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Ⅷ 寄り添って
⑤
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ルカのモデル復帰会見。暴行事件から三か月が経過していた。
三か月の休養なら復帰会見は必要ないとルカは思ったが、蓮とモデル事務所は『絶対したほうがいい』と強気だった。
久しぶりに綺麗に身なりを整えてスーツ。蓮が用意した高級スーツだ。
「ほら、ルカ」
「ん。自分でやるよ」
「いや、俺がしたい」
ルカのネクタイをご機嫌で結ぶ蓮。今回会見をするホテルは以前蓮が会見した場所と同じ。あれから二年。早いなぁと思う。
会場に入ると一斉にフラッシュ。カメラと記者の多さに急に心臓がバクバク鳴り出す。
「ルカ、大丈夫だ。俺が居る」
席に着く時に小さな声で囁く蓮。軽くコクリと頷き返す。ルカのモデル事務所社長が会見の挨拶と事件の経緯を説明する。今回ルカは応えられる質問に答えればいいと言われている。他は全て事務所が説明してくれる。
川口さんは会社の人だし、会社として対応してくれるのならルカはそれで良かった。説明内容は事前に教えてもらっていたから平常心で聞いていられた。
「それでは質問ある方はどうぞ」
司会進行者が質問を募る。ルカの体調や怪我の具合を聞かれ、その都度事実を答えた。このくらいならルカでも応えられる。安心していた、が。
「LUCaさん、静養期間は蓮さんと共にいたのですよね? 今日も同席しておりますし、お二人は正式に番恋人になったのでしょうか?」
蓮との関係を探る質問に心臓がドキリとする。恋人? どうかな? 何となく隣に座る蓮を見た。蓮の目元が和らぐ。蓮がマイクを持つ。
「その質問には私が応えます」
どう伝えるのか緊張したのに蓮はマイクを置いて席を立つ。その行動の意味が分からない。
「ちょっと、蓮」
小さな声をかけるが席を立った蓮はルカに微笑みを返すだけ。
ゆっくりと歩いてルカの前に蓮が立つ。ルカに向き合うから記者に背面を向けている。カメラに背を向けるなど俳優としてありえないだろう。慌ててルカが立とうとするが。
目の前の蓮がその場に膝をつく。ルカの前に片膝をついてルカを見上げる蓮。フラッシュが凄くて現実と思えない光景。心臓がドキドキしてルカの手が震える。
「ルカ。愛している。約束の主演映画での俳優賞をとった。国際映画祭の特別賞だ。やっとルカに胸を張って言える。人生を共に歩むパートナーになって欲しい。番としてルカを支えていきたい」
会場がワッと盛り上がる。蓮がポケットから四角い箱を取り出してルカの前で開ける。銀に輝くシンプルな指輪。蓮らしい。きっとモデルの仕事を考慮してどんな雰囲気にも合うデザインにしたのだろう。自然とルカの顔が微笑む。
「蓮、アルファが膝をついて、いいのかよ」
「俺はルカになら何度でも跪く。ルカは俺の女神だ。ルカ、俺のプロポーズに返事はもらえる?」
ドラマのような蓮のセリフに軽く笑う。
「うん。喜んで。俺の番は蓮だけだ」
再度会場がワッとなる。
フラッシュの中、蓮が指輪をルカの指につける。そのまま手の甲にキス。心臓がバクバク鳴る。身体の高ぶりが引かない。ルカの身体に熱がこもる。熱?
緊張のせいかと思っていたけれど、これ、発情期、か? そう言えばここ三か月は心身のストレスが大きく発情期が来ていなかった! だからって今かよ! この場で発情するのは嫌だ! ルカの額に変な汗が流れる。ルカを見る蓮が察した表情をする。
「我々はこれで失礼する。ルカの体調がすぐれない。あとは事務所対応としていただきたい」
ルカを抱き上げて蓮が足早に立ち去る。退出するまでカメラのシャッター音が響いていた。そのままホテルのセミスイートルームに駆けこむ。
三か月の休養なら復帰会見は必要ないとルカは思ったが、蓮とモデル事務所は『絶対したほうがいい』と強気だった。
久しぶりに綺麗に身なりを整えてスーツ。蓮が用意した高級スーツだ。
「ほら、ルカ」
「ん。自分でやるよ」
「いや、俺がしたい」
ルカのネクタイをご機嫌で結ぶ蓮。今回会見をするホテルは以前蓮が会見した場所と同じ。あれから二年。早いなぁと思う。
会場に入ると一斉にフラッシュ。カメラと記者の多さに急に心臓がバクバク鳴り出す。
「ルカ、大丈夫だ。俺が居る」
席に着く時に小さな声で囁く蓮。軽くコクリと頷き返す。ルカのモデル事務所社長が会見の挨拶と事件の経緯を説明する。今回ルカは応えられる質問に答えればいいと言われている。他は全て事務所が説明してくれる。
川口さんは会社の人だし、会社として対応してくれるのならルカはそれで良かった。説明内容は事前に教えてもらっていたから平常心で聞いていられた。
「それでは質問ある方はどうぞ」
司会進行者が質問を募る。ルカの体調や怪我の具合を聞かれ、その都度事実を答えた。このくらいならルカでも応えられる。安心していた、が。
「LUCaさん、静養期間は蓮さんと共にいたのですよね? 今日も同席しておりますし、お二人は正式に番恋人になったのでしょうか?」
蓮との関係を探る質問に心臓がドキリとする。恋人? どうかな? 何となく隣に座る蓮を見た。蓮の目元が和らぐ。蓮がマイクを持つ。
「その質問には私が応えます」
どう伝えるのか緊張したのに蓮はマイクを置いて席を立つ。その行動の意味が分からない。
「ちょっと、蓮」
小さな声をかけるが席を立った蓮はルカに微笑みを返すだけ。
ゆっくりと歩いてルカの前に蓮が立つ。ルカに向き合うから記者に背面を向けている。カメラに背を向けるなど俳優としてありえないだろう。慌ててルカが立とうとするが。
目の前の蓮がその場に膝をつく。ルカの前に片膝をついてルカを見上げる蓮。フラッシュが凄くて現実と思えない光景。心臓がドキドキしてルカの手が震える。
「ルカ。愛している。約束の主演映画での俳優賞をとった。国際映画祭の特別賞だ。やっとルカに胸を張って言える。人生を共に歩むパートナーになって欲しい。番としてルカを支えていきたい」
会場がワッと盛り上がる。蓮がポケットから四角い箱を取り出してルカの前で開ける。銀に輝くシンプルな指輪。蓮らしい。きっとモデルの仕事を考慮してどんな雰囲気にも合うデザインにしたのだろう。自然とルカの顔が微笑む。
「蓮、アルファが膝をついて、いいのかよ」
「俺はルカになら何度でも跪く。ルカは俺の女神だ。ルカ、俺のプロポーズに返事はもらえる?」
ドラマのような蓮のセリフに軽く笑う。
「うん。喜んで。俺の番は蓮だけだ」
再度会場がワッとなる。
フラッシュの中、蓮が指輪をルカの指につける。そのまま手の甲にキス。心臓がバクバク鳴る。身体の高ぶりが引かない。ルカの身体に熱がこもる。熱?
緊張のせいかと思っていたけれど、これ、発情期、か? そう言えばここ三か月は心身のストレスが大きく発情期が来ていなかった! だからって今かよ! この場で発情するのは嫌だ! ルカの額に変な汗が流れる。ルカを見る蓮が察した表情をする。
「我々はこれで失礼する。ルカの体調がすぐれない。あとは事務所対応としていただきたい」
ルカを抱き上げて蓮が足早に立ち去る。退出するまでカメラのシャッター音が響いていた。そのままホテルのセミスイートルームに駆けこむ。
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