士たちにも見られていたと思うと、急に恥ずかしくなった。
これから白国の王妃になるのに、この取り乱し方は無いだろう。
今更ながらだけれど、ジリスはアルから一歩離れて姿勢を正した。それを見たカザルが吹き出して笑うから、顔が熱くなった。
「笑わないで。だって、ずっと会いたかったアルなんだ」
拗ねたように言うとカザルは満足そうに笑った。
「分かってる。ジリス、幸せになれよ」
「兄様も。ディン様と末永くお幸せに過ごしてください。あと、兄様、ありがとう。僕は黒国に生まれて良かった! 兄様は最高の兄様だ!」
「あぁ。俺は黒国で、ジリスは白国で、生きていこう。神の掟と、国と家族のため、そして愛しい番のために。両国ともに寄り添って、幸せな国にしよう。アル新国王、ジリスを頼みます」
カザルがアルに向けて、王族の礼をした。胸に手を当ててアルに向いている。
「はい。黒国カザル王太子殿下。俺はジリス様の笑顔を護ること、幸せにすることを誓います」
アルが王族としての礼をカザルに示した。
ジリスの送りに来ていた黒国護衛騎士と、白国にいる騎士たちから喝采が生じた。
一時はここで両軍が対峙した。衝突寸前だった。それが、笑顔で拍手を送りあっている。
国のトップの判断で、向き合う彼らの様子が変わるのだ、とジリスは実感した。この騎士たちを、人々の笑顔を守らなくてはいけない。ジリスはアルの顔とカザルの顔を交互に見つめた。二人とも凜とした強さのある瞳をしている。
この二人なら、きっと大丈夫だ。アルとカザルなら双方の国を守れる。
胸に熱いものが込み上げた。
「では、兄様、行ってまいります!」
「うん! ジリス、元気で!」
大きく手を振れば、カザルも笑顔で手を振り返してくれた。
白国の獣馬車に乗り、ジリスは窓から黒国を見た。カザルはディンと寄り添ってジリスたちを見送ってくれた。小さくなるその姿に「兄様、ありがとう」と呟いた。
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