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Ⅲ ダイエットには運動も!
⑧
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切るところを見守るのも変だと思い、仕上がりに期待して凛太朗は待合席に座った。まるで自分の事のようにドキドキしてしまった。チョキチョキと軽快な音が凛太朗の心をソワソワさせる。
「凛ちゃん、カット台に来て」
奥さんの声に凛太朗はビクっとした。待合席からはカット台が見えない。恐る恐るカット台に行くと、酒井は前かがみにシャンプー台で髪を流されていた。どんな髪型かはよく分からない。
「ほら、こっち洗う間に凛太朗も切るから。いつもと同じで良い?」
酒井ばかりに見とれているとご主人に声を掛けられた。慌ててカット台の鏡を見つめた。鏡越しにご主人と目が合う。
「はい。お願いします」
「おし! まかせとけ」
軽快な返事に笑みをこぼして自分のカットに集中した。横の席で髪を洗われている酒井の様子が気になるが、あまり見てしまうと変に思われる。
(我慢、我慢)
そう自分に言い聞かせた。
ご主人の鋏がジャキジャキと軽快に鳴る。凛太朗は少し伸びた部分を切るだけだ。
「はい、凛太朗も終わり。洗うからな」
息つく間もなく前の鏡が自動で開いてシャンプー台が出てくる。そのまま前かがみで髪を洗ってもらった。
凛太朗が奥さんにシャンプーされる間に、酒井はご主人にセットまでされていた。「良いじゃないか!」「かっこいいぞ」と声が聞こえて、(見たい!)と心で叫んだ。だが、凛太朗がシャンプーを終わる時には、酒井は待合席に行ってしまい、仕上がりが見られなかった。
「はい、凛太朗はいつも通りだ。さわやか優等生の出来上がりだな」
ご主人の終わりの声とともに凛太朗は席を立った。慌てて待合席を覗いて、息を飲んだ。椅子から凛太朗を見上げる様にしている酒井と、目が合った。
――別人だ。
ゾクリとする震えが凛太朗に走った。
そこに居た酒井は、凛々しい眉がスッキリ出て、耳上だけ刈り上げたベリーショートが良く似合うイケメン男子だった。思わず息を飲むイケメンぶりだった。雑誌の表紙が酒井でも違和感がないくらいだ。
「どうだ、凛太朗。これは芸能人だろ!」
ご主人の言葉に凛太朗がただコクコクと頷いた。今の気持ちを、とても言葉にできなかった。照れたように目線を泳がせる酒井を見ると、凛太朗は少し落ち着きを取り戻せた。深呼吸をしてから酒井の隣に座った。
「酒井、すっげぇカッコイイ」
一言を伝えるのに緊張した。心臓がドクドクと鳴り、顔が熱い。
「そっか。えっと、ありがとう。凛太朗も、その、サッパリしてイイ感じ、だ」
酒井の声も照れたように揺れている。
「おいおい、付き合いたての恋人か! 面白いなぁ」
豪快に笑うご主人に「友だちです」と言い返して店を後にした。
並んで歩くといつもの酒井のはずなのに、まるで知らない人といるように感じてドキドキした。
「凛太郎、体調は?」
ふと聞かれて身体がビクッとした。
「あ、いいと、思う」
酒井を見上げれば優しい瞳と目線がかち合う。酒井がまっすぐ射貫くように見てくる。
いつも前髪の下は、こんな強烈な視線が隠れていたのかと思うとドキッとしてしまう。汗が出そうだ。これまで見上げても頬しか目に入らなかったのに、目が見えることの緊張感がすごい。慣れるまで時間がかかりそうだと思った。
「そっか。もうすぐ昼だけど、昼買って帰ろっか」
「いや、大丈夫だって。それよか、駅行こうぜ。イケメン酒井を連れまわしたい」
「つ、連れまわす……。それ、ヤバ」
「きっと注目されるぞ」
赤くなって照れる姿が可愛らしくて(見た目が変わっても酒井だなぁ)と嬉しくなった。
「凛ちゃん、カット台に来て」
奥さんの声に凛太朗はビクっとした。待合席からはカット台が見えない。恐る恐るカット台に行くと、酒井は前かがみにシャンプー台で髪を流されていた。どんな髪型かはよく分からない。
「ほら、こっち洗う間に凛太朗も切るから。いつもと同じで良い?」
酒井ばかりに見とれているとご主人に声を掛けられた。慌ててカット台の鏡を見つめた。鏡越しにご主人と目が合う。
「はい。お願いします」
「おし! まかせとけ」
軽快な返事に笑みをこぼして自分のカットに集中した。横の席で髪を洗われている酒井の様子が気になるが、あまり見てしまうと変に思われる。
(我慢、我慢)
そう自分に言い聞かせた。
ご主人の鋏がジャキジャキと軽快に鳴る。凛太朗は少し伸びた部分を切るだけだ。
「はい、凛太朗も終わり。洗うからな」
息つく間もなく前の鏡が自動で開いてシャンプー台が出てくる。そのまま前かがみで髪を洗ってもらった。
凛太朗が奥さんにシャンプーされる間に、酒井はご主人にセットまでされていた。「良いじゃないか!」「かっこいいぞ」と声が聞こえて、(見たい!)と心で叫んだ。だが、凛太朗がシャンプーを終わる時には、酒井は待合席に行ってしまい、仕上がりが見られなかった。
「はい、凛太朗はいつも通りだ。さわやか優等生の出来上がりだな」
ご主人の終わりの声とともに凛太朗は席を立った。慌てて待合席を覗いて、息を飲んだ。椅子から凛太朗を見上げる様にしている酒井と、目が合った。
――別人だ。
ゾクリとする震えが凛太朗に走った。
そこに居た酒井は、凛々しい眉がスッキリ出て、耳上だけ刈り上げたベリーショートが良く似合うイケメン男子だった。思わず息を飲むイケメンぶりだった。雑誌の表紙が酒井でも違和感がないくらいだ。
「どうだ、凛太朗。これは芸能人だろ!」
ご主人の言葉に凛太朗がただコクコクと頷いた。今の気持ちを、とても言葉にできなかった。照れたように目線を泳がせる酒井を見ると、凛太朗は少し落ち着きを取り戻せた。深呼吸をしてから酒井の隣に座った。
「酒井、すっげぇカッコイイ」
一言を伝えるのに緊張した。心臓がドクドクと鳴り、顔が熱い。
「そっか。えっと、ありがとう。凛太朗も、その、サッパリしてイイ感じ、だ」
酒井の声も照れたように揺れている。
「おいおい、付き合いたての恋人か! 面白いなぁ」
豪快に笑うご主人に「友だちです」と言い返して店を後にした。
並んで歩くといつもの酒井のはずなのに、まるで知らない人といるように感じてドキドキした。
「凛太郎、体調は?」
ふと聞かれて身体がビクッとした。
「あ、いいと、思う」
酒井を見上げれば優しい瞳と目線がかち合う。酒井がまっすぐ射貫くように見てくる。
いつも前髪の下は、こんな強烈な視線が隠れていたのかと思うとドキッとしてしまう。汗が出そうだ。これまで見上げても頬しか目に入らなかったのに、目が見えることの緊張感がすごい。慣れるまで時間がかかりそうだと思った。
「そっか。もうすぐ昼だけど、昼買って帰ろっか」
「いや、大丈夫だって。それよか、駅行こうぜ。イケメン酒井を連れまわしたい」
「つ、連れまわす……。それ、ヤバ」
「きっと注目されるぞ」
赤くなって照れる姿が可愛らしくて(見た目が変わっても酒井だなぁ)と嬉しくなった。
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