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Ⅱ章「幸せを運ぶコウノトリと小さな文鳥の幸せ番」
side:加藤幸一⑤
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徹の家にオウギワシが分身鳥の藤原君とタヒチヒタキが分身鳥の小坂君を招いた。
二人はマンションのゲストルームに二泊していく。小坂君は最高位の被保護者で一般社会での生活に慣れていない。人込みが苦手。今日は移動で疲れているから、ゆっくりマンションで過ごすことになった。
いつの間にかキッチンには家政婦さんがオードブルを用意してくれてあった。
徹が楽しそうに小坂君と話す姿を眺める。部屋でくつろぎながら雑談する。
「幸一君、気づいていると思うけれど、俺と涼は番鳥なんだ。俺、アメリカ国籍があって涼と同性婚している。アメリカの俺の国籍に涼を妻として籍を入れた」
「フジと小坂の番の鳴き合いは凄かったよな。怖かった。この穏やかなオウギワシが小坂の鳥に愛の衝動行為をして鳴かせたんだ。そのせいで小坂の鳥は左羽が動かせない。飛べなくなった。小坂も左腕が不自由になった」
「懐かしいね。あの時はルイが怖い怪物に思えていたよ」
あはは、と頬を染めて笑う小坂君。
その吊っている左手を見て、黒い小鳥を見た。俺は俺のコウノトリが痛めつけられたことを思い出し、震えた。
小坂君は笑っているけれど、分身鳥がこれだけの怪我をした事を受け入れるのは大変だっただろう。
「よく、許せましたね」
一言が出てしまっていた。マズイ。はっとして藤原君と小坂君の顔を見た。二人の驚いた顔。
「あ、あの、すみません。俺、自分の鳥を奪われて傷つけられた事があって……。俺は今でも許せないし、この先も、許せないと思う……」
つい、家族に俺の鳥を痛めつけられた時の事を口にした。初めて人に話した。
そっとコウノトリを膝に乗せて撫でる。
「えっと、僕もルイをすぐに許せなくて苦労したんだ。あの時は、僕の鳥以外は全て敵に思えたよ。ルイの誠意があったから許せた。ルイは全身全霊で僕を守ってくれた。徹底して尽くしてくれた。謝罪って言葉だけじゃないんだよ。ルイの全てを使って反省と愛を伝えてくれた。それがなければ、僕は今でも許していない。あの、幸一君のコウノトリを傷つけた人は、幸一君にちゃんと向き合ってくれたのかな? それがないなら、許す必要もないよ。無理に受け入れなくていいと思う。自分の鳥が傷つくことは、想像以上の辛さだよね。苦しかったね」
小坂君が悲しそうに俺を見る。
心臓がドクドクと鳴る。辛かった。そう、誰も俺に言わなかった言葉。涙がほろりと流れると、我慢できず顔を隠して泣いた。そっと俺を抱き締める腕。細く温かい、徹の腕だ。
ふと見ると、膝の上の俺の鳥の足に寄り添う文鳥と、黒い小鳥と、ソファーの背からデカいオウギワシが俺の鳥にすり寄る。顔を上げて徹を見る。それから、小坂君に藤原君。
急に小坂君に頭を撫でられる。小さな彼に撫でられて、驚いて固まってしまう。
その内に藤原君と徹にもグイグイ撫でられる。
「ちょっと、ちょっと! 何だ?」
慌てて顔を上げる。
「あはは。小坂がよく学校で泣いたんだ。本当に辛かったのが分かったから、俺たちは小坂をよく撫でた。言葉では軽すぎるから、よく頑張っているよって伝わるように撫でたんだ。懐かしいな」
「僕が撫でる側になった。成長だ」
「うん。涼は素晴らしい成長をしているよ。最高な俺の妻だ」
頬を染めて見つめ合う二人。
「おいこら! いちゃつくな!」
徹のツッコみに笑ってしまった。
そうか、最高位の保護鳥のままだから幸せってことでもないのか。金のピアスが二個輝く黒髪の小坂君を見て、心が軽くなった。俺のこと、話してみようと思った。
「俺は、最高位の保護鳥じゃなくなって家族に戻された。初めて会った家族は、縄張り意識の強いムクドリで俺を受け入れなかった。コウノトリを奪われて、飛べないように足を縛られた。分身鳥の自由が奪われると俺も歩けなかった。離されても足の痛みで縛られているのが分かった。分身鳥が殴られれば、そこが痛む。助けてって悲鳴が心に響く。家の中を這いずり回って、ムクドリを肩に乗せた家族って人たちに謝り続けた。芋虫みたいで面白いと蹴られても、追いかけ続けた。俺の鳥を守りたかった。結局、国の保護鳥局の抜き打ち調査が入るまで誰も助けてくれなかった。それから俺は孤児院で保護されたけれど、それまでの環境とまるで違う扱いに悔しさしかなかった。必死で生きた。徹と出会ったのは、そんな時だった」
「幸一……」
「徹、お前は知らないだろう。金がなくてパンを一日一個しか食べられない空腹を。布団が買えなくて、春先の寒い中でも畳の上で震えて寝る辛さを。目の前で食べ物を粗末にする学生と自分を比べて噛みしめる悔しさを。なんで俺がこんなに辛いんだって、ぶつけることも出来ない気持ちを。全てを抱えて生きる辛さを、知らないだろう」
三人が俺を黙って見つめていた。小坂君が涙を流して、口を押えている。
「……幸一、辛くても、生きていてくれてありがとう。頑張ってくれて、踏ん張ってくれて、ありがとう。俺はお前に出会えて嬉しい。お前はスゴイやつだ。俺はお前の辛さを受け止める。一緒に生きるとお前に誓う。ムクドリの家族のことは忘れていい。俺がいる。苦しさに囚われるな。お前の人生はこれからだ。今からなんだ」
徹の言葉に、また涙が溢れた。徹も泣いていた。
「幸一君、宮下君を信じて。宮下君はいい人なんだ。僕を何度も助けてくれた。僕は親友として、二人の幸せを願いたい。そして、幸一君にも宮下君を守って支えて欲しい」
藤原君がそっと小坂君を抱き締た。静かな時間が流れた。
心がフワッと軽くなっていた。この人たちは信用して大丈夫だ。温かい心がある。
テーブルでは四羽の鳥が囁き合うようにじゃれ合っていた。
「ご飯に、しようか」
徹の一声に四人で顔を見合わせて笑った。優しい顔の人たちだと思った。
土日とマンションに引きこもり四人で話をした。
人の生きてきた道を聞くことに感動を覚えた。この人たちは生きている。前を向いている。
徹の友人は良い人たちだ。
小坂君が両性であり、高校の時に強制的に両性に目覚めさせられたことも聞いた。
怒りが沸き上がった。
俺や小坂君が振り回される絶滅危惧種分身鳥保護法とは何なのか。管理局が保護をすることは、誰のためなのか?
