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Let the double date!
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「……そういえば、さっき友里ちゃんに何言われてたの?」
「!」
何と無く思い出して尋ねてみると、未来は思い切り肩を震わせて身体を硬直させた。
「……何?」
「……晃太、あの」
「うん?」
「デートでは常識だって、友里ちゃんが。観覧車の頂上で……キ、キス、するの。しないと、別れちゃうジンクスがあるって……。それ、本当?」
真っ赤な顔のわけを理解するとともに、動揺する未来が可愛くてたまらなくなった。友里ちゃん……。未来が無知だからってそんなこと教えるなんて──ありがとう恩に着る! 神様女神様! いやでも、本気で恥ずかしそうな未来に無理やりそんなことするのは如何なものか。別れちゃうジンクスは多分ないだろうし、誤解は解いておくべきなんだろうか。……というか、嘘ついてもいずれバレちゃうだろうしな。俺は正直に話すことにする。
「常識っていうか、そうするカップルが多いってだけで。えと、たぶん別れちゃうジンクスってのはでまかせだと思う、けど」
「……そう、なの? よかっ──」
「でも、今俺は、未来とキスしたいよ」
「……っ!」
そっと未来の手を逃れて、今度は俺が未来の手を包む。未来は後ずさろうとしたけれど、狭いゴンドラの中でそれは叶わなかった。
「……ダメ?」
茹でダコのようになった顔で、キョロキョロと目を泳がせる未来。たぶんこの顔は、俺だけに見せる、俺しか知らない特別な顔。それがちょっと嬉しい。
「だめ、じゃ……」
「ちゃんと言って。未来は、俺とキスしたい?」
「……意地悪……っ」
「俺は未来じゃないんだから、未来がどう思ってるか見れないし分からないよ。教えてほしいな」
そう言いながら、確実に未来との距離を詰めていく。目を泳がせてるのがよく分かる。俺の唇のほんの数センチ先に未来の唇。その潤んだ瞳が俺を捕えて、その唇が小さく「……したい……」と囁いたその時、ちょうど頂上にきたゴンドラががたりと止まった。その揺れで唇と唇が触れ合って、そのまま長い間キスをしたのだった。
* * *
ゴンドラを降りると、一足先に降りていた友里ちゃんたちが待っててくれていた。友里ちゃんは俺を見てウィンクをしてきた。さすがというかなんというか、とにかく頭が上がらない。その感謝は後で言うとして、俺にはこの観覧車が終わったら真っ先に友里ちゃんに言わなければならないことがあった。
俺は背後にいる未来の姿を確認してから、友里ちゃんに向き直った。
「友里ちゃん、未来が友里ちゃんに言いたいことがあるって」
「──っ! 晃太、ばかっ……!」
「え? 未来ちゃんが? 何かな」
未来を見て首を傾げる友里ちゃん。俺は背後で固まっている未来の背中をトンと押した。未来はよろけるように、友里ちゃんの元へ押し出される。
「どうしたの? 未来ちゃん」
「……友里、ちゃん」
「えっ、名前……」
「……あの、──……」
未来はおずおずと、友里ちゃんに耳打ちした。だからその後の言葉は聞こえなかった。けど──。
「……っ! 未来ちゃーん! 私もーー!」
ひしっと未来の身体を抱きしめた友里ちゃんの様子から察するに、ちゃんと言えたのだろう。俺は一安心して、口元を緩ませる。
「未来ちゃん可愛い! 本当に可愛い! 大好きー!」
「あの、友里ちゃん。ちょっと、恥ずかしい……」
「ごめんね! でも嬉しくてっ!」
抱きしめられた未来は、しどろもどろになっていたけど、その表情は柔らかかった。……また新たな表情が見れちゃったな。
「仲のいいこった」
「はは、本当にね」
じゃれ合う二人を眺めながら、俺と吉田は呟いた。
「おーい、そろそろ帰んぞ」
「はーい! 行こっか、未来ちゃん!」
「……ん」
未来はそう言って、差し出された友里ちゃんの手を握りしめた。
「未来ー」
「?」
「楽しかったね」
「……うん」
俺がそう言うと、未来は少しだけはにかんだ笑顔を見せたのだった。
* * *
友里ちゃんのダブルデート作戦は、大成功だと言えるだろう。
