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真理編
社長と秘書の秘密の話 第一話
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日常で本当にあった!?
ちょっと大人な出会いのお話
地元で学生起業してから早10年。
気がつけば、それなりに
大きな企業へと育てることができた。
一緒に起業したメンバーも一部は残っているが、
いまではすっかり顔ぶれも変わった。
「社長としてしっかりしないとなぁ」と、
去年から秘書を雇うことにした。
いままでスケジュール調整から
顧客との事前折衝まで、
とにかく一人でやっていた。
物事を把握する意味ではよかったのだが、
執行役員体制になってきたところで、
いよいよ手が回らなくなってきたのだ。
そこで、ビジネスの補佐もしてくれる
秘書を募集することにした。
あちこちの人材エージェントに声をかけ、
何人も面談をした末に、一人の人材を採用した。
それが、植田真理という女性だ。
もともとは外資系のコンサルティングファームにいたようなのだが、
なぜかそこを辞めて大手メーカーの秘書として勤務していたという、
なんとも不思議な経歴の持ち主だ。
こちらとしては願ったり叶ったりの人材だった。
他の候補者は、秘書のスペシャリストではあっても
ビジネスの経験がなかったり、
逆にビジネス経験は豊富でも秘書実務が未経験だったりと、
選考は難航を極めていた。
それだけに、エージェントからレジュメをもらったとき、
すぐに「面接がしたい」と連絡したのを覚えている。
そうして本人と面談をしたのだが、
エージェントからはかなり高めの年俸になると
言われていたにも拘わらず、
条件について確認をしたところ、
弊社の一般基準でよいと言う。
ただし、「ある程度の裁量権を与えること」が条件だったので、
その点を了承して無事に弊社で働いてもらえることになった。
なお、植田さんはいつも髪の毛を
ギュッと一つにまとめ、
シンプルな丸眼鏡をしており、
メイクも比較的落ち着いている。
様々な場面に同行してもらうという意味でも、
目立ちすぎず好印象だと感じていた。
そうして業務についてもらうと、
秘書としてもビジネス補佐としても、
優秀すぎるぐらい優秀だった。
今時点で半年になるところだが、
すでに彼女なしに社長業は回らないという状況だ。
そんなある日、
懇意にしている顧客から大口案件の相談があり、
急遽、東京へ出張することになった。
「植田さん、この間連絡が来ていたあの案件、いよいよ現地行かないとだね」
「そうですねぇ。リモートだと、どうしてもあとひと押しが弱いですからねぇ」
「よし。来週現地に行くとしよう。早速だけど先方の予定確保と、
宿泊先の手配をお願いしていいかな?」
「わかりました。提案書はどうしましょうか?」
「今回の提案は、まずは自分で書くよ。出来上がったらいつものように見てくれるかい?」
「承知しました。では、早速手配しておきますね」
こうして、役割分担を決めて作業に取り掛かった。
提案内容はすでに固まっていたので、
現場の担当者ともコミュニケーションをとり、
会社としての提案書を作りあげて、
植田さんにもチェックしてもらって完成させた。
植田さんもテキパキとアポイントを取ってくれたので、
来週月曜日から数日に分けて、
先方の東京本社で打ち合わせを行うことになった。
宿泊場所についても、
取引先の近くで確保してくれた。
こうして大口の案件をまとめるべく、
東京へと向かうことになった。
「社長、そういえばですが、先方の担当者さん、
なんかいつも上から目線が強い気がするんですが、どう感じてますか?」
「そうだねぇ……。なんかそういう雰囲気は感じるけど、どうして?」
「今回同行するのは私だけですし、
昔コンサルをやっていた時のスタイルで対応してもいいかなぁって」
「それはどういう意味かな?」
「まぁ、見た目とか話し方とか……どうですか?」
「なんか意味深だけど、いいよ。案件をまとめるために色々考えてくれていることだろうし」
「ありがとうございます! では、当日しっかり準備して向かいますね」
こういう提案をされたのは初めてだったの