これから勉強して司法書士の資格を取って、俺や小坂君のような人を守りたい。法律に関わる仕事をしたい。俺には、きっとできる。そして、徹を守っていきたい。徹を支える力を手にしたい。
自分の人生の目標が見つかった。意欲が湧いた。目の前の世界の色が変わった。俺のコウノトリも首をスッと伸ばす姿勢に戻った。カッコいいじゃないか。声をかけると嬉しそうに首を俺の頭に乗せる。
楽しそうで羨ましくて敵だとばかり思っていた人たちも、色々苦労してやっと笑顔になっているのかもしれない。俺だけが辛いんじゃない。
徹の友人二人に会って、気持ちが楽になった。周りを見る目も変わった。そして、小坂君が言っていた「徹を守る」ということを考えるようになった。俺は大型種だし、本来俺が徹を守る立場だ。
俺は徹を守って助ける。徹の背筋がいつもきれいに真っすぐ伸びているように、俺が支える。この思いにも気づけた。徹の友人は、素晴らしい人たちだった。
穏やかな日々が過ぎた。俺は勉強を必死に頑張り、徹のために家事をする。俺ができる事。徹の笑顔を守ること。ささやかかもしれない。でも何もしないより、いい。
いつの間にか進級していた。俺は大学二年になった。徹は三年。
俺たちは大学内では有名な番鳥の二人になっていた。
俺は徹好みの出汁と醤油が濃い目のカレーうどんを作るのが得意になっていた。
恋人として一緒に暮らしているけれど、性行為はしていない。そっと抱きしめてキスするまで。大切な徹との大切な日々をゆっくり二人で歩む幸せ。
徹が「性交は、ちょっと覚悟ができない」と言うから、俺はいつまでも待つと伝えている。徹と居られるなら、それだけでいい。一生このままでもいいと伝えていた。可愛く「ばか」と照れる徹が大好きだ。
夏休みを目前にしたある日。徹が帰宅しなかった。
探しに行くのが遅れた。
徹にも予定があるだろうと呑気に構えていた。ラインも電話も返事がなく、十九時過ぎに徹父の会社秘書に連絡した。
GPSで居場所特定して駆け付けた時には、徹は目も当てられない状態だった。
信じられない状況に悲鳴を上げていた。徹は、傷だらけで気を失っていた。
性的暴行を受けている最中だった。
白い裸体が瀕死の魚のようでゾッとした。徹の鳥は羽を釘で打ち付けられ、壁に貼り付けられていた。
コウノトリが怒りでクチバシを激しく打ち鳴らし、周囲の分身鳥に襲いかかった。乱闘になった。湿地帯最強であり成鳥には天敵がいないと言われているコウノトリ。俺の鳥はきっと大丈夫。
「こいつらを一人も逃がすな! 任せた!」心で伝える。
俺と同行した秘書は、とにかく徹と徹の鳥の救助に走った。徹と文鳥の姿に泣けた。その場にいた者は全員警察に突き出した。四人は、徹の大学同級生だった。
そして、徹の顔から優しい微笑みが消えた。あのスッと背筋が伸びた綺麗な姿を、守れなかった。
二人はマンションのゲストルームに二泊していく。小坂君は最高位の被保護者で一般社会での生活に慣れていない。人込みが苦手。今日は移動で疲れているから、ゆっくりマンションで過ごすことになった。
いつの間にかキッチンには家政婦さんがオードブルを用意してくれてあった。
徹が楽しそうに小坂君と話す姿を眺める。部屋でくつろぎながら雑談する。
「幸一君、気づいていると思うけれど、俺と涼は番鳥なんだ。俺、アメリカ国籍があって涼と同性婚している。アメリカの俺の国籍に涼を妻として籍を入れた」
「フジと小坂の番の鳴き合いは凄かったよな。怖かった。この穏やかなオウギワシが小坂の鳥に愛の衝動行為をして鳴かせたんだ。そのせいで小坂の鳥は左羽が動かせない。飛べなくなった。小坂も左腕が不自由になった」
「懐かしいね。あの時はルイが怖い怪物に思えていたよ」
あはは、と頬を染めて笑う小坂君。
その吊っている左手を見て、黒い小鳥を見た。俺は俺のコウノトリが痛めつけられたことを思い出し、震えた。
小坂君は笑っているけれど、分身鳥がこれだけの怪我をした事を受け入れるのは大変だっただろう。
「よく、許せましたね」
一言が出てしまっていた。マズイ。はっとして藤原君と小坂君の顔を見た。二人の驚いた顔。
「あ、あの、すみません。俺、自分の鳥を奪われて傷つけられた事があって……。俺は今でも許せないし、この先も、許せないと思う……」
つい、家族に俺の鳥を痛めつけられた時の事を口にした。初めて人に話した。
そっとコウノトリを膝に乗せて撫でる。
