顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!

小池 月

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Ⅶ それぞれの道

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ルカはスマホを握りしめた。
(俺、そんなに持ち上げられるような存在じゃないよ。蓮、アルファのプライドはいいのかよ?)
心の中を言いたい言葉が占めていく。

 画面の中では質疑応答になっている。記者が我先に、と挙手している。

『週刊ディデーの渥美です。現在のお二人の関係について質問します。今現在は蓮さんとLUCaさんは番恋人、ということでしょうか?』
ルカの心臓がドキリとする。自分たちの関係をどう説明するのだろう? 

『私とLUCaは番です。それ以上でもそれ以下でもない、というのが現状です』
蓮の答えに納得していない様子の質問した記者。

『えーっと、分かりにくいので踏み込んでいいでしょうか? それは、発情期は一緒に過ごしている、と解釈していいでしょうか?』
あまりに明け透けな質問で聞いているルカの顔が赤くなってしまう。

『LUCaに求められれば、いつでも私が一緒に居ます』

おおっと会場内にどよめきが起きる。恥ずかしいけれど、番のアルファがそう言ってくれるだけでルカの心がホワリと温かくなる。自分は捨てられていない、そう思える。公の場で宣言したから今後発情期を蓮とすごそうがスクープにならないだろう。記者が追い打ちをかけるように質問をする。

『では、LUCaさんとは身体だけの関係という事でしょうか?』

聞いているルカがドキリとする。発情期だけの関係の番など珍しい。大昔は正妻の他に愛人としてのオメガを番として囲う風習が富裕層にあった。でも、そんなの現在では受け入れられないことだ。バース人権問題として批難されてしまう。

蓮、この質問にうまく切り抜けないと俳優人生断たれてしまうよ。ルカの心臓がドキドキして手が震える。

『いえ。私の想いはLUCaにだけ向いています。ただ、若い私の過ちで先に番になってしまいました。通常と順番が違っているだけです。LUCaを身体だけの存在になど考えたこともありません。私にはLUCaだけです。私たちには歩み寄る時間が必要なのです』

記者を真っすぐに見つめて応える蓮。その真っすぐな瞳がスマホ越しにルカを射貫いている様で顔が熱くなる。心臓がドキドキしだす。まるで公の場で愛の告白を受けている様でルカが恥ずかしくなる。蓮、ポーカーフェイスすぎ。ルカはギュッとスマホを両手で包み込む。

 時には意地悪のような質問が飛んだが上手く対応した蓮。中継が終了するまで見守った。ルカにとっては照れくさいような嬉しいような会見。俳優を続けていくと宣言してくれた喜び。これを見て蓮を悪く思う人はいないだろう。

(さすが俺のアルファ)

変な満足感でスマホを胸に抱き込む。

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