でちょっと驚きはしたが、
元々手練れのコンサルタントのお手並みを
見てみたいという素朴な興味があったのも事実だ。
そして、あっという間に時間が過ぎ去り、
出発の朝になった。
空港へタクシーで向かう。
集合場所は空港のラウンジにしてある。
会社のコーポレートカードの特典で
ラウンジが使えることもあり、
いつもそうしているのだ。
空港に到着してキャリーバッグを引っぱりながら、
ラウンジへと向かう。
飛行機の手配などもすべて植田さんがやってくれている。
最近はスマホでチェックインができるので、
チケットがないというようなトラブルが
起こらなくなったのは本当にありがたい。
以前はチケットが行方不明になって
大騒ぎをしたこともあった。
時代の進化にただただ感謝するばかりだ。
ラウンジに到着し、
受付でカードを見せて入場する。
まずは席を確保して、
サービスカウンターでコーヒーをお願いする。
それを持って席に座り、
スマートフォンでメールを確認していく。
しばらくそうしていると、背後で自分を呼ぶ声がした。
「社長、お待たせしました~。早いですね」
この声は植田さんだ。
そう認識して振り返ったそこに、
自分の知らない植田さんが立っていた。
「ど、どうされました?」
「いや……いつもと雰囲気が違いすぎない?」
「はい! コンサルタントモードで参りました! おかしいですか?」
「いや、違いすぎてびっくりしちゃって」
「あら? 社長、こういうの苦手ですか?」
「いやいやいや! とっても素敵だからいいと思う! うん!」
「ふふふ。なんか社長、挙動不審すぎますよ」
いや、そりゃびっくりするだろう……というくらい、
植田さんのビジュアルがいつもと違いすぎた。
髪の毛を下ろしているのはわかるのだが、
眼鏡を外してメイクが変わると、
これほど違うものかと。
さらにいえば、
こんなにスタイルのいい子だったのか!? と、
目のやり場に困ってしまったのも事実だ。
「さて、少し時間もあるので打ち合わせしておきましょうか」
「わかった。では……」
なんともいえないドキドキした気持ちのまま、
無理やり仕事モードにもっていく。
こうして思いもよらない日々が始まっていく。
ちょっと大人な出会いのお話
地元で学生起業してから早10年。
気がつけば、それなりに
大きな企業へと育てることができた。
一緒に起業したメンバーも一部は残っているが、
いまではすっかり顔ぶれも変わった。
「社長としてしっかりしないとなぁ」と、
去年から秘書を雇うことにした。
いままでスケジュール調整から
顧客との事前折衝まで、
とにかく一人でやっていた。
物事を把握する意味ではよかったのだが、
執行役員体制になってきたところで、
いよいよ手が回らなくなってきたのだ。
そこで、ビジネスの補佐もしてくれる
秘書を募集することにした。
あちこちの人材エージェントに声をかけ、
何人も面談をした末に、一人の人材を採用した。
それが、植田真理という女性だ。
もともとは外資系のコンサルティングファームにいたようなのだが、
なぜかそこを辞めて大手メーカーの秘書として勤務していたという、
なんとも不思議な経歴の持ち主だ。
こちらとしては願ったり叶ったりの人材だった。
他の候補者は、秘書のスペシャリストではあっても
ビジネスの経験がなかったり、
逆にビジネス経験は豊富でも秘書実務が未経験だったりと、
選考は難航を極めていた。
それだけに、エージェントからレジュメをもらったとき、
すぐに「面接がしたい」と連絡したのを覚えている。
そうして本人と面談をしたのだが、
エージェントからはかなり高めの年俸になると
言われていたにも拘わらず、
条件について確認をしたところ、
弊社の一般基準でよいと言う。
ただし、「ある程度の裁量権を与えること」が条件だったので、
その点を了承して無事に弊社で働いてもらえることになった。
なお、植田さんはいつも髪の毛を
ギュッと一つにまとめ、
シンプルな丸眼鏡をしており、
メイクも比較的落ち着いている。
様々な場面に同行してもらうという意味でも、
目立ちすぎず好印象だと感じていた。
そうして業務についてもらうと、
秘書としてもビジネス補佐としても、
優秀すぎるぐらい優秀だった。
