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番外編 ジリスが向き合うモノは
元王太子との対面⑦
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ジリスはハッと気が付いた。手紙がある。
白魔術をかけた手紙は、国を飛び越えてジリスとアルを繋いでくれた。今回も手紙で伝えることは出来ないだろうか。
やるべきことが見えてくると、気持ちが前向きになった。
手紙ならベッドの上でも書ける。
ジリスは半日をかけて、ネモスと話したことをアル宛の手紙にした。ジリスの考えも、全て記した。
手紙を白魔術で送ろうとしたが、善行をしていないから白魔術は成功しなかった。これが白魔術でアルに届いたら素敵だったのに。仕方なく、手紙を侍女に託した。
これで、ミーナに会えるかもしれない。ミーナの事も知りたい。
(もし、僕の考えが正しければ、ミーナに減刑があってもいい)
窓の外に目を向けて、冬の風が冷たいだろう、とジリスは思った。
「ジリス様、本当に、あなたと言う方は、お強い方だ。俺は、あなたがネモスに会ったと聞いただけで我を忘れて、酷いことをしたのに」
寝入っていたジリスの耳にアルの声が届く。優しい大きな手がジリスの額を撫でている。
「ジリス様、愛しています。あなたの愛を疑った俺を、許してください。俺の怒りをぶつけたことを、あなたの言葉を封じたことを、許してください。俺は、自分が、情けない」
アルの鼻をすする音が聞こえる。慰めてあげたいと思ったのに、ジリスは眠い瞼を開けることが出来なかった。
翌朝、ジリスはスッキリ目が覚めた。久しぶりに良く眠れた。
「おはよう。昨晩はアルが部屋に来た?」
あれが夢だったのか分からず、侍女にたずねた。
「おはようございます。アル国王陛下は毎日いらしていますよ」
「僕が寝た後に? 毎日?」
「はい。昨日は、お手紙を置いて行かれました」
「読みたい! どこ?」
「枕元でございます」
ジリスはすぐに枕元を確認した。そこには、アルの手紙があった。まるで黒国で手紙を受け取ったときのように心臓がドキドキ鳴る。
そっと中を開いた。
『ジリス様
お手紙を、ありがとうございます。ジリス様の考えを知り、ネモスの事を考え直しました。
結果として白国の一部の腐敗貴族を排除できたことを思い返しました。もうそこには手が付けられないと長く諦めていた箇所を、一掃できた事は、白国の未来を明るくしたでしょう。
俺の統治が軌道に乗っているのは、ネモスのおかげでもある、と理解しました。
「罪人」と罰するだけでなく、向き合う事が大切なのだと分かりました。
あなたの慈悲深さと、聡明さを、尊敬します。
そんなジリス様を、疑い、傷つけたこと、生涯の俺の罪として抱えていきます。
どうか、許してください。これからも、あなたを愛することを許してください。
アル・ダグリー』
読み終えて、手紙を胸に抱いた。アルに気持ちが通じた。良かった。
久しぶりに心がホカホカ温かかった。
それから手紙交換が始まった。手紙で思いを伝えるうちに、互いに気持ちは落ち着いた。けれど、なぜかジリスはアルに言葉が出ない。医者によると、身体的な異常ではなく、これは時間をかけて癒していくしかない、そうだ。
ゆっくり向き合おう、とアルと決めた。
一か月が経過した。ジリスの怪我は完治した。城内の散歩で体力回復をしている。外を歩くと寒さに身体がブルリと震えた。
「ジリス様、身体が冷えていませんか」
アルの声に振り返り、ジリスはニコリと微笑んだ。
(アル、昼間は珍しいね。公務は?)
