おとぎ日和

天乃 彗

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桃太郎 番外編

下校途中

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「あ、猫!」

 桃の叫びに、のんびりと日向ぼっこしていた猫はピクリと体を動かした。

「かわいーっ! 触りたい!」

 桃が駆け寄ると、猫は驚いてしまって、急いで車の下に逃げ込んでしまった。

「あーん、猫ちゃん……」
「騒ぐからだろ、アホ!」
「そういう祐樹もうるさいけどね」

 車の下を覗き込むも、猫は怯えて出て来る様子がない。やれやれ、と言わんばかりに一真が覗き込む。猫は何故か威嚇をし、さらに奥へと逃げ込んでしまった。

「え、なんで」
「邪悪なオーラを感じ取ったのか」
「あはっ、うらちゃんみたい。うらちゃー、うらちゃーん、怖くないよー。おいで~っ」

 桃にうらちゃんと名付けられた猫は、彼らが去るのをひたすら待っているようで、訝しげにこちらを見つめている。

「えー。触りたいのにぃ!」
「……」

 すると、さっきまで後ろで見ていた純平が、車の下を覗き込んだ。そっと手を差し出して、「チッチッチッ」と口を鳴らすと、猫はおずおずと顔を出した。その隙に、猫をそっと抱きかかえる。猫は逃げない。

「!?」
「お前、何したんだ!?」
「……何っていうか」

 純平は、ポケットから何やら小袋を取り出す。しゃらしゃらと音のなるそれは、給食でもお馴染みだった──

「アーモンドカル?」
「……非常食です」

 純平は煮干しだけを袋から取り出して、猫にあげた。猫は嬉しそうに、それを食べている。

「やーん! 純平くん神! うらちゃーん! かわいーっ!」

 猫は桃が撫でるのを煩わしそうにしていたが、純平の手から逃れようとはしなかった。

「それはずりぃわ……」
「お? 純平に手柄とられて残念?」
「なっ……ちげぇよ!」

 まぁ、猫って静かな人に懐くって言うしね、と一真が笑った。うるせ、と祐樹が呟いて、二人で猫を見る。その猫は、黒と白のまだら模様で──ちょうど髪の毛を七三分けにしたような模様だった。それを見て一真は、誰かさんにそっくり、と吹き出したのだった。
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