人との……友達との距離を計りかねていた未来の、大きな進歩。それが嬉しくて、俺はまた笑みをこぼした。
「!」
何と無く思い出して尋ねてみると、未来は思い切り肩を震わせて身体を硬直させた。
「……何?」
「……晃太、あの」
「うん?」
「デートでは常識だって、友里ちゃんが。観覧車の頂上で……キ、キス、するの。しないと、別れちゃうジンクスがあるって……。それ、本当?」
真っ赤な顔のわけを理解するとともに、動揺する未来が可愛くてたまらなくなった。友里ちゃん……。未来が無知だからってそんなこと教えるなんて──ありがとう恩に着る! 神様女神様! いやでも、本気で恥ずかしそうな未来に無理やりそんなことするのは如何なものか。別れちゃうジンクスは多分ないだろうし、誤解は解いておくべきなんだろうか。……というか、嘘ついてもいずれバレちゃうだろうしな。俺は正直に話すことにする。
「常識っていうか、そうするカップルが多いってだけで。えと、たぶん別れちゃうジンクスってのはでまかせだと思う、けど」
「……そう、なの? よかっ──」
「でも、今俺は、未来とキスしたいよ」
「……っ!」
そっと未来の手を逃れて、今度は俺が未来の手を包む。未来は後ずさろうとしたけれど、狭いゴンドラの中でそれは叶わなかった。
「……ダメ?」
茹でダコのようになった顔で、キョロキョロと目を泳がせる未来。たぶんこの顔は、俺だけに見せる、俺しか知らない特別な顔。それがちょっと嬉しい。
「だめ、じゃ……」
「ちゃんと言って。未来は、俺とキスしたい?」
「……意地悪……っ」
「俺は未来じゃないんだから、未来がどう思ってるか見れないし分からないよ。教えてほしいな」
そう言いながら、確実に未来との距離を詰めていく。目を泳がせてるのがよく分かる。俺の唇のほんの数センチ先に未来の唇。その潤んだ瞳が俺を捕えて、その唇が小さく「……したい……」と囁いたその時、ちょうど頂上にきたゴンドラががたりと止まった。その揺れで唇と唇が触れ合って、そのまま長い間キスをしたのだった。
* * *
ゴンドラを降りると、一足先に降りていた友里ちゃんたちが待っててくれていた。友里ちゃんは俺を見てウィンクをしてきた。さすがというかなんというか、とにかく頭が上がらない。その感謝は後で言うとして、俺にはこの観覧車が終わったら真っ先に友里ちゃんに言わなければならないことがあった。
俺は背後にいる未来の姿を確認してから、友里ちゃんに向き直った。
「友里ちゃん、未来が友里ちゃんに言いたいことがあるって」
「──っ! 晃太、ばかっ……!」
「え? 未来ちゃんが? 何かな」
未来を見て首を傾げる友里ちゃん。俺は背後で固まっている未来の背中をトンと押した。未来はよろけるように、友里ちゃんの元へ押し出される。
「どうしたの? 未来ちゃん」
「……友里、ちゃん」
「えっ、名前……」
「……あの、──……」
未来はおずおずと、友里ちゃんに耳打ちした。だからその後の言葉は聞こえなかった。けど──。
「……っ! 未来ちゃーん! 私もーー!」
ひしっと未来の身体を抱きしめた友里ちゃんの様子から察するに、ちゃんと言えたのだろう。俺は一安心して、口元を緩ませる。
「未来ちゃん可愛い! 本当に可愛い! 大好きー!」
「あの、友里ちゃん。ちょっと、恥ずかしい……」
「ごめんね! でも嬉しくてっ!」
抱きしめられた未来は、しどろもどろになっていたけど、その表情は柔らかかった。……また新たな表情が見れちゃったな。
「仲のいいこった」
「はは、本当にね」
じゃれ合う二人を眺めながら、俺と吉田は呟いた。
「おーい、そろそろ帰んぞ」
「はーい! 行こっか、未来ちゃん!」
「……ん」
未来はそう言って、差し出された友里ちゃんの手を握りしめた。
「未来ー」
「?」
「楽しかったね」
「……うん」
俺がそう言うと、未来は少しだけはにかんだ笑顔を見せたのだった。
* * *
友里ちゃんのダブルデート作戦は、大成功だと言えるだろう。
人との……友達との距離を計りかねていた未来の、大きな進歩。それが嬉しくて、俺はまた笑みをこぼした。
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