心の中でアルに問いかけた。
「一休憩ですよ。少し、温かい場所で休みましょう」
ジリスの心の中を読んだようにアルが喋るから、クスクスと笑いが込み上げた。アルも微笑んでいる。
アルに肩を抱かれて歩んだ。こうしてアルと散歩するのは久しぶりだ。
中庭のテラス席では、暖炉に火が入れられていた。席が温められている。
「こちらに」
アルに促されて席に着くと、温かい黒茶と甘い温ゼリーを侍女が用意してくれた。焼き菓子類も準備してくれて、侍女たちが離れた。アルと二人きりになる。
「ジリス様、お伝えしたい事があります」
アルの言葉にジリスはコクリと頷いた。
「ミーナの事です」
会いに行けるのだろうか。それとも、こちらに呼ぶのだろうか。
罪人は王城への入城ができない。公式な許可が必要だ。もしかしたら、アルが手配してくれたのかもしれない。
期待を込めてアルの青い瞳を覗き込んだ。しかし、青い瞳が揺れた。
その意味が分からず、ジリスは首を傾げた。
「ミーナは、亡くなっていました」
アルの言葉がジリスの心を突き刺した。
白魔術をかけた手紙は、国を飛び越えてジリスとアルを繋いでくれた。今回も手紙で伝えることは出来ないだろうか。
やるべきことが見えてくると、気持ちが前向きになった。
手紙ならベッドの上でも書ける。
ジリスは半日をかけて、ネモスと話したことをアル宛の手紙にした。ジリスの考えも、全て記した。
手紙を白魔術で送ろうとしたが、善行をしていないから白魔術は成功しなかった。これが白魔術でアルに届いたら素敵だったのに。仕方なく、手紙を侍女に託した。
これで、ミーナに会えるかもしれない。ミーナの事も知りたい。
(もし、僕の考えが正しければ、ミーナに減刑があってもいい)
窓の外に目を向けて、冬の風が冷たいだろう、とジリスは思った。
「ジリス様、本当に、あなたと言う方は、お強い方だ。俺は、あなたがネモスに会ったと聞いただけで我を忘れて、酷いことをしたのに」
寝入っていたジリスの耳にアルの声が届く。優しい大きな手がジリスの額を撫でている。
「ジリス様、愛しています。あなたの愛を疑った俺を、許してください。俺の怒りをぶつけたことを、あなたの言葉を封じたことを、許してください。俺は、自分が、情けない」
アルの鼻をすする音が聞こえる。慰めてあげたいと思ったのに、ジリスは眠い瞼を開けることが出来なかった。
翌朝、ジリスはスッキリ目が覚めた。久しぶりに良く眠れた。
「おはよう。昨晩はアルが部屋に来た?」
あれが夢だったのか分からず、侍女にたずねた。
「おはようございます。アル国王陛下は毎日いらしていますよ」
「僕が寝た後に? 毎日?」
「はい。昨日は、お手紙を置いて行かれました」
「読みたい! どこ?」
「枕元でございます」
ジリスはすぐに枕元を確認した。そこには、アルの手紙があった。まるで黒国で手紙を受け取ったときのように心臓がドキドキ鳴る。
そっと中を開いた。
『ジリス様
お手紙を、ありがとうございます。ジリス様の考えを知り、ネモスの事を考え直しました。
結果として白国の一部の腐敗貴族を排除できたことを思い返しました。もうそこには手が付けられないと長く諦めていた箇所を、一掃できた事は、白国の未来を明るくしたでしょう。
俺の統治が軌道に乗っているのは、ネモスのおかげでもある、と理解しました。
「罪人」と罰するだけでなく、向き合う事が大切なのだと分かりました。
あなたの慈悲深さと、聡明さを、尊敬します。
そんなジリス様を、疑い、傷つけたこと、生涯の俺の罪として抱えていきます。
どうか、許してください。これからも、あなたを愛することを許してください。
アル・ダグリー』
読み終えて、手紙を胸に抱いた。アルに気持ちが通じた。良かった。
久しぶりに心がホカホカ温かかった。
それから手紙交換が始まった。手紙で思いを伝えるうちに、互いに気持ちは落ち着いた。けれど、なぜかジリスはアルに言葉が出ない。医者によると、身体的な異常ではなく、これは時間をかけて癒していくしかない、そうだ。
ゆっくり向き合おう、とアルと決めた。
一か月が経過した。ジリスの怪我は完治した。城内の散歩で体力回復をしている。外を歩くと寒さに身体がブルリと震えた。
「ジリス様、身体が冷えていませんか」
アルの声に振り返り、ジリスはニコリと微笑んだ。
(アル、昼間は珍しいね。公務は?)
心の中でアルに問いかけた。
「一休憩ですよ。少し、温かい場所で休みましょう」
ジリスの心の中を読んだようにアルが喋るから、クスクスと笑いが込み上げた。アルも微笑んでいる。
アルに肩を抱かれて歩んだ。こうしてアルと散歩するのは久しぶりだ。
中庭のテラス席では、暖炉に火が入れられていた。席が温められている。
「こちらに」
アルに促されて席に着くと、温かい黒茶と甘い温ゼリーを侍女が用意してくれた。焼き菓子類も準備してくれて、侍女たちが離れた。アルと二人きりになる。
「ジリス様、お伝えしたい事があります」
アルの言葉にジリスはコクリと頷いた。
「ミーナの事です」
会いに行けるのだろうか。それとも、こちらに呼ぶのだろうか。
罪人は王城への入城ができない。公式な許可が必要だ。もしかしたら、アルが手配してくれたのかもしれない。
期待を込めてアルの青い瞳を覗き込んだ。しかし、青い瞳が揺れた。
その意味が分からず、ジリスは首を傾げた。
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