婚約破棄されてイラッときたから、目についた男に婚約申し込んだら、幼馴染だった件

ユウキ

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煩悩と戦って告白を頑張る俺

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※オーウェン視点です

──────────────

一昨日のデートでは、新たに俺を知ってもらって昔の幼稚で馬鹿だった俺を忘れてくれる様に努力した。

もう出会ったあの頃の俺とは違うんだ。
ついでアデレイズの最新の好みを探るのも良いだろう。

まずは花。昔はミモザが好きだったアデレイズ。理由は「甘いお菓子みたいで美味しそう」だからだったか。

部屋に飾られていたのは香りが良くて、可愛らしい花が多かった。あれはアデレイズの趣味かが分からない。それも含めて色とりどりの花を用意した。

執事兼護衛もこなすリチャードが、呆れた様な顔で「花屋でも始めるおつもりですか」とツッコミを入れたくらいだ。何とか一つにまとめた大き過ぎる花束は、抱えると俺でも前が見えないくらいだった。

アデレイズの驚く顔が見れなくて、ちょっと残念だった。

アデレイズは可愛らしい丸みのある花が好きな様だ。ヨシ、結婚式はこの花で飾りつけよう。

次に食の好み。朝市に向かって色々みて歩く。
雑貨ではコロンとしたフォルムのものに目が行く様だ。フルーツは何でも好き。うちの特産のオレンジも好みに合っているのか、試食した時の目が輝いていた。本当に可愛いな。

あぁ、口端に着いたオレンジの雫を舐めとりたい……いかんいかん。ハンカチ、ハンカチ。



最後に向かったのは、懇意にしている商会の親族が出しているブティック。

詳細な採寸を取って、ウェディングドレスの案を出しておこう。厚いカーテンの向こうに姿を隠したアデレイズは、店主の勢いに押されまくっていた。


「ちょっと待って、きゃっそんなとこっ」
「まぁ!なんて素敵なプロポーションっ!腕がなりますわっ!!」
「くすぐった、いですわっ」


そんな声を上げていて、妄想が捗る。ありがとう店主よ。
あまり聞きすぎるとまた元気になっても困るので、デザインのことを考えることにした。

そういえば星柄のレースが変わっていて目を引いたな。それをどこに使おうかなとか考えていると、着替え終わったアデレイズが出てきて、一層愛らしい姿に笑みが溢れた。

次は俺の色を着せたいな。あれこれ指示して着せ替えさせ、ついでに自分のも揃いで幾つか見繕う。

注文した数着は侯爵邸に送り、残りとその他オーダー品は辺境領に送らせる。コレでアデレイズが何も持ってこなくても大丈夫なほど。店主はアデレイズのサイズ表を見て言った。


「もう抑えめの下着は必要ございませんでしょう?お下着も辺境へとお送りしますけれど、侯爵邸へは如何なさいます?」


ちょっと待て、あれで抑えめだと?!確かに昨日抱きつかれた時の感触は……いやいや今思い出すのは寄せ、俺。

そういえば前婚約者は「童顔ペチャパイ」好きだったか?アデレイズなりに、少しは合わせようと努力していたのかもしれない。そう思うとモヤッとしてしまうが、「今は俺のだ」と言い聞かせてモヤッとする心を飲み込んだ。


「一応持っていって侯爵邸の専属侍女シェリに尋ねてくれ。費用は俺が払う」

「畏まりました。それにしても型崩れもせずにお綺麗でしたよ~」

「それ以上言うな。直視できなくなるだろっ」

「まぁ、オーウェン様がそこまで執心なさる姫様を見れて、これから着飾れるなんて…本当に胸も腕もなりますわっ!」

「頼んだぞ。要望は都度手紙で送る」

「ご結婚されましたらここは弟子に任せて、辺境へ帰りますわ」


俺はまた笑って、全て新しい服に着替えたアデレイズを伴って、疲れを癒しにという名目で公園へと足を向けた。

馬車の影にリチャードが見えたから、小さく頷いて指示を出す。

夕暮れ時に差し掛かった時間、噴水の平和と愛を象徴する女神像の下で、俺は長年の思いを告げる事にしていた。邪魔が入らない様にそっと人払いをさせて、少しの間、2人きりになりたかった。

俺の髪色と同じワンピースを纏ったアデレイズが愛しい。赤く見えるのは、陽の光が色づき始めたからだけじゃないと思いたい。

ハンカチを取り出してベンチに敷いて、アデレイズを座らせて隣に腰掛ける。

彼女の手を取って誓う様にまっすぐ伝わる様に、長年の思いを口にしようとした瞬間。


忌々しくも無粋な声に砕かれた。


よし、やっぱってしまおう。



そしてなんの因果か、俺の家に奴が居候する事になった。でも侯爵の気遣いで毎日アデレイズが訪ねてくれるのは予想外の事だった。

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