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番外編 ジリスが向き合うモノは
元王太子との対面⑧
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ジリスの手が震える。想像していなかった事に呼吸が速くなる。
アルを見ていられず、ジリスは暖炉の火を見つめた。
「病死です。死因は、肺炎、とだけ記されていました。念のため収容所に問い合わせたところ、貴族であることを周囲から疎まれての、病死だったようです」
つまり、周囲からいじめられて、弱って亡くなった、ということだ。
ジリスの目からホロホロと涙が零れた。
「ネモスには、このことは知らせません。幽閉となっているため、情報は与えられません」
ジリスは声を殺して泣いた。
ミーナは、何を思っていたのだろう。
アルが静かに数枚の紙を机に並べた。それを見れば、貴族の一家の絵姿が描かれていた。
「ミーナの育った子爵家の肖像画です。もともと裕福な子爵家でしたが、今回粛清されたネモス派の伯爵家に騙されて、財を失ったようです」
そこには、優しそうな笑顔を浮かべるミーナがいた。ジリスが覚えている、赤い唇を吊り上げて笑う顔ではなく、穏やかに微笑む顔だ。幸せそうな一家の写真をそっと撫でて、ジリスは下を向いて泣いた。
ミーナの墓は作れない。終身刑の罪人となると共同墓地に収容される決まりだ。
ミーナの罪は、何だったのだろう。
彼女は、ネモスに加担した。だが、ネモスとは愛人関係では無かったかもしれない。大きな自分の目的のためにネモスと手を組み、悪女を演じたのかもしれない。
ジリスは、一体、何に苦しめられたのだろう。そんな疑問が心に残った。
ミーナの生きた道を思うと、悲しくて胸が締め付けられた。
「ジリス様、ここでいいでしょうか」
アルの声にジリスはコクリと頷いた。ジリスはアルと二人で、懐かしい思い出の小川に来ている。
ここは、アルが落ち込むと来ると言っていた場所。貴族騎士見習い宿舎裏の小川だ。
今日は、籠いっぱいの赤い薔薇の花びらを持ってきている。これは、王城の庭園からいただいた冬薔薇だ。
朝からアルと二人で摘み、全ての花を手作業で花びらにした。
午前の陽光にキラキラ光る穏やかな川に、ジリスは一掴みの花びらを撒いた。
フワリと川面に花が咲く。アルも無言で花を撒いた。
ミーナに何と言葉を届けたらいいのか分からない。
けれど、ミーナの生きた道を、無駄にしたくない。ジリスとアルには国を背負う責任がある。
ミーナのように不幸な人を増やしてはいけない。
ジリスは籠いっぱいの花びらを丁寧に撒いた。川面の煌めきに赤の花が流れていく。
どうか天国のミーナに届くように、願いを込めて。
アルと二人でしばらく景色を眺めた。
「ジリス様、行きましょう」
アルに声を掛けられてジリスはコクリと頷いた。アルが川に背を向けて、ジリスも続いた時、誰かがトンと肩を叩いた気がした。驚いて足を止めたが、ジリスの後ろには静かな景色があるだけだ。
「どうしましたか?」
アルが振り返った。
「うん。今、肩を叩かれた気がしたんだよね」
返事をして、ハッとした。言葉が、出た。アルが驚いたように口を開けた。
「ジリス様! 言葉が! 声が!」
「アル! うん、大丈夫だ。喋れる!」
空になった籠を放り出して、アルがジリスを抱き締めた。
二人で優しく流れる小川を見つめた。穏やかな日差しに煌く川面が美しい。もう赤い花びらは見えない。
「……ありがとう」
ジリスの口から一言がこぼれ出た。
「良い国に、しましょう。俺たちで」
アルの言葉に「うん」と返事をし、ジリスは踵を返した。
アルと共に、前に進むために。
<完>
アルを見ていられず、ジリスは暖炉の火を見つめた。
「病死です。死因は、肺炎、とだけ記されていました。念のため収容所に問い合わせたところ、貴族であることを周囲から疎まれての、病死だったようです」
つまり、周囲からいじめられて、弱って亡くなった、ということだ。
ジリスの目からホロホロと涙が零れた。
「ネモスには、このことは知らせません。幽閉となっているため、情報は与えられません」
ジリスは声を殺して泣いた。
ミーナは、何を思っていたのだろう。
アルが静かに数枚の紙を机に並べた。それを見れば、貴族の一家の絵姿が描かれていた。
「ミーナの育った子爵家の肖像画です。もともと裕福な子爵家でしたが、今回粛清されたネモス派の伯爵家に騙されて、財を失ったようです」
そこには、優しそうな笑顔を浮かべるミーナがいた。ジリスが覚えている、赤い唇を吊り上げて笑う顔ではなく、穏やかに微笑む顔だ。幸せそうな一家の写真をそっと撫でて、ジリスは下を向いて泣いた。
ミーナの墓は作れない。終身刑の罪人となると共同墓地に収容される決まりだ。
ミーナの罪は、何だったのだろう。
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ジリスは、一体、何に苦しめられたのだろう。そんな疑問が心に残った。
ミーナの生きた道を思うと、悲しくて胸が締め付けられた。
「ジリス様、ここでいいでしょうか」
アルの声にジリスはコクリと頷いた。ジリスはアルと二人で、懐かしい思い出の小川に来ている。
ここは、アルが落ち込むと来ると言っていた場所。貴族騎士見習い宿舎裏の小川だ。
今日は、籠いっぱいの赤い薔薇の花びらを持ってきている。これは、王城の庭園からいただいた冬薔薇だ。
朝からアルと二人で摘み、全ての花を手作業で花びらにした。
午前の陽光にキラキラ光る穏やかな川に、ジリスは一掴みの花びらを撒いた。
フワリと川面に花が咲く。アルも無言で花を撒いた。
ミーナに何と言葉を届けたらいいのか分からない。
けれど、ミーナの生きた道を、無駄にしたくない。ジリスとアルには国を背負う責任がある。
ミーナのように不幸な人を増やしてはいけない。
ジリスは籠いっぱいの花びらを丁寧に撒いた。川面の煌めきに赤の花が流れていく。
どうか天国のミーナに届くように、願いを込めて。
アルと二人でしばらく景色を眺めた。
「ジリス様、行きましょう」
アルに声を掛けられてジリスはコクリと頷いた。アルが川に背を向けて、ジリスも続いた時、誰かがトンと肩を叩いた気がした。驚いて足を止めたが、ジリスの後ろには静かな景色があるだけだ。
「どうしましたか?」
アルが振り返った。
「うん。今、肩を叩かれた気がしたんだよね」
返事をして、ハッとした。言葉が、出た。アルが驚いたように口を開けた。
「ジリス様! 言葉が! 声が!」
「アル! うん、大丈夫だ。喋れる!」
空になった籠を放り出して、アルがジリスを抱き締めた。
二人で優しく流れる小川を見つめた。穏やかな日差しに煌く川面が美しい。もう赤い花びらは見えない。
「……ありがとう」
ジリスの口から一言がこぼれ出た。
「良い国に、しましょう。俺たちで」
アルの言葉に「うん」と返事をし、ジリスは踵を返した。
アルと共に、前に進むために。
<完>
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灰鷹先生✨
素敵なご感想ありがとうございます‼投票までいただけて、感謝と感動で泣いています( ;∀;)
本当にありがとうございます♡
なるほど、ネモスがヤンデレもありですよね☆実は、ネモスに恋愛感情を持たせるか、ものすごく悩んだんです(笑)
結果、私の力では感情を管理しきれない、となりました!
考えたストーリーを詰め込もうとすると、BLの愛の部分が希釈されてしまう、という私の癖をおさえた結果
、ストーリーとして書きたい部分は番外に持ち越す、という結果になりました💦
なので、番外まで読んで本編の印象が変わる、というマジックがおきまして💦
多分、読んでくださる方の読後感がだいぶ揺れてしまう結果になってしまったかもしれません。
あ、語りが入ってしまって申し訳ありません!
灰鷹先生にキャラのことを褒めていただけて、生き生きと描かれていたと言ってもらえて幸せです♡
素敵なお話、とまで♡
ありがとうございました‼
ikuさま✨
まさに、今!「安心して読めないかも…」とご感想に返信したところ、でした!タイミングに「最高です!」と大喜びです(*^^*)
実は、番外編を読んで、頭からもう一度読むと、色々見え方が違ってくると言いますか💦
ネモスはやるなら徹底して、さすがアルファ、というレベルなのです。
ですが、酷いですよね~
ジリスはメチャ可哀そうでした( ;∀;)
書いていて自分でも、そう思いました💦
実は、ネモスの悪っぷり、モデルは、ワンピー〇のドフラミン〇です。
なるほど、と思っていただけるかな、と。
あ、こんなことまでイラナイですね💦小ネタをすみません!
最後までお付き合いくださり、本当に感謝です‼
ありがとうございました☆
ikuさま✨
ご感想ありがとうございます‼iku様は読んでくださる、と勝手に信じていまして、感想をいただけて、もう、嬉しくて( ;∀;)
ikuさまは、沢山の先生方を応援されている中で、こちらも読んでくださり本当に感謝です!
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