7 / 27
着せ替え人形
02
しおりを挟む
玄関まで来て、上がってよいのかと迷っていると、母親が濡れタオルを差し出してきた。
「足と……それと、体もなるべく拭いてください。服は、もうしょうがないので結構ですから」
「あ……ありがとうございます。えっと」
「ネリウム・ペレンニスです。娘はベリス」
「ペレンニスさん、ありがとうございます」
「……すぐに支度しますから。タオルはその辺に置いておいてください」
ネリウムは目も合わせず、キッチンへ向かった。やはり、居心地が悪い。夕食をご馳走になるという大義名分を済ませたら、さっさと出ていこう。そう思いながら、念入りに足を拭いた。露出した肌の部分もごしごしと拭く。拭いたタオルが汚れているのを見て、情けなさに声も出なかった。
「お姉ちゃん! こっちに来て!」
部屋の中からベリスが駆けてきて、サラの腕を引いた。サラは連れられるがまま、リビングの横にある小さな部屋にやってきた。
ピンクと白を基調とした部屋を見て、ここがベリスの部屋だと分かった。ベリスは大きな箱を取り出して、中身を探る。あれじゃないこれじゃない、と箱から出されるのは、たくさんのおもちゃだった。
──すごい量。
サラはそのおもちゃの山を見て、ベリスがいかに親に愛されているのか分かった気がした。
「あったぁ!」
ベリスがニコニコと見せてきたのは、一体の着せ替え人形だった。ずいぶんと使われているようだったが、傷んでいるという程でもない。茶色の長い髪はツインテールにされており、可愛いリボンがかけられていた。洋服は、フリルがたくさん使われた女の子らしいデザインのものだ。
「お洋服もね? こぉんなにたくさんあるんだ!」
そう言うと、ベリスは違う箱を逆さにして中身を全部出した。色とりどりの人形の洋服が床に散らばる。どれもこれもスカートやワンピースのもので、全部可愛らしい、むしろ可愛すぎると言っていいものばかりだった。
「……可愛いね」
「でしょー? 全部ママに買ってもらったの!」
すごく楽しそうにベリスは笑う。恨めしいくらい愛されて育ったベリスを、直視できなかった。
「どれか着せてほしいお洋服ある? お姉ちゃんが言ったお洋服着せてあげる!」
「……えーっとね」
正直、早く出ていきたいし、あまり馴れ合いたくない。この子と一緒にいると──自分の惨めさが浮き彫りにされるようで。
サラは選ぶふりをしながら、適当に目についたものに指を差した。
「これがいいかな」
サラが指差したのは、スカートの部分がふんわりとした、胸元に大きなリボンがついた緑のドレスだった。
「うん! これ、ベリスもお気に入りなの!」
そう言いながら、今着ている服を脱がし、緑のドレスを着せ始めた。
「やぁだ、あんた趣味悪い!」
「え?」
突然声がして、サラは思わず返事をした。手を止めて、不思議そうに首を傾げるベリスを見るかぎり、声の主はベリスではない。考えられるのは、ただ一つ。
──この人形だわ。
サラは人形を凝視した。開口一番「趣味悪い」だなんて、失礼な人形だ。
「ねぇ、ベリスちゃん。その子、名前は?」
洋服を着せながら、ベリスは笑う。
「この子、イオナって言うんだ。お姉ちゃんは?」
「あ……私? 私は、サラ」
「サラお姉ちゃん! 名字は?」
穢れのない純粋さは、時に人を傷つける。サラはどう答えようかと少し迷って俯いた。
「名字は……分からないの」
「へぇ? 変なのね」
何気ない一言が、サラにはきつい。私は、やはり変なのか。記憶を持たない私は。
──私は、誰なの。
険しくなる表情を悟られないように顔を背けた。
「ベリスー、ちょっとお手伝いしてくれる?」
「はーい! お姉ちゃん、イオナのお着替えしててもいいよ!」
ベリスはイオナをサラに渡すと、とことことキッチンに向かった。ネリウムは、サラがベリスの部屋にいるから、安心したのだろう。他の部屋だったらきっと、何か盗まれるのではないかと気が気じゃないはずだ。
──不本意とはいえ匿ってくれた家の人のものを盗むわけはないのに。
サラは拳を握った。
「ねぇ、あんたサラって言うんでしょ?」
イオナがさも当然のように話し掛けてきて、少し焦る。サラは小さく頷いた。