今時点で半年になるところだが、
すでに彼女なしに社長業は回らないという状況だ。
そんなある日、
懇意にしている顧客から大口案件の相談があり、
急遽、東京へ出張することになった。
「植田さん、この間連絡が来ていたあの案件、いよいよ現地行かないとだね」
「そうですねぇ。リモートだと、どうしてもあとひと押しが弱いですからねぇ」
「よし。来週現地に行くとしよう。早速だけど先方の予定確保と、
宿泊先の手配をお願いしていいかな?」
「わかりました。提案書はどうしましょうか?」
「今回の提案は、まずは自分で書くよ。出来上がったらいつものように見てくれるかい?」
「承知しました。では、早速手配しておきますね」
こうして、役割分担を決めて作業に取り掛かった。
提案内容はすでに固まっていたので、
現場の担当者ともコミュニケーションをとり、
会社としての提案書を作りあげて、
植田さんにもチェックしてもらって完成させた。
植田さんもテキパキとアポイントを取ってくれたので、
来週月曜日から数日に分けて、
先方の東京本社で打ち合わせを行うことになった。
宿泊場所についても、
取引先の近くで確保してくれた。
こうして大口の案件をまとめるべく、
東京へと向かうことになった。
「社長、そういえばですが、先方の担当者さん、
なんかいつも上から目線が強い気がするんですが、どう感じてますか?」
「そうだねぇ……。なんかそういう雰囲気は感じるけど、どうして?」
「今回同行するのは私だけですし、
昔コンサルをやっていた時のスタイルで対応してもいいかなぁって」
「それはどういう意味かな?」
「まぁ、見た目とか話し方とか……どうですか?」
「なんか意味深だけど、いいよ。案件をまとめるために色々考えてくれていることだろうし」
「ありがとうございます! では、当日しっかり準備して向かいますね」
こういう提案をされたのは初めてだったの
でちょっと驚きはしたが、
元々手練れのコンサルタントのお手並みを
見てみたいという素朴な興味があったのも事実だ。
そして、あっという間に時間が過ぎ去り、
出発の朝になった。
空港へタクシーで向かう。
集合場所は空港のラウンジにしてある。
会社のコーポレートカードの特典で
ラウンジが使えることもあり、
いつもそうしているのだ。
空港に到着してキャリーバッグを引っぱりながら、
ラウンジへと向かう。
飛行機の手配などもすべて植田さんがやってくれている。
最近はスマホでチェックインができるので、
チケットがないというようなトラブルが
起こらなくなったのは本当にありがたい。
以前はチケットが行方不明になって
大騒ぎをしたこともあった。
時代の進化にただただ感謝するばかりだ。
ラウンジに到着し、
受付でカードを見せて入場する。
まずは席を確保して、
サービスカウンターでコーヒーをお願いする。
それを持って席に座り、
スマートフォンでメールを確認していく。
しばらくそうしていると、背後で自分を呼ぶ声がした。
「社長、お待たせしました~。早いですね」
この声は植田さんだ。
そう認識して振り返ったそこに、
自分の知らない植田さんが立っていた。
「ど、どうされました?」
「いや……いつもと雰囲気が違いすぎない?」
「はい! コンサルタントモードで参りました! おかしいですか?」
「いや、違いすぎてびっくりしちゃって」
「あら? 社長、こういうの苦手ですか?」
「いやいやいや! とっても素敵だからいいと思う! うん!」
「ふふふ。なんか社長、挙動不審すぎますよ」
いや、そりゃびっくりするだろう……というくらい、
植田さんのビジュアルがいつもと違いすぎた。
髪の毛を下ろしているのはわかるのだが、
眼鏡を外してメイクが変わると、
これほど違うものかと。
さらにいえば、
こんなにスタイルのいい子だったのか!? と、
目のやり場に困ってしまったのも事実だ。
「さて、少し時間もあるので打ち合わせしておきましょうか」
「わかった。では……」
なんともいえないドキドキした気持ちのまま、
無理やり仕事モードにもっていく。
こうして思いもよらない日々が始まっていく。
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