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取り消しますわっ

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「嘘ですわよね?!え?アイツと婚約?!どう言うことですの?!!」

「落ち着いてアデレイズっ」


思わず立ち上がってローテーブルに手をついて前のめりになった私の肩を、お母様が抑える様に掴んで押し留める。
しかしお父様は、呆れた顔のまま私を半目で見据えて言い放った。


「どう言うことも、こう言うことも無いだろう。
お前が、王宮で、引っ掛けた。オーウェンはそれを正式に受けたわけだ。あの調子じゃ何人か証人も押さえ済みだろうなぁ。ま、つまり全てはお前が原因だ」

「なぁんですってぇぇぇぇぇ!!」

「いい加減に落ち着かんかっ」


お父様のお怒りを真正面から受けて、一旦落ち着こうって事になり。
お茶を淹れてもらって一呼吸おき、ため息を吐いた。


「アデレイズ、茶器に震えが伝わっていてよ」

「あ、あらやだ」カチャチャチャ


危なっかしいとのことで、喉を潤した後にカップをテーブルへと置いた。無自覚でしたわ。


「お父様、それで……無かった事には」

「ならんな」


食い気味で却下された。考える余地もないと言うことか……。


「でもっ」

「でももくそもない。3日のうちに2回も婚約を解消する前代未聞の令嬢となりたいのか?」

「前例は恐れる物ではなく、作る物ですわ」

「醜聞は恐れなさい」

「……しゅ、修道院に」

「神の使徒が集まる家を、安易なシェルターがわりにするな。それにお前には無理だろう?」

「………………」

「諦めろ」「諦めなさい」


諭す様な声音、半分じっとりとした目でそう言ったお父様は、同じ言葉を告げたお母様の手を取って応接間から去っていった。


「慈悲もないのねっ」


しかし、原因たる私がそれを乞うのも間違っているのもわかっているので、ヤケ酒の如くやや温くなったお茶を飲み干したのだった。

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