「ちょうどいいわ、サラ。ちょっと違うの着せてよ。それがいいわ、その、白いタイトスカート」
イオナが言ったのは、フリルも何もついていない、シンプルなタイトスカートだった。サラは言われたとおり、背中に付いたマジックテープを外し、イオナに着せた。
「ふう。やっと落ち着いた服が着れた。ありがとね、サラ」
「えと……どういたしまして」
さっきまでフリフリの服にツインテールだったからか、ハキハキとものを言うイオナに、少し違和感を覚えた。それにしても、やっと、とはどういう意味だろう。
「あんたも信じられないでしょ? 持ち主の服のセンス! まじあり得ない!」
「ベリスの選んだ服のこと? それは……確かに偏った趣味だとは思うけれど」
「あたしこういうフリフリの服大っ嫌いなのよね! 本当、嫌になるったら!」
今着てる一番マシなのだって、他の服の付属品だし。イオナはグチグチと言う。
サラはイオナを見やる。女の子用の着せ替え人形だし、フリフリの服が似合わないわけではない。しかし、本人が気に入らないと言うのだから、何と言っても無駄だろう。
「たまにさぁ、あの子の友達の人形とかが来るわけよ。で、その子らはあたし的に好みの服着てるわけ。それがもう嫌で嫌で」
──あれ?
イオナの言葉に、引っ掛かる。
──『いいなぁ。羨ましいなぁ』。
この感情を、私は知っている? 自分にはないものを、なくても手に入らないものを、望む声。
少しずつ、頭が痛みだした。
「あたしだってさ、いろんな服が着たいのよ? シンプルなものだって着たいし、ボーイッシュなパンツスタイルもしてみたい。髪型だって、自分でどうにかしたい」
ズキン。しだいに大きくなる頭痛。
人形の声に必死にかじりつく。
「でも──あたしには選ぶ権利も、決める権利もないの。あの子が着せたい服を着せられるだけ。あたしは、いつもいつも我慢しなきゃいけないの」
痛みがピークを迎えて、サラの頭の中は真っ白になった。
* * *
「足と……それと、体もなるべく拭いてください。服は、もうしょうがないので結構ですから」
「あ……ありがとうございます。えっと」
「ネリウム・ペレンニスです。娘はベリス」
「ペレンニスさん、ありがとうございます」
「……すぐに支度しますから。タオルはその辺に置いておいてください」
ネリウムは目も合わせず、キッチンへ向かった。やはり、居心地が悪い。夕食をご馳走になるという大義名分を済ませたら、さっさと出ていこう。そう思いながら、念入りに足を拭いた。露出した肌の部分もごしごしと拭く。拭いたタオルが汚れているのを見て、情けなさに声も出なかった。
「お姉ちゃん! こっちに来て!」
部屋の中からベリスが駆けてきて、サラの腕を引いた。サラは連れられるがまま、リビングの横にある小さな部屋にやってきた。
ピンクと白を基調とした部屋を見て、ここがベリスの部屋だと分かった。ベリスは大きな箱を取り出して、中身を探る。あれじゃないこれじゃない、と箱から出されるのは、たくさんのおもちゃだった。
──すごい量。
サラはそのおもちゃの山を見て、ベリスがいかに親に愛されているのか分かった気がした。
「あったぁ!」
ベリスがニコニコと見せてきたのは、一体の着せ替え人形だった。ずいぶんと使われているようだったが、傷んでいるという程でもない。茶色の長い髪はツインテールにされており、可愛いリボンがかけられていた。洋服は、フリルがたくさん使われた女の子らしいデザインのものだ。
「お洋服もね? こぉんなにたくさんあるんだ!」
そう言うと、ベリスは違う箱を逆さにして中身を全部出した。色とりどりの人形の洋服が床に散らばる。どれもこれもスカートやワンピースのもので、全部可愛らしい、むしろ可愛すぎると言っていいものばかりだった。
「……可愛いね」
「でしょー? 全部ママに買ってもらったの!」
すごく楽しそうにベリスは笑う。恨めしいくらい愛されて育ったベリスを、直視できなかった。
「どれか着せてほしいお洋服ある? お姉ちゃんが言ったお洋服着せてあげる!」
「……えーっとね」
正直、早く出ていきたいし、あまり馴れ合いたくない。この子と一緒にいると──自分の惨めさが浮き彫りにされるようで。
サラは選ぶふりをしながら、適当に目についたものに指を差した。
「これがいいかな」
サラが指差したのは、スカートの部分がふんわりとした、胸元に大きなリボンがついた緑のドレスだった。
「うん! これ、ベリスもお気に入りなの!」
そう言いながら、今着ている服を脱がし、緑のドレスを着せ始めた。
「やぁだ、あんた趣味悪い!」
「え?」
突然声がして、サラは思わず返事をした。手を止めて、不思議そうに首を傾げるベリスを見るかぎり、声の主はベリスではない。考えられるのは、ただ一つ。
──この人形だわ。
サラは人形を凝視した。開口一番「趣味悪い」だなんて、失礼な人形だ。
「ねぇ、ベリスちゃん。その子、名前は?」
洋服を着せながら、ベリスは笑う。
「この子、イオナって言うんだ。お姉ちゃんは?」
「あ……私? 私は、サラ」
「サラお姉ちゃん! 名字は?」
穢れのない純粋さは、時に人を傷つける。サラはどう答えようかと少し迷って俯いた。
「名字は……分からないの」
「へぇ? 変なのね」
何気ない一言が、サラにはきつい。私は、やはり変なのか。記憶を持たない私は。
──私は、誰なの。
険しくなる表情を悟られないように顔を背けた。
「ベリスー、ちょっとお手伝いしてくれる?」
「はーい! お姉ちゃん、イオナのお着替えしててもいいよ!」
ベリスはイオナをサラに渡すと、とことことキッチンに向かった。ネリウムは、サラがベリスの部屋にいるから、安心したのだろう。他の部屋だったらきっと、何か盗まれるのではないかと気が気じゃないはずだ。
──不本意とはいえ匿ってくれた家の人のものを盗むわけはないのに。
サラは拳を握った。
「ねぇ、あんたサラって言うんでしょ?」
イオナがさも当然のように話し掛けてきて、少し焦る。サラは小さく頷いた。
「ちょうどいいわ、サラ。ちょっと違うの着せてよ。それがいいわ、その、白いタイトスカート」
イオナが言ったのは、フリルも何もついていない、シンプルなタイトスカートだった。サラは言われたとおり、背中に付いたマジックテープを外し、イオナに着せた。
「ふう。やっと落ち着いた服が着れた。ありがとね、サラ」
「えと……どういたしまして」
さっきまでフリフリの服にツインテールだったからか、ハキハキとものを言うイオナに、少し違和感を覚えた。それにしても、やっと、とはどういう意味だろう。
「あんたも信じられないでしょ? 持ち主の服のセンス! まじあり得ない!」
「ベリスの選んだ服のこと? それは……確かに偏った趣味だとは思うけれど」
「あたしこういうフリフリの服大っ嫌いなのよね! 本当、嫌になるったら!」
今着てる一番マシなのだって、他の服の付属品だし。イオナはグチグチと言う。
サラはイオナを見やる。女の子用の着せ替え人形だし、フリフリの服が似合わないわけではない。しかし、本人が気に入らないと言うのだから、何と言っても無駄だろう。
「たまにさぁ、あの子の友達の人形とかが来るわけよ。で、その子らはあたし的に好みの服着てるわけ。それがもう嫌で嫌で」
──あれ?
イオナの言葉に、引っ掛かる。
──『いいなぁ。羨ましいなぁ』。
この感情を、私は知っている? 自分にはないものを、なくても手に入らないものを、望む声。
少しずつ、頭が痛みだした。
「あたしだってさ、いろんな服が着たいのよ? シンプルなものだって着たいし、ボーイッシュなパンツスタイルもしてみたい。髪型だって、自分でどうにかしたい」
ズキン。しだいに大きくなる頭痛。
人形の声に必死にかじりつく。
「でも──あたしには選ぶ権利も、決める権利もないの。あの子が着せたい服を着せられるだけ。あたしは、いつもいつも我慢しなきゃいけないの」
痛みがピークを迎えて、サラの頭の中は真っ白になった。
* * *
0
あなたにおすすめの小説
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
私たちの離婚幸福論
桔梗
恋愛
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる