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桃太郎
10 勝利から得たものは
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「まさか本当に校則改正がなくなるなんてねぇ……」
『校則改正取り消しのお知らせ』と書かれた紙を見上げながら、綾子は呟いた。その紙には、鬼村の謝罪文も書かれていた。
桃から彼らの武勇伝は聞いたが、本当にすごい人たちだと思う。まぁ、何だかんだで一番すごいのは、そんな彼らを集めてしまった桃なのかもしれない──そんなことを考えて、小さく笑った。
* * *
「そういえば……」
桃はお弁当を頬張りながら、話しだした。鬼退治以来──桃は週に2回彼らと昼食を食べるようになった。彼らと過ごす時間は、凄く心地がいい。
「本当にびっくりしたよ。純平くん、退部とか転校とか言いだすんだもん。あれって本気じゃなかったんだよね?」
「……もちろんです。顧問なら釣られてくれると思ったんで……」
純平は相変わらず眠そうな顔で、もぐもぐとお弁当を食べている。
そういえば、告白の返事をまだしていない。でも、もうしばらくは“誰か一人”とではなく、この面々でいたい。まだ保留にしておこう、と咀嚼していたものをごくんと飲み込んだ。
「でもさぁ」
「ん?」
「あの時、みんなが裏でいろいろやってたおかげでうまくいったんだし、あたし何もできてないよね……」
「なんだ、そんなこと気にしてたの?」
一真がクスクスと笑う。わりと落ち込んでいたのだから、笑われるのは心外だ。
「桃は何もしてなくなんかないよ。ねぇ、祐樹?」
「お、俺に振るのかよ!」
「祐樹、本当に?」
桃がじっと見つめると、祐樹は少し頬を赤らめながら顔を背けた。
「お前が馬鹿みたいに行動を起こしたおかげで、校則が元に戻ったんだろ。お前がいなかったら、どうにもならなかったよ」
「……馬鹿みたいに、は余計!」
頬を膨らませながら桃が言うと、祐樹は眉をしかめながら、誉めただろ、と小さく呟いた。
「鬼退治、桃がいたからうまくいったんだよ。本当に」
一真が優しく微笑んで、桃も一緒に笑った。
「鬼退治、やってよかったな」
「……どうして?」
「だって、そのおかげでみんなと知り合えたし! みんな大好きっ」
その言葉に、それぞれが思うところがあるとも知らず、桃はえへへと笑った。
* * *
かの有名な桃太郎が鬼退治で手にしたのは、金銀財宝だったという。
この、無鉄砲少女が手にしたのは“自由”。そして──かけがえのない、愛しい“仲間”だった。
了
『校則改正取り消しのお知らせ』と書かれた紙を見上げながら、綾子は呟いた。その紙には、鬼村の謝罪文も書かれていた。
桃から彼らの武勇伝は聞いたが、本当にすごい人たちだと思う。まぁ、何だかんだで一番すごいのは、そんな彼らを集めてしまった桃なのかもしれない──そんなことを考えて、小さく笑った。
* * *
「そういえば……」
桃はお弁当を頬張りながら、話しだした。鬼退治以来──桃は週に2回彼らと昼食を食べるようになった。彼らと過ごす時間は、凄く心地がいい。
「本当にびっくりしたよ。純平くん、退部とか転校とか言いだすんだもん。あれって本気じゃなかったんだよね?」
「……もちろんです。顧問なら釣られてくれると思ったんで……」
純平は相変わらず眠そうな顔で、もぐもぐとお弁当を食べている。
そういえば、告白の返事をまだしていない。でも、もうしばらくは“誰か一人”とではなく、この面々でいたい。まだ保留にしておこう、と咀嚼していたものをごくんと飲み込んだ。
「でもさぁ」
「ん?」
「あの時、みんなが裏でいろいろやってたおかげでうまくいったんだし、あたし何もできてないよね……」
「なんだ、そんなこと気にしてたの?」
一真がクスクスと笑う。わりと落ち込んでいたのだから、笑われるのは心外だ。
「桃は何もしてなくなんかないよ。ねぇ、祐樹?」
「お、俺に振るのかよ!」
「祐樹、本当に?」
桃がじっと見つめると、祐樹は少し頬を赤らめながら顔を背けた。
「お前が馬鹿みたいに行動を起こしたおかげで、校則が元に戻ったんだろ。お前がいなかったら、どうにもならなかったよ」
「……馬鹿みたいに、は余計!」
頬を膨らませながら桃が言うと、祐樹は眉をしかめながら、誉めただろ、と小さく呟いた。
「鬼退治、桃がいたからうまくいったんだよ。本当に」
一真が優しく微笑んで、桃も一緒に笑った。
「鬼退治、やってよかったな」
「……どうして?」
「だって、そのおかげでみんなと知り合えたし! みんな大好きっ」
その言葉に、それぞれが思うところがあるとも知らず、桃はえへへと笑った。
* * *
かの有名な桃太郎が鬼退治で手にしたのは、金銀財宝だったという。
この、無鉄砲少女が手にしたのは“自由”。そして──かけがえのない、愛しい“仲間”だった。
了
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