「えっと、僕もルイをすぐに許せなくて苦労したんだ。あの時は、僕の鳥以外は全て敵に思えたよ。ルイの誠意があったから許せた。ルイは全身全霊で僕を守ってくれた。徹底して尽くしてくれた。謝罪って言葉だけじゃないんだよ。ルイの全てを使って反省と愛を伝えてくれた。それがなければ、僕は今でも許していない。あの、幸一君のコウノトリを傷つけた人は、幸一君にちゃんと向き合ってくれたのかな? それがないなら、許す必要もないよ。無理に受け入れなくていいと思う。自分の鳥が傷つくことは、想像以上の辛さだよね。苦しかったね」
小坂君が悲しそうに俺を見る。
心臓がドクドクと鳴る。辛かった。そう、誰も俺に言わなかった言葉。涙がほろりと流れると、我慢できず顔を隠して泣いた。そっと俺を抱き締める腕。細く温かい、徹の腕だ。
ふと見ると、膝の上の俺の鳥の足に寄り添う文鳥と、黒い小鳥と、ソファーの背からデカいオウギワシが俺の鳥にすり寄る。顔を上げて徹を見る。それから、小坂君に藤原君。
急に小坂君に頭を撫でられる。小さな彼に撫でられて、驚いて固まってしまう。
その内に藤原君と徹にもグイグイ撫でられる。
「ちょっと、ちょっと! 何だ?」
慌てて顔を上げる。
「あはは。小坂がよく学校で泣いたんだ。本当に辛かったのが分かったから、俺たちは小坂をよく撫でた。言葉では軽すぎるから、よく頑張っているよって伝わるように撫でたんだ。懐かしいな」
「僕が撫でる側になった。成長だ」
「うん。涼は素晴らしい成長をしているよ。最高な俺の妻だ」
頬を染めて見つめ合う二人。
「おいこら! いちゃつくな!」
徹のツッコみに笑ってしまった。
そうか、最高位の保護鳥のままだから幸せってことでもないのか。金のピアスが二個輝く黒髪の小坂君を見て、心が軽くなった。俺のこと、話してみようと思った。
「俺は、最高位の保護鳥じゃなくなって家族に戻された。初めて会った家族は、縄張り意識の強いムクドリで俺を受け入れなかった。コウノトリを奪われて、飛べないように足を縛られた。分身鳥の自由が奪われると俺も歩けなかった。離されても足の痛みで縛られているのが分かった。分身鳥が殴られれば、そこが痛む。助けてって悲鳴が心に響く。家の中を這いずり回って、ムクドリを肩に乗せた家族って人たちに謝り続けた。芋虫みたいで面白いと蹴られても、追いかけ続けた。俺の鳥を守りたかった。結局、国の保護鳥局の抜き打ち調査が入るまで誰も助けてくれなかった。それから俺は孤児院で保護されたけれど、それまでの環境とまるで違う扱いに悔しさしかなかった。必死で生きた。徹と出会ったのは、そんな時だった」
「幸一……」
「徹、お前は知らないだろう。金がなくてパンを一日一個しか食べられない空腹を。布団が買えなくて、春先の寒い中でも畳の上で震えて寝る辛さを。目の前で食べ物を粗末にする学生と自分を比べて噛みしめる悔しさを。なんで俺がこんなに辛いんだって、ぶつけることも出来ない気持ちを。全てを抱えて生きる辛さを、知らないだろう」
三人が俺を黙って見つめていた。小坂君が涙を流して、口を押えている。
「……幸一、辛くても、生きていてくれてありがとう。頑張ってくれて、踏ん張ってくれて、ありがとう。俺はお前に出会えて嬉しい。お前はスゴイやつだ。俺はお前の辛さを受け止める。一緒に生きるとお前に誓う。ムクドリの家族のことは忘れていい。俺がいる。苦しさに囚われるな。お前の人生はこれからだ。今からなんだ」
徹の言葉に、また涙が溢れた。徹も泣いていた。
「幸一君、宮下君を信じて。宮下君はいい人なんだ。僕を何度も助けてくれた。僕は親友として、二人の幸せを願いたい。そして、幸一君にも宮下君を守って支えて欲しい」
藤原君がそっと小坂君を抱き締た。静かな時間が流れた。
心がフワッと軽くなっていた。この人たちは信用して大丈夫だ。温かい心がある。
テーブルでは四羽の鳥が囁き合うようにじゃれ合っていた。
「ご飯に、しようか」
徹の一声に四人で顔を見合わせて笑った。優しい顔の人たちだと思った。
土日とマンションに引きこもり四人で話をした。
人の生きてきた道を聞くことに感動を覚えた。この人たちは生きている。前を向いている。
徹の友人は良い人たちだ。
小坂君が両性であり、高校の時に強制的に両性に目覚めさせられたことも聞いた。
怒りが沸き上がった。
俺や小坂君が振り回される絶滅危惧種分身鳥保護法とは何なのか。管理局が保護をすることは、誰のためなのか?
これから勉強して司法書士の資格を取って、俺や小坂君のような人を守りたい。法律に関わる仕事をしたい。俺には、きっとできる。そして、徹を守っていきたい。徹を支える力を手にしたい。
自分の人生の目標が見つかった。意欲が湧いた。目の前の世界の色が変わった。俺のコウノトリも首をスッと伸ばす姿勢に戻った。カッコいいじゃないか。声をかけると嬉しそうに首を俺の頭に乗せる。
楽しそうで羨ましくて敵だとばかり思っていた人たちも、色々苦労してやっと笑顔になっているのかもしれない。俺だけが辛いんじゃない。
徹の友人二人に会って、気持ちが楽になった。周りを見る目も変わった。そして、小坂君が言っていた「徹を守る」ということを考えるようになった。俺は大型種だし、本来俺が徹を守る立場だ。
俺は徹を守って助ける。徹の背筋がいつもきれいに真っすぐ伸びているように、俺が支える。この思いにも気づけた。徹の友人は、素晴らしい人たちだった。
穏やかな日々が過ぎた。俺は勉強を必死に頑張り、徹のために家事をする。俺ができる事。徹の笑顔を守ること。ささやかかもしれない。でも何もしないより、いい。
いつの間にか進級していた。俺は大学二年になった。徹は三年。
俺たちは大学内では有名な番鳥の二人になっていた。
俺は徹好みの出汁と醤油が濃い目のカレーうどんを作るのが得意になっていた。
恋人として一緒に暮らしているけれど、性行為はしていない。そっと抱きしめてキスするまで。大切な徹との大切な日々をゆっくり二人で歩む幸せ。
徹が「性交は、ちょっと覚悟ができない」と言うから、俺はいつまでも待つと伝えている。徹と居られるなら、それだけでいい。一生このままでもいいと伝えていた。可愛く「ばか」と照れる徹が大好きだ。
夏休みを目前にしたある日。徹が帰宅しなかった。
探しに行くのが遅れた。
徹にも予定があるだろうと呑気に構えていた。ラインも電話も返事がなく、十九時過ぎに徹父の会社秘書に連絡した。
GPSで居場所特定して駆け付けた時には、徹は目も当てられない状態だった。
信じられない状況に悲鳴を上げていた。徹は、傷だらけで気を失っていた。
性的暴行を受けている最中だった。
白い裸体が瀕死の魚のようでゾッとした。徹の鳥は羽を釘で打ち付けられ、壁に貼り付けられていた。
コウノトリが怒りでクチバシを激しく打ち鳴らし、周囲の分身鳥に襲いかかった。乱闘になった。湿地帯最強であり成鳥には天敵がいないと言われているコウノトリ。俺の鳥はきっと大丈夫。
「こいつらを一人も逃がすな! 任せた!」心で伝える。
俺と同行した秘書は、とにかく徹と徹の鳥の救助に走った。徹と文鳥の姿に泣けた。その場にいた者は全員警察に突き出した。四人は、徹の大学同級生